パッケージの環境対応の課題
食品のパッケージには一般的にPET、NY、PE、PPなど、さまざまな素材のプラスチックが使われています。
「素材」の見直しによるパッケージの環境対応の方法としては、使用するフィルムをバイオマス由来フィルムや紙に置き換えしたり、異素材構成のフィルムをPEやPPなどの単一素材にすることでリサイクルし易くしたり、生分解フィルムを用いてコンポスト可能なパッケージにするなど、さまざまな方法がありますが、それぞれに課題があります。
バイオマス由来のフィルムや生分解性フィルムは一般的にコストアップや、原料の供給量不足の可能性があります。また異素材構成のフィルムを単一素材にする場合、耐熱性や強度不足といった物性面で劣るといった課題もあり、素材の見直しは容易には出来ません。
もう一方で「加工」を工夫することでもパッケージの環境対応を実現することができます。
一般的には食品パッケージを製造するには、まずはフィルム原反を調達し、印刷や、様々な素材のフィルムを張り合わせるラミネートを行い、製袋工程を経て、皆さまがスーパーなどで目にする食品を包むパッケージとなります。
この「加工」工程での課題として、廃棄包材の問題が挙げられます。短納期の商品は受注後の生産では納期が間に合わないため、予測に基づいて生産をすることがありますが、それにより在庫超過となり、廃棄包材が生まれてしまいます。またユーザー側でも必要以上の在庫を抱え廃棄をすることもあります。
最終製品を仕上げるために投入するフィルム原反も数万m以上での中~大ロットで加工であれば良いのですが、仮に最小投入の4,000mでの加工となった場合、版替えの作業時間が長くなり、作業性も低下し、ロスも多く発生してしまいます。
また油性(有機溶剤型)の印刷では、乾燥工程でVOC(揮発性有機溶剤)が発生し、環境への悪影響の懸念もあります。
カナオカの「水性インクジェット印刷」
それらの加工における環境課題解決策として「水性インクジェット印刷」をご紹介したいと思います。軟包装業界トップクラスの食品包装の企画・製造・販売会社であるカナオカは2022年1月に「令和プラント」を立ち上げ、軟包装業界で初めて「水性インクジェット印刷」による商業印刷を開始しました。
「水性インクジェット印刷」であれば、デジタル印刷となりますので、小ロットでの製造ができ、製品在庫の削減に繋がります。版も製造する必要がありませんので、版替えの作業時間を削減することができます。また水性印刷となりますので、通常の油性(有機溶剤型)の印刷でインキを乾かす際に発生するVOC(揮発性有機溶剤)を減らす為、環境に優しい加工となり、パッケージに残留する有機溶剤も減るため、安心・安全なパッケージにもなります。
商品のサイクルとして立上時は小ロットのデジタル印刷で始め、売れ行きに応じて、通常のグラビア印刷に切り替え、終売時は在庫量を見ながら、小ロットのデジタル印刷にするなどの工夫をすることで、商品サイクル全体でのロスを低減することができます。
また冒頭にお伝えした環境配慮型の素材と組み合わせることにより、より環境に良いパッケージを実現することができます。
カナオカは、この「水性インクジェットを用いたプラスチックフィルムレスヒートシールバリア紙包装」を開発しており、2022年に「日本パッケージングコンテスト2022」を受賞しました。今年は世界包装機構(WPO: World Packaging Organization)主催の「ワールドスターコンテスト2023」で「ワールドスター賞」も受賞しています。
WPOでの紹介ページはこちらからご確認できます。
→https://worldstar.org/winners_detail/3189/2023/
ISCC PLUS認証
最後にカナオカのその他の拠点に関しても、ご紹介したいと思います。リサイクル材やバイオマス材の認証で世界的に有名な「ISCC PLUS認証」ですが、そのISCC PLUS認証材料を使用するには、工場自体もISCC PLUS認証を取得している必要があります。
カナオカ埼玉第三工場と九州工場ではそのISCC PLUS認証を取得していますので、サステナブル材を使用したパッケージの製造とご提供も可能となっています。
またカナオカは日本国内のみならず、タイ、インドネシア、中国にも製造拠点を構えています。ご紹介したカナオカの水性インクジェット印刷・ノンソルラミネート、ISCC認証材を使用したサステナブルなパッケージにご興味のある方、また海外でのパッケージ品質に課題をお持ちの方も是非、お気軽にお問合せ下さい。
記事制作協力:株式会社カナオカ