高圧受電設備(キュービクル)の減設によるコスト削減とは? 

高圧電気の使用に必要不可欠な重要設備「キュービクル」。
実は導入施設の7割以上が、契約電力に対してキュービクルの容量が大きすぎる(=オーバースペック)状態にあります。これは安心安全を大切にする日本人の気質故に、3倍以上の容量設計がなされている為です。
そしてここに、誰も気づかなかった電気のムダが隠されているのです。

キュービクルとは?

画像のような金属の箱を皆さん見たことありますか?
「なんとなく」とか「見たことない」という方がほとんどではないでしょうか。
それくらい存在感が希薄で可哀そうなキュービクルは、正式名称を「キュービクル式高圧受電設備」と言い、病院や学校、商業施設やオフィスビル、工場など様々な建物に導入され、主に屋上や駐車場に設置されています。

画像提供:キュービクル管理(株)



役割としては「発電所から送電される6,600Vの『高圧』電気を、施設で使えるように100~400Vの『低圧』電気に変圧する」というもので、電力会社との電気供給契約が50kW以上の、電気を多く使用する上記のような施設で必要となる設備です。
要するに「高圧電力を使用する施設には欠かせない、重要な設備のひとつである」という事です。

キュービクルにかかるリスクと費用

前述したように重要設備であるキュービクルは、高圧電力を扱う為、取り扱いが難しい、とても危険な設備です。
万が一故障した場合、自社の停電や操業停止のみならず、最悪の場合、施設周辺の停電や火災など(波及事故)を起こしかねない重大なリスクを持っています。
その為、毎月の有料法定点検や、15~25年に一度の定期部品交換修繕が義務付けられており、その工事は高額な費用が必要です。

高額になる理由は、一般流通が少ない特殊な部品が多い為、原価が分かりくく、工事会社が好きなように費用を設定しやすいからです。我々の業界では「ブラックBOX」と呼ばれる程、実はあやふやなもので、会社によって工事金額に2~3倍の差がでることもよくあります。
キュービクルは必要不可欠な設備でありながら、高額な費用がかかり波及事故の恐れがあります。そしてその責任は全て所有権を持つ設置者が負わければなりません。

弊社の行なっているアウトソーシング事業は、「弊社がお客様からキュービクルを買い取り、所有権を弊社に移転させることで、高額な費用と波及事故のリスクなど設置者の責任を全て弊社が負い、お客様はサブスクリプション費用を毎月お支払いいただくことですべてのリスクから解放される」というものです。

画像提供:キュービクル管理(株)


減設(ダウンサイジング)とは?

アウトソーシング事業を行なう中で、近年コスト削減やCO2削減に繋がらないだろうかと考え始めました。そしてたどり着いたのが「減設(ダウンサイジング)」という考え方です。
冒頭でお話ししたように「キュービクル導入施設の7割以上が、契約電力に対してキュービクルの容量が大きすぎるオーバースペック状態」にあります。
安心安全がモットーなのは分かりますが、それにしても過度な容量なのは否めません。

画像提供:キュービクル管理(株)



そこで工事会社を自社に持つ弊社では、「①電気の使用状況」と「②設備容量」を調査し、専門チームが再設計した、適切に「減らした設備容量」をご提案します。
また、無負荷損が少なく、負荷損も低減される「高効率変圧器」を使用することで、電力量ロスの低減やCO2排出量の削減も図ります。
実例として1,000KVA※を600KVAに減設。これにより工事費300万円の削減。電気料金等は年間30万の削減ができました。
キュービクルのプロとしての経験と、2,000件を超える工事経験を生かした「減設」は、現状よりコストダウンとCO2削減が見込めるご提案となっております。

※KVA・・・キュービクルの容量を表す単位

コスト削減とCO2削減

ざっくりとキュービクルとは?費用やリスクとは?弊社の事業とは?をお話させていただきました。
弊社の「アウトソーシング事業」は、現状稼働している「キュービクルの所有権を買い取り、責任を弊社が全て負って管理する」というものなので、直接的なCO2削減・コスト削減は難しい事業です。
しかし「減設」という事業は、キュービクルを適切な容量まで減らし、今まで無駄に稼働し、CO2を排出していたキュービクルを無くす事で、結果としてCO2削減に繋がり、そして容量が少なくなった分の工事費用削減。更には交換した高効率変圧器によるCO2削減が期待できます。
弊社ではこの事業を通して、環境に配慮する意識を改めてスタッフ皆で共有いたしました。
この記事でキュービクルに少しでも興味を持って頂けたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

お問い合わせ

profile

松里 満生(まつさと みつお)

<所属>キュービクル管理株式会社 執行役員

<紹介文>空調機メーカーで「ノンフロン化」事業のコンサルティングに従事後、弊社の「電力アウトソーシング」事業の企画・開発を経て、現在に至る。