公開日:2023/09/29

最終更新日:2024/02/20

発泡成形技術の基礎

サステナブルな射出成形技術として、発泡成形が注目されていますが、一口で発泡成形といっても様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
本記事では発泡成形のメリットから各工法の特徴について解説していきます。

発泡成形に期待できること

そももそ発泡成形とは、溶融樹脂に発泡剤を混合し射出成形することで、図1のように成形品内部に空隙を設ける技術のことです。
発泡剤を混合した樹脂は粘度が低下し、金型内での圧力低下によって発泡します。
発泡成形には下記のような様々なメリットがあります。
【成形プロセス】
 ・型締力低減  ⇒成形品の大型化、設備のダウンサイジング
 ・樹脂粘度低下 ⇒ 射出圧力低減 ⇒省エネ、金型コストダウン、低温成形
 ・成形サイクルの短縮 ⇒省エネ
【成形品】
 ・軽量化     ⇒省プラスチック、製品コストダウン
 ・ひけ、ソリ低減 ⇒製品の高精度化、金型修正回数の低減
 ・高機能化    ⇒断熱性、遮音性

画像提供:(株)日本製鋼所

化学発泡成形と物理発泡成形

また、発泡成形には大きく分けて①化学発泡と②物理発泡の2種類があります。
①化学発泡は日本で主流の技術で、ホッパから樹脂材料と一緒に化学発泡剤を投入します。
温度が上昇することで化学発泡剤が分解し、シリンダ内に二酸化炭素等を放出します。
成形機の標準スクリュ・シリンダで対応できるため、イニシャルコストが低いという特徴があります。
(課題)
 ・化学発泡剤が高価
 ・発泡の均一性
 ・超エンプラ樹脂は適用困難
 ・リサイクルが難しい

画像提供:(株)日本製鋼所


②物理発泡はシリンダ中間の溶融樹脂中に窒素等の物理発泡剤を投入します。
安価な高圧ガスで発泡射出成形可能であり、超エンプラ樹脂にも適用可能です。
(課題)
 ・特殊なスクリュ・シリンダと特殊高圧装置が必要
 ・高圧ガス法の規制がある(日本)

画像提供:(株)日本製鋼所

ショートショット法とコアバック法

発泡剤を混合した溶融樹脂を金型キャビティ内で発泡させる方法も大きく2種類に分けられます。
A:ショートショット法
あえてショートショットで射出し、溶融樹脂が発泡する力によって金型壁面に樹脂材料を押し付けて賦形し、冷却固化させます。
この発泡により金型壁面に樹脂材料を押し付け賦形し、冷却固化されます。
(特徴)
 ・10%程度の軽量化が可能
 ・保圧を使用しない
 ・インロー金型など特殊金型は不要

(課題)
 ・圧力分布に起因して、発泡のばらつきが生じやすい

画像提供:(株)日本製鋼所


B:コアバック法
溶融樹脂を金型キャビティに充填後、金型を所定量開きキャビティ容積を拡大することにより発泡させます。
面内を均一に減圧できるため、均一な発泡状態を得ることができます。
(特徴)
 ・30%以上の大きな軽量化が期待できる
 ・保圧を使用する
 ・均一な発泡状態が得やすい

(課題)
 ・インロー金型など特殊金型が必要

画像提供:(株)日本製鋼所

今後の発泡成形技術

日本では化学発泡が主流となっていますが、近年ではリサイクル対応への課題から物理発泡へシフトする動きが出てきました。
JSWでは、1999年に国内では初めてTREXEL社とMuCeLL®ライセンス契約を締結し、2004年の第1次ブーム(OA機器分野にて普及)、2012年の第2次ブーム(自動車分野にて普及)、そして2019年からの第3次ブーム(SDGs・ESG対応)を通して豊富な成形事例を持っています。
例えば、下記は発泡成形に共通する課題である表面性状悪化対策の取り組みです。
 ・多色成形によるオーバーモールド
 ・ヒート&クール成形
 ・カウンタープレッシャー成形

サステナブルな社会実現のため、JSWは今後も発泡成形技術の発展に全力で取り組んで参ります。

JSW記事一覧

  1. 1. 全電動射出成形機の進化
  2. 2. 発泡成形技術の基礎
  3. 3. マグネシウムを射出成形するメリット
  4. 4. 射出成形機のIoT ~『遠隔操作』と『見える化』~
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