2024年に何が起こるか

なぜ「2024年問題」なのか、ご存じ方も多いかと思いますが、2018年6月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)が成立し、労働基準法・労働安全衛生法・労働者派遣法など、労働関連の8本の法改正が、段階的に施行されていくことが決まりました。
そして2024年4月1日より、物流を担うトラックドライバー(自動車運転業務)の、時間外労働時間の上限を年960時間とする労働基準法の改正が施行されることが決まっています。

1日8時間・週40時間という「法定労働時間」を超えて働くことを「時間外労働」と言いますが、残業の上限規制により1人当たりの年間の稼働時間が減り、全国的に輸送できる荷物量が減少し、各産業の物流が滞るという問題が、2024年4月の法改正を機に生じると言われています。

ドライバーの働き方改革に向けた法改正

働き方改革は、労働人口の確保・労働格差の是正・労働生産性の向上などを目的に、働きたい人がそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できるようにするために、政府が主導する法改正などの取り組みです。
国土交通省の発表資料によると、トラック輸送における就労状況は他の産業と比べ良いとは言えず、そのため前述の時間外労働時間の上限設定などの改革が実施されることとなったのです。

国土交通省.「標準的な運賃」,出展_23.4.10.
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000275060.pdf

物流プラットフォームの勃興

労働時間が短くなり、一日の走行距離が短くなることで、長距離輸送が必要な貨物の物流に支障を来たします。如何に効率的に運ぶか、ドライバーを確保するかが運輸業界のみならず、物流に関わる全ての企業の課題となっており、さまざまな対策や、新たなサービスが実施されています。

その一つに「中継輸送」※があります。当然ながら貨物を届けたトラックは、もとの倉庫に帰っていきます。その際に新たに貨物を積み、届けながら戻ることができれば効率的です。中継輸送は、お互いの目的地から出発したトラックが中継地点で合流し、ドライバーが交代する・トレーラーヘッドを入れ替える・貨物を積み替えるなどして、相手の貨物を運んで出発地に戻っていくことで、輸送距離を分担する方法です。これにより、ドライバーの運行時間を削減することができ、長時間運行に従事しにくい高齢者や女性がドライバーとして働ける可能性が出てきます。

※国土交通省.「中継輸送実現に向けたポイント」,参考_23.4.10.
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001479258.pdf


共同輸送・配送」という対応策もあります。「輸送」は大量の貨物をある場所から別の場所へ運ぶことを言い、「配送」は少ない単位の荷物をある場所から複数の場所へ運ぶことを言いますが、どちらも自社の貨物だけでは積載率が低い場合に、他社の貨物も併せて積むことで、効率の高い輸送・配送を行なうことができます。

「中継輸送」「共同輸送・配送」は、いずれも相手がいて成り立つ方法であり、運ぶモノも、場所も時間も異なるお互いの事情を調整するのは難しく、また効率化を実現し継続的に運用していくには多くの相手を必要とします。そこで、各企業の利害をマッチングして実施までをコーディネートする、所謂「物流プラットフォーマー」が運送業者のみならず複数の業種から誕生し、サービスを展開し始めています。

長瀬産業では、化学品業界特有の物流課題に対応した共同物流マッチングサービスを展開しております。
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課題を持つ皆様とともに「化学品AI共同物流マッチングサービス」始動!

問題解決に向けた共創

近年のEC市場成長による配送の増加、そこにコロナ禍による宅配需要の増加が加わり、2024年を迎える以前から物流業界はキャパを越える需要への対応に追われており、深刻なドライバー不足に見舞われています。運輸業界は料金値上げを原資としたドライバーの待遇改善などで対策を講じています。

その反面、物流費高騰の影響を受ける荷主である企業側でも、消費地を考慮した製造場所の設定や、需要予測の精度向上といった、物流を効率化する取組みを行なっている事例もあります。また、荷主への効率化義務を課す法整備も進められるなど、差し迫る2024年問題に対し、運ぶ側だけではなく、運ぶモノを作る側・それを使う側も一体となった対策が必要となってきています。