公開日:2023/05/12

最終更新日:2024/05/01

プラスチック基礎知識③ 射出成形とは?

プラスチックの射出成形を始めるには何が必要でしょうか?もちろん射出成形機、そして金型、あとは材料(プラスチックペレット)が必要だということは想像がつくかと思います。
しかし、量産のために使うものから、材料評価用の試験片成形であっても必須なものまで、実は多くの設備や備品が必要となります。

射出成形を始める企業が増えています

多くの企業が事業における環境負荷の低減、GHG排出量の削減に取り組んでいる中で、事業から排出される廃棄物削減の一環として、廃棄物の有効利用に積極的に取り組まれている企業があります。
工業部品製造業による不良品や端材のマテリアルリサイクルはもとより、例えば食品加工業などにおいても、副資材や梱包材のプラスチックを分別回収しリサイクルする取組みや、加工後に発生する食物残渣の有効活用方法の一つとして、残渣を化学処理しプラスチックに充填することで、石油由来プラスチックの使用量を削減しようという動きがあります。
こうした背景から、これまで直接プラスチック加工を行なうことがなかった業態の企業が、さまざまな目的で初めて射出成形を行なおうとするケースが増えています。

成形機に必要な付帯設備

射出成形の現場を経験されたことのある方の多くは、既に必要なものが揃った状態で業務をされていますので、有って当たり前だったものも多いかと思いますが、一から始める場合には、意外と多くのものを用意する必要があります。

先ず「射出成形機」「金型」「材料」が必要なことは言わずもがなかもしれませんが、成形部品の量産を行なうためには「付帯設備」が必要です。

<主な付帯設備>
乾燥機
 樹脂材料は吸湿した状態のまま成形を行なうと、外観不良や強度低下などの成形不良が発生します。そのため成形機に樹脂を投入する前に乾燥を行ないます。
温調機(金型温度調節機)
 安定した品質の成形品を生産し続けるには、樹脂を流し込む金型を適切な温度で一定に保つ必要があり、そのために金型の内部に温水や油を通します。
取出機
 出来上がった成形品を、金型から素早く安全に取り出す際に使用します。
ベルトコンベア
 次々に取り出される成形品を、効率的に次工程や集積場所へ送ります。
粉砕機
 金型から出てくる、成形品にならない部分(スプルー・ランナー)を粉砕します。(粉砕直後に成形機に投入する場合もあります)

金型に必要な周辺機材

次に『射出成形の良し悪しは金型で決まる』とも言われるほど重要な「金型」ですが、金型だけがあっても成形はできません。

<金型周辺機材>
クレーン
 先ずは金型を成形機に取り付けるため、金型を吊り上げます。(吊らずに金型交換装置を使う場合もあります)
チェーンブロック または スリングベルト
 金型に掛けてクレーンに繋げます。
アイボルト
 チェーンブロックのフックを金型を掛けるため、金型側に取り付けます。
温調ホース
 付帯設備で紹介した温調機から出る温水(または油)を金型内に流します。
カプラ・シールテープ
 カプラで温調ホースと金型を接続し、シールテープを巻いて固定します。
クランプ
 成形機の金型取付板に、金型を固定します。
ロケートリング
 金型に取り付けて、ノズル(成形機側の溶融樹脂吐出部)と金型側のスプル―の位置を調節します。

細かな備品や、場所の確認も重要です

射出成形機に金型を取り付け、材料を投入し、いざ成形開始となってからもまだまだ使うものはあります。
成形前のパージで出てくる溶融した樹脂を受ける「金属バット」から、詰まってしまったスプルを取り出す際の「真鍮棒」、ペンチやニッパなど細かな道具は、ここでは紹介しきれないほど有ります。

最後になりますが、まず必要となるのが「場所」です。設置スペースの確保とともに、設備+金型の重量に対し床の強度は十分か、電源・水道の位置や、搬入口の間口寸法などを確認する必要があります。
また、成形機を搬送するトラックの道幅や、搬入ルートの勾配など、「はじめて」にはいろいろと準備や確認が重要です。
これから射出成形を検討される場合には、是非一度ご相談いただけたらと存じます。


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