公開日:2024/03/21

最終更新日:2024/03/21

二軸混練押出機「TEX®」を用いたケミカルリサイクル技術

JSWでは、以前から二軸混練押出機「TEX®」を使用し、プラスチックやゴムのメカニカルリサイクル、脱塩素など様々なリサイクル技術の開発に取り組んできました。
今回はその中から、二軸混練押出機を活用することで出来る「ケミカルリサイクル」についてご紹介します。

プラスチックリサイクルの種類

プラスチックには大きく分けて、サーマルリサイクル、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルの3種類のリサイクル方法があります。

画像提供:(株)日本製鋼所


日本における廃プラスチックのリサイクル率は約84%で、サーマルリサイクルが57%、マテリアルリサイクルが23%、ケミカルリサイクルが4%となっています。
サーマルリサイクルは、廃棄物を燃やす際に発生する熱エネルギーを利用する方法です。ごみを再利用する訳ではないため、欧州などではリサイクルと見做されません。
廃棄物を回収し、成形材料に戻す事で再利用するマテリアル(メカニカル)リサイクルは、昔から知られる一般的なリサイクル方法ですが、原資となる廃棄物の安定した確保の難しさや、リサイクルを繰り返すことでの品質劣化など、課題も残されています。

一方、ケミカルリサイクルは廃プラスチックを化学的に分解し、化学製品の原料にまで戻して再利用する方法です。
近年、廃プラスチックの資源循環利用を促進できるリサイクル方法として注目を浴びています。

プロセスと特徴

ケミカルリサイクルには様々なプロセスがありますが、JSWでは熱分解を利用し、廃プラスチックをモノマー化する技術を提案しています。

<リサイクルプロセス>
廃プラスチックを押出機に供給し、スクリュによるせん断熱とシリンダヒータからの伝熱で、原料の熱分解を行います。
熱分解によりガスが発生し、押出機以降の下流装置でガスを液状モノマーに変換して回収します。
この時に出た分解残渣は、残渣タンクに回収され、液状モノマーと分別されます。
新品とされる製品に近い物性が得られるため、何度でも使用できる点がケミカルリサイクル最大の特徴です。

画像提供:(株)日本製鋼所


<二軸混練押出機「TEX®」を用いたケミカルリサイクル装置の特徴>
① 二軸混練押出機と付帯機器を活用したリサイクル処理システムの構築により、高効率で連続した熱分解が可能
② 豊富なラインナップのフィーダにより、フィルムや破砕片など安定供給が難しい原料も安定して押出機に供給が可能。
③ 二軸混練押出機にて熱分解された原料はガスと残渣に分別され、ガス分は高品質なモノマー原料として回収し、バージン材料と同等のプラスチックが生産可能。

ケミカルリサイクルに対するJSWの取り組み

<PMMAケミカルリサイクル用二軸混練押出機の設置>
本プロセスの類似装置は、現在、日本国内では住友化学株式会社の愛媛工場(新居浜市)で実証プラントとして稼働中です。
詳細は、下記URLをご参照下さい。
https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20221223.html
https://www.sumitomo-chem.co.jp/news/detail/20230706.html

<リサイクルテクニカルセンターの設立>
2022年11月、テスト可能な廃プラスチックの種類拡大と、お客様に対する適切な技術サポート提供を目的として、JSW/広島製作所にリサイクルテクニカルセンター(RTC)を設立しました。
ケミカルリサイクルをはじめとするリサイクルに特化したテクニカルセンターで、お客様のご要望にあわせてテストを実施しています。

画像提供:(株)日本製鋼所


<対応可能樹脂>
2024年現在、二軸混練押出機「TEX®」を用いてPMMAモノマーの回収が可能です。
今後は当社の装置を用いて、熱分解によるケミカルリサイクルが可能な樹脂を増やすべく、エンジニアリングプラスチックを中心に日々技術開発を行っております。

ケミカルリサイクルの将来

プラスチックは、日々の生活に欠かせない素材として活用されており、今後も経済の発展に伴い、生産量、使用量が、更に増えることが予想されます。
一方、廃プラスチックの処理は日本国内だけでなく、世界中で喫緊の課題となっています。

当社は、1979年に二軸混練押出機「TEX®」を上市して以来、廃プラスチックのケミカルリサイクル技術を、押出機業界の中でいち早く確立し、これまでに様々なリサイクル技術を社会へ提供して参りました。
当社がこれまで蓄積してきた押出機に関する知見を、リサイクル技術に活かしながら、持続可能で豊かな社会の実現に貢献して参ります。

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  5. 5. 二軸混練押出機「TEX®」を用いたケミカルリサイクル技術
お問い合わせ

profile

(株)日本製鋼所 コンパウンド機第一G

<所属>樹脂機械事業部 樹脂製造機械営業部
<専門分野>二軸混練押出機

二軸混練押出機「TEX」を用いたケミカルリサイクル技術