除湿された熱風を作り出す方法

除湿熱風乾燥機は、樹脂を熱風により加熱して乾燥するだけでなく、除湿された熱風を使うという特徴があります。このような乾燥機は、様々なメーカーから販売されており、除湿方法は大きく分けて主に2種類{1. 循環している熱風ラインに乾燥した圧縮空気を混合させて除湿するタイプ、2. 乾燥剤を使用し、除湿と再生(乾燥剤の水分を取り除く)を繰り返しながら除湿するタイプ}があります。いずれにも言えることは樹脂を加熱するエネルギーに加えて、除湿した空気を作り出すためにもエネルギーが必要となることです。
品質を維持するためにエネルギーを消費することが当たり前の時代では、常に安定した除湿性能を発揮できる除湿熱風乾燥機が求められてきました。そこで登場したのが「ハニカムローター式除湿ユニット」を搭載した乾燥機でした。

画像提供:㈱松井製作所

「正味必要なエネルギー」への着眼

ハニカム吸着式除湿ユニットは、松井製作所がプラスチック成形業界で初めて開発・採用した方式です。このユニットでは、乾燥剤を塗布したハニカムローターを回転させ、役割分けした各ゾーンで熱風の除湿と乾燥剤の再生を連続的に行うことで、安定した除湿性能を維持することが可能です。ただし、除湿した空気を得るためには、例えばハニカムローターを150℃に加熱したり、50℃に冷却したり、温度を大きく変化させる必要があります。これは、ハニカムローター温度を上げることで乾燥剤に吸着した水分が離れ、そのあと温度を下げると再び水分を吸着できるようになる性質を利用することで、安定して除湿した空気を作り出しているためです。つまり除湿性能を維持する代わりに、ハニカムローターを加熱と冷却を繰り返すためにエネルギー消費が必要となります。
しかし、樹脂を乾燥するために正味必要なエネルギーを考えた場合、消費されたエネルギーを全て樹脂を乾燥するためだけに使用できているわけではないことに気づきます。この視点に立った時、初めてムダに消費されているエネルギーが見えてきます。

画像提供:㈱松井製作所

最新機が実現した「安定」と「省エネ」

2022年10月、松井製作所から新しい除湿熱風乾燥機「MJ6-i」が発売されました。この乾燥機は、使用状況を連続的にモニタリングし、最も省エネルギー・省資源な運転モードに自動的にコントロールする「セルフコントロール機能」を搭載しています。この機能により、常に同じパワーで運転を行なうのではなく、生産量・生産品種の変化や金型交換時の一時停止など、成形機の稼働状態に合わせ、自律的にエネルギー資源の無駄を減らして運転することができ、「成形の安定」と「省エネ性能」の両立を実現しています。
また乾燥剤の再生についても、再生加熱用の吸気を排気エネルギーによって昇温する機構を搭載し、ヒーター出力を極力抑えられるようになりました。さらに設計を見直し、樹脂乾燥のための熱エネルギーをより効率よく活用することで、アフタークーラーの必要が無くなり、安定した除湿性能とダウンサイジングを実現しました。これらにより、「セルフコントロール機能」を搭載していないモデルと比較して、最大83%の省エネ効果を達成しました。

除湿熱風乾燥機「MJ6-i」
画像提供:㈱松井製作所

成形工場のfactor4実現に向けて

松井製作所では、成形工場の「factor4」実現を目指し、成形工場の課題である「エネルギーのムダ」「樹脂のムダ」「水のムダ」をなくし、資源生産性を上げるための機器開発をはじめ、工場の診断や、資源生産性向上のためのソリューション提案を行っています。本稿で紹介した除湿熱風乾燥機は、factor4実現に向けたソリューション提案の一つです。私たちは、乾燥機や金型温度調節機などの機械を作って販売するだけではなく、成形工場の資源生産性を飛躍的に向上させていくことを使命と考え、私たちの働き掛けを通して、地球環境とお客様の豊かさを両立することを目指しています。そして私たちの経営理念である「信頼される 応える 共に喜ぶ」関係をお客様のみならず、この地球環境とも築いていきたいと考えています。

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