公開日:2023/10/04

最終更新日:2023/10/11

人手不足を解決する、
金型交換の自動化・省力化 前編

日本の生産年齢人口は減少の一途をたどっており、少子化が進んでいる今、この現象は今後、少なくとも数十年間止まることはありません。
また、有効求人倍率に見られるように、昨今の人手不足はかなり厳しい状況で、厚生労働省のデータによると、プラスチック成形工場の有効求人倍率は4倍を超え、地域によっては8倍から10倍に達しています。この数値は、社会問題化しているトラックドライバーの有効求人倍率をはるかに超える水準で、人材を求める成形メーカーにとっては非常に厳しい状況です。
今回は、一層の効率運営が求められるプラスチック成形工場において、特に手間と時間の掛かっている金型交換を「自動化・省略化」する方法をご紹介します。

金型交換の自動化・省力化の重要性

工場内のすべての成形機が自動で生産をしてくれていれば人手不足は発生しませんが、実際の成形工場は皆様ご存知の通り、作業者が膨大な作業をこなすことで成形機の稼働を可能にしています。
例えば、生産を続けるだけでも材料の運搬や、乾燥・空箱運送等、多数の作業があり、その他トラブル対応や、新型立ち上げ、工程・品質の改善活動等、挙げれば枚挙に暇がありません。これらの中で、下図の赤字の部分は金型交換が関係していて、金型交換には特に手間と時間が掛かることから、成形工場の大きなネックとなっております。

画像提供:ニチエツ㈱


画像提供:ニチエツ㈱


こちらはある成形メーカー様の業務を分析した例です。
この会社では成形機22台を有しており、正社員だけで24名の方がいらっしゃいます。基本的には2交代で、1日18時間工場を動かしておられます。
成形現場は交代勤務と日勤のみの方を含め、合計12名いらっしゃいますが、この12名の1日の業務内容を分析した結果、金型交換が関連する作業に、総工数の約6割をかけていました。
残業時間があるため、作業時間は1日あたり13.2名分でしたが、このうち金型交換が関連する作業に7.8名分の作業がかかっています。金型交換の自動化・省力化を進めても、これを0にすることは簡単ではありませんが、たとえ3割の改善にとどまったとしても2名分以上の工数を捻出することが可能で、この工数はこの会社の場合、全社の工数の約10%に相当します。
この割合は非常に大きく、成形工場においては金型交換の自動化・省力化への取り組みは、労働環境改善や人手不足解消を目指す上で非常に重要です。もちろん、このような会社の状況は、各社様の生産体制や生産品目等によっても大きく変わりますが、成形工場にとって金型交換の自動化・省力化を進めることは、非常に重要であるということは変わりないと考えます。

金型交換装置の活用

一般的な金型交換装置は「横段取り」と言って、成形機の安全扉から金型を搬入・搬出することが基本的な構造となっています。
このような横段取りを実施するには、金型取付板の高さの統一化が必要です。これはノズルタッチの高さを揃えるためです。方法はいくつかありますが、例えば現在の金型取付板を新しいものに変更するか、あるいは取付板の規格が統一された新型から、横段取りを適用するという方法もあります。
その他、現在の金型の取付板の下部を、ブロックを取り付けるなどして延長するか、あるいは外側に、新たな取付板を追加するという方法もあります。また金型によっては、天地方向を90度回転する必要がある場合もあります。

画像提供:ニチエツ㈱


成形機に関しては、金型を移動させるためのローラー取り付けが必要です。金型を成形機に固定するためのクランプは、エアクランプやマグネットクランプなどの自動クランプがあれば工数削減に有効ですが、ボルトやイージークランプなどもご使用いただくことが可能です。
これらのローラーやクランプにつきましては弊社にて手配が可能です。このように横段取り化を適用するには、いくつか課題がありますが、これを乗り越えれば、省力化や生産性向上の大きなメリットを享受することができます。

画像提供:ニチエツ㈱


例えば両側タイプの金型交換装置では、生産中に装置の周りにある扉を開き、金型の載せ降ろしを行ないます。この時、装置の外側三面の扉は開きますが、成形機安全扉に面した内側の扉を閉めておくことで、成形機を動かした状態でも、安全に金型の載せ替えが可能です。
そして次に水管、ホットランナーケーブル等を接続すれば、あとは予備温調して、事前準備は終了し、生産中の部品の生産量が予定数に達すれば、金型交換をすぐに実行して、次の量産を開始します。
クレーンを使った従来の一般的な金型交換作業とは異なり、金型が成形機の横に待機しており、予備温調も完了しているので、非常に短い時間で次の生産を開始することが可能です。また金型交換の作業自体も、成形機と連動させることで自動化していくことが可能です。
下図の1から3の青字で書いた部分は、「外段取り」と言って成形機を止めずに行なう金型交換作業で、4番目のように赤字で書いた部分は「内段取り」と言って、成形機を止めてから行なう生産切り替え準備です。この内段取り作業を減らし、外段取り作業を増やすことが、生産性や作業効率の向上につながります。

画像提供:ニチエツ㈱


次に無軌道タイプの金型交換装置の場合、生産中に次の金型を乗せて、予備温調エリアに移動し、そこで予備温調して、生産切り替えの数分前などに成形機横に台車金型を移動しておけば、比較的短い時間で生産切り替えが可能です。
金型温度が高い場合、従来のようにクレーン操作をして、金型を成形機にセットするのは危険ですが、横段取りの場合、金型を横にスライドして入れ替えるだけなので、金型に取っ手等をつけておけば、特に問題なく作業が可能です。
また水管の接続自体も、ソルトン様などから販売されている「マルチカップリング」などを使うことで、ワンタッチに接続可能です。

画像提供:ニチエツ㈱


次回は横段取りの具体的な効果について

人手不足が続く今、成形工場には効果的な改善が必要です。成形工場では特に金型交換関連に工数が多くかかっています。ニチエツ㈱は、金型交換の自動化・省力化を実現するための各種金型交換装置を提供しています。金型交換に関してご興味がありましたら、お気軽にお問合せ下さい。
次回は横段取りによる具体的な効果について、ご紹介したいと思います。

記事制作協力:ニチエツ㈱


後編はこちらから ⇒ 人手不足を解決する、金型交換の自動化・省力化 後編

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