公開日:2023/12/22

最終更新日:2023/12/22

地球温暖化阻止のための一手、
冷媒ガスのイノベーション・後編

前編で地球温暖化課題解決策の一つとして「自然冷媒ガス」を紹介しました。
自然冷媒ガスは、フロンガスと比較して地球温暖化やオゾン層への影響がないため、持続可能な未来を築(つく)るために導入が進められています。
代表的な自然冷媒ガスには、空気、水、CO2、アンモニア、炭化水素があります。その中でも、人体への影響の少ない「炭化水素冷媒ガス」に近年注目が集まりつつあります。

炭化水素冷媒ガスの技術動向、導入事例

炭化水素冷媒ガスは、持続可能な冷却技術として注目されており、可燃性を持つ冷媒であるとともに、オゾン層を破壊せず、さらにエネルギー効率も高い冷媒として知られています。
近年では安全性を高めることで、業務用分野での炭化水素冷媒の実用化が進んでいます。
以下は一部の事例です。

①自動販売機:
冷却効率を向上させつつ、環境への負荷を軽減しています。

②店舗ショーケース:
ショーケースや冷蔵庫にも使用されています。これは省エネルギーと環境への配慮を両立させている取り組みです。

③大手業務用冷蔵機器メーカー:
2023年5月から冷蔵冷凍庫に採用されています。この冷媒は環境への影響を最小限に抑えながら、高い冷却性能を発揮します。

④ハイブリッド給湯器:
炭化水素冷媒に切り替えることで、一般的なヒートポンプと比較してエネルギー効率が良く、CO2排出量を大幅に削減できます。さらに、風呂やシャワーに用いるお湯を効率よくつくることができ、エネルギー消費も抑えられます。

炭化水素冷媒ガスによる地球温暖化対策

炭化水素冷媒ガスは、フロン類と比較して地球温暖化係数が低く、環境に優しい選択肢として注目されています。

<地球温暖化係数 (GWP) の低さ>
現在主流となっているフロン冷媒のGWPはCO2のおよそ数千倍ありますが、それに比べて炭化水素冷媒ガスはGWPが低いため、大気に放出された際の地球温暖化影響が低いと言えます。

<エネルギー効率の高さ>
熱交換のプロセス中で必要とする圧力を、効率的に生み出す能力を持っています。これはコンプレッサーのエネルギー使用を低減し、全体的なエネルギー効率を高めます。特に家庭用冷蔵庫などの分野で急速に普及しており、電気代の削減に寄与しています。

<フロン類の代替>
フロンガスの代替として広く採用されています。その安全性と環境への影響の少なさから、多くの冷却システムで使用されています。

炭化水素冷媒は、環境影響が最も低い、従来の冷媒に代わるエコフレンドリーな選択肢として認知が広がっています。

炭化水素冷媒ガスの課題

炭化水素冷媒ガスは、冷却および冷凍用途に広く使用され、地球温暖化防止に大きく貢献できる可能性を秘めていますが、課題もあります。

その一つが「可燃性」です。利用者は可燃性のリスクを十分に認識し、安全に使用するための対策を講じる必要があり、炭化水素冷媒および関連機器の製造・取扱業者は、注意事項について広く周知する必要があります。

安全対策の例として、ガス検知器を設置することが重要かつ有効です。
ガス検知器は、漏洩したガスを早期に検知し、警告を発し、被害を最小限に抑える役割を果たします。
これにより、問題が大きくなる前に早期対応し、可燃性ガスのリスクを最小限に抑え、安全な環境を維持できます。
また、ガス検知器の設置とともに、メンテナンスとテストも重要であり、機器が適切に機能し、漏洩が迅速に検出されるよう、定期的に確認する必要もあります。

炭化水素冷媒ガスの普及に向けた取り組み

炭化水素冷媒ガスの普及は、環境保護と持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして注目されています。
普及を促進するためには、冷却業界はもちろん消費者や一般の人々にも、炭化水素冷媒ガスの効果的な使用方法や安全手順を周知する必要があり、言うまでもなく、製品そのものの品質と性能が重要です。
消費者に選ばれるには、炭化水素冷媒ガスを用いた製品が、他の冷媒を使用したものと比較して遜色なく、またはそれ以上の性能を発揮することを示す必要があります。

<政府の支援策>
・環境省は「自然冷媒普及促進サイト」を設立し、補助金や支援メニューを提供しています。
・経済産業省もフロン代替の取り組みを進めており、超低GWP冷媒や自然冷媒の開発プロジェクトを推進しています。

<企業の取り組み>
・大手メーカーは炭化水素冷媒ガスを採用した製品を開発しています。
・大手家電メーカーなどが炭化水素冷媒ガスを使用したエコキュートや冷凍ショーケースの提供を始めています。

<技術革新と普及啓発>
・安全性を高めながら業務用分野での実用化を進めています。
・炭化水素冷媒ガスの利点を広く知らせ、導入を促進しています。

今後も、政府や企業、そして私たち一人ひとりの取り組みによって、炭化水素冷媒ガスの普及が進んでいくと念願しております。

JR九州システムソリューションズ株式会社の事業

JR九州システムソリューションズ株式会社(以下弊社)は、オーストラリアのHychill社が製造する炭化水素液化混合冷媒ガス(minus50、minus60)に関する取り組みを、積極的に推進しています。

この冷媒ガスは、Hychill社が自然界から抽出される複数のガスをブレンドし、開発した製品で、オゾン破壊係数が3以下と地球温暖化係数が非常に低いことから、より環境に優しい冷媒ガスとして知られています。それに加えて、熱交換率が高く、コンプレッサーにかかる負荷が軽減されるため、消費電力を削減できます。
これにより、エアコンなど冷暖房機器のエネルギー効率を大幅に改善できる世界でも唯一の冷媒ガスです。

弊社は、このガスの販売はもちろんのこと、ドロップイン工事にも力を入れています。
これは既存のフロン冷媒ガスを炭化水素冷媒ガスに置き換える方法であり、施設では機器を新しく購入する必要がないため、コストを抑えつつエコフレンドリーな選択をすることが可能になります。

画像提供:JR九州システムソリューションズ株式会社


社会と地球環境への負荷を減らしつつ、炭化水素冷媒ガスを使用した製品を選ぶことで、普及を後押しすることができます。また、安全な取り扱いに関する知識を身につけ、普及を促進するための活動に積極的に参加することも大切です。

炭化水素冷媒ガスの普及はまだ始まったばかりですが、地球温暖化対策の取組みとして、その可能性は非常に大きいと言えます。私たち一人ひとりの取り組みによって、持続可能な社会の実現に貢献しましょう。

炭化水素冷媒による環境負荷低減にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

profile

和田 誠一

JR九州システムソリューションズ株式会社

電気代の削減や温室効果ガスの削減など、事業の環境負荷やコストの最適化ソリューションにより企業や団体のESG推進をご支援します