公開日:2023/11/13

最終更新日:2023/11/13

旭化成が挑戦する「BLUE Plastics」プロジェクト

環境保全への関心の高まりから、近い将来、消費者はリサイクル品を選択するようになり、商品を提供する市場は、リサイクル品であることの証明を求められるようになるだろう。
我々は、プラスチックのリサイクルチェーンを可視化することで、安心して再生プラスチックを利用できる環境を整えることが必要であると捉え、「BLUE Plastics」プロジェクトを立ち上げた。

BLUE Plasticsのコンセプト

その製品がリサイクル由来であるかどうかは、最終製品の分析では判別できないため、それを証明するのはそう簡単ではない。そこで我々は、物質その物ではなく、サプライチェーン管理の中で証明することを考えた。
暗号通貨などに利用されることで知られる「ブロックチェーン」は、関係者全員がアクセス可能でありながら、データ改ざんが不可であるため、サプライチェーンを通して、モノの動きを追跡可能であることから、この技術を組み合わせることにより、サプライチェーン全体でリサイクルを証明することができる可能性に注目した。
本プロジェクト名の「BLUE」は、Blockchain Loop to Unlocked the value of the circular Economyの略で、サーキュラーエコノミーの価値をブロックチェーン技術で顕在化させる、という意味が込められている。

プロトタイプとその機能

BLUE Plasticsは、現時点ではプロトタイピングのステージであり、現在探索している典型的な3つの機能を紹介する。
まず一つ目は、ブロックチェーン技術を応用し、再生プラスチックのリサイクル率を証明する機能である。消費者はスマートフォンのカメラで再生プラスチック製品をスキャンすることで確認できる。
これは、ブランドオーナーに対するグリーンウォッシュ防止という価値を提供する。
二つ目は、リサイクル製品に関わるサプライチェーンメンバーの可視化である。
これにより、リサイクル品の製造に携わる企業の顔が見え、責任を持って製造されているとしっかり消費者に示すことによって、消費者は安心してリサイクル品を選択することができるという期待を具現化する。
そして三つ目は、回収プロセスの可視化である。
消費者が BLUE Plastics と連携した回収ボックスの二次元コードを、スマートフォンで読み取って廃プラスチックを投函すると、今地図上のどこで、何という企業が、どんな処理をしているのかを閲覧することができるようにした。これにより、プロセスをすべて可視化することで、環境貢献の実感を得られ、回収行動が変容するという仮説を実証する。

画像提供:旭化成(株)

実証実験の事例

ある小売店、メーカー、商社とともに、実店舗に設置した回収ボックスを用いた実証実験を行なった。
小売店に設置された専用の回収箱にはバーコードが記載されており、利用者はそれをスマホアプリで読取り、使用済ペットボトルの本数を登録した後、投函する。
登録後は、ペットボトルがリサイクルプロセスのどの段階にあるのかの「現在地」が確認できるようになる。これにより、リサイクル状況の可視化が消費者の行動に与える影響を実証実験することができる。

結果は、スマホアプリの利用により、当該店舗でのペットボトル回収量が大幅に増加し、品質(ボトルの洗浄・ラベルの除去などの質)も大きく向上することが確認できた。
商品のリサイクル率や来歴情報は、事業者のみならず消費者にとっても関心事であり、消費者が商品を安心して購入する際の基準の一つになり得ることを明らかにした。
また、アプリによる資源ごみ回収活動の記録・可視化は、消費者が自らの環境貢献を実感し、リサイクルに対する意識や行動を促すきっかけになり得ることも確認でき、特に回収プロセスにおいて、経済的インセンティブなしでの回収活動活発化が示唆された。

画像提供:旭化成(株)

プラットフォームの公開、拡張に向けて

BLUE Plasticsプロジェクトでは、今後も様々な企業とともに実証実験を行ない、その結果のフィードバックを繰り返すことでプラットフォームを完成に近づけていく。
そして、対象とする樹脂の種類や用途を拡大し、同業他社を含め、誰もが活用できるオープンなプラットフォームとして公開し、日本だけでなく、アジアへの展開も見据え、取組みを拡げていく予定である。

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profile

下野 雅樹

<所属>旭化成(株)デジタル共創本部 DX経営推進センター 資源循環プロジェクト  
<専門分野>情報処理

<紹介文>某電気メーカーのソフトウェアエンジニアから転身、新規事業開発に従事しています。