公開日:2023/08/01

最終更新日:2024/02/20

全電動射出成形機の進化

消費電力の削減には油圧機から電動機への更新が効果的なのは当然。電動機はどれも同じと思っていませんか?
実は初期の全電動射出成形機と現在の全電動射出成形機ではエネルギー効率が異なり、最新機種では消費電力にも大きな差があります。

JSWの全電動射出成型機の歴史

JSWの全電動射出成形機の歴史は1989年に初代全電動射出成形機としてJ-ELシリーズからスタートし、2004年に第4世代であるJ-ADシリーズ、2015年には第5世代であるJ-ADSシリーズの販売を開始しています。(図1)

図1.全電動射出成形機の歴史/画像提供:(株)日本製鋼所


最新のJ-ADSシリーズでは、前世代機でも採用していた電力回生機能などの省エネ機能に加え、次のような省エネアイテムが標準装備されています。
・省エネシリンダ
・省エネサーボアンプ
・可動盤リニアガイド:摩擦抵抗減少により型開閉・型締工程消費電力を削減
・消費電力削減支援:省エネにつながる成形条件設定やヒントを提案する機能
・ecoモード:成形条件に応じて電源供給を抑制する機能

省エネシリンダによる効果

特に省エネ効果が大きいものとして省エネシリンダをご紹介します。
型締力30t~450tのJ-ADSシリーズではシリンダを小径化した省エネシリンダ(図2)を採用しています。※1
※1 省エネシリンダは15U,30U,300U,460H~1400Hのシリンダにて採用

図2.省エネシリンダ/画像提供:(株)日本製鋼所


省エネのためにはシリンダ径は小さい方が望ましいのですが、応力と温度安定性の面から従来機種では大きくせざるを得ませんでした。
そこで、J-ADSシリーズでは新開発のシリンダ母材を採用し、高精度ヒータ制御と組み合わせることでシリンダの小径化と温度安定性を両立させ、昇温時間短縮・ヒータ消費電力削減を実現しました。その効果は前世代機比でシリンダ昇温時間は12~25%短縮、昇温時の消費電力は27~35%の削減を達成しています。
機械全体の消費電力では図3に示すようにJ130ADS-110Uでは22%の改善を達成しています。

図3.J130ADS-110Uの消費電力改善率/画像提供:(株)日本製鋼所


ハイサイクル性能による効果

大型機(型締力550t以上)においてはJSW独自のハイサイクルトグル機構をさらに進化させ、前世代機からドライサイクルが大きく向上したことで、生産性が向上し、J550ADSでは前世代機(J-ADシリーズ)比で生産効率が約15%向上しています。(図4)

図4.J550ADSの生産性改善率/画像提供:(株)日本製鋼所


具体的な数値で言い換えると、J550ADで年間6,000時間かけて生産していたものをJ550ADSでは5,000時間で生産できるということになります。
また、大型機クラスではヒータの保温時消費電力は6kWh/時間というデータもあります。
生産効率の向上はヒータ通電時間を削減することにつながり、その効果は上記条件では年間1,000時間削減×6kWh=6,000kWh/年の削減となります。
これをCO2排出量に換算すると2,706kg-CO2となります。※2
※2 CO2排出原単位0.451(kg-CO2/kWh)

工場全体のカーボンニュートラルに貢献

ここまでは成形機単体での消費電力削減についてご紹介しましたが、次のような設備面への効果もあります。
・省エネシリンダ、同期昇温制御によるヒータ発熱量の低下=空調費用削減
・ハイサイクル性能による稼働時間短縮=空調稼働時間の削減
・各種制御機能、IoTソリューション(J-WiSe®)による成形安定性向上=材料使用量削減

同じ全電動射出成形機でも世代によってどんどん省エネ性能が向上しており、その効果は他設備の省エネにもつながります。
結果として最新型の全電動射出成形機は工場全体のカーボンニュートラルに大きく貢献することができるのです。

JSW記事一覧

  1. 1. 全電動射出成形機の進化
  2. 2. 発泡成形技術の基礎
  3. 3. マグネシウムを射出成形するメリット
  4. 4. 射出成形機のIoT ~『遠隔操作』と『見える化』~
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