公開日:2023/07/06

最終更新日:2023/08/04

工場省エネの実現に向けて
~コンプレッサの吸込み空気温度と配管設計~

前回のコラムでは、コンプレッサのエアー漏れ対策の重要性と効果につき取り上げましたが、今回はコンプレッサを運転する際に重要となる「吸込み空気温度」と「配管設計」について取り上げたいと思います。

吸込み空気温度について

コンプレッサ、及び生産設備自体には何も変わりがないのに、冬場は問題ないものの、夏場になると圧力が落ちることがあります。スクリュタイプやレシプロなどの「容積形」と言われるコンプレッサは、吸い込んでくる空気の温度が変わっても圧縮する動力、電力に殆ど違いはありませんが、低い温度の空気を吸い込んだ方が吐出空気量は増え、結果として省エネに繋がります。
例えばコンプレッサはある一定のボリュームの空気しか吸わないのですが、その吸い込んだ中に空気はどれだけあるのか、別の言い方をすると、吸い込んだ空気の中に「水」がどれだけ含まれているのかを考える必要があります。夏場は空気に含まれている水が多い為、結果として吸い込んだ空気に対して、出ていく空気量が少ないということになります。同じ湿度でも温度が高ければ含んでいる水分量は多くなります。
温度でどれほどの差があるのか、40℃の場合と30℃の場合での空気量の違いを見てみたいと思います。計算式としては、絶対温度である273+A/273+Bで計算が出来ます。Aを40℃、Bを30℃とした場合、約1.033となり、つまり約3.3%、30℃で空気を吸った方が多く空気が出ていくということになります。

次に「基準空気の容量表示」と、「コンプレッサの容量表示」について説明します。
例えばコンプレッサのカタログで吐出空気量10㎥/minと書かれている場合、温度30℃、湿度75%といった、空気がある程度膨張した状態のボリュームで表示されています。(温度・湿度条件はメーカー毎に違います。)
一方、射出成形機などのカタログでも必要空気量が書かれていますが、こちらは10N㎥/min、10NTP㎥/minといった書かれ方がされていることがあります。これは温度0℃、湿度0%の「基準空気」で表示されています。
コンプレッサのカタログ表示容量に x 0.87(30℃・75%RHの場合)をすることで、「基準空気」でのN㎥/minの計算が出来ます。逆に射出成形機の必要空気量が8.7N㎥/minであった場合は、÷ 0.87をすることで、必要なコンプレッサ容量がわかります。この場合であれば、8.7 ÷ 0.87 = 10㎥/minとなり、10㎥/minのコンプレッサが必要となります。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱

配管設計と適正流量について

以下の表では横に配管サイズ、縦に流す空気量を入れています。50Aや2Bと記載がありますが、50Aの場合、内径が約50mmを示しており、50mmをインチ換算すると2インチとなりますので、2Bは2インチの内径を示しています。
こちらの表は初圧0.69MPa(7kgf/㎠)で、ある空気量をある配管サイズ、直管で100m通過させた時の100m先の圧力降下値となります。例えば12㎥/minの空気量を50Aの配管で100m流した場合、100m先では0.33kgf/㎠圧力が落ちます。同じ空気量でも65Aの配管サイズで100m流した場合、0.09kgf/㎠の圧力降下で済みます。
この圧力降下値は長さに比例するので、仮に200mの場合、こちらの数値を2倍にすることで圧力降下値を計算出来ます。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


配管なので、継手やバルブが必要になるかと思いますので、その抵抗も見てみたいと思います。例えば50Aの玉形弁と言われるバルブの場合、17.6という数字がありますが、今度は単位がmとなります。この玉形弁が1つ入ると50Aの配管で考えると、直管換算で17.6m分だけ圧力が落ちるということになります。同じバルブでも形状によって抵抗に違いがあり、以下表の通り、玉形弁と仕切弁を比べると抵抗に大きく違いがあります。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱


次に適正流量について、仮に20N㎥/minのエアーを流す場合、少なくとも80Aの配管を用意する必要があります。その際の100m先の圧力損失(ΔP)は0.1kgf/㎠付きますが、その程度であれば許容範囲と言えます。省エネの観点からも、コンプレッサから出てくる吐出配管径よりも小さい配管径に絞らないことが重要で、少なくともコンプレッサから出てきている配管径と同じかそれ以上のサイズの配管径を繋ぐ必要があります。そして配管内平均速度は15m/secを目安として設計するのが望ましいです。詳しい計算方法は以下をご覧ください。

画像提供:コベルコ・コンプレッサ㈱

省エネ診断

コンプレッサの運転システムを適切に構築するためにも、まずは現状の稼働状況を把握することが重要です。
コベルコ・コンプレッサ様では、コンプレッサの稼働状況測定・診断を含む省エネコンサルティングを展開されており、これまでに累計9,500件以上の測定・診断の実績があります。

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全ての機器を同時に実測(コンプレッサ・レシーバタンク・エアラインなどの電流・圧力等の必要データを同時に収集)

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記事制作協力:コベルコ・コンプレッサ㈱

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