色がモノの魅力を高める
デザインの大きな要素に「色」があります。色は商品の第一印象を決まる大事なファクターです。私たちNAGASEは、色のもととなる「色材」を数多く取り扱っています。その色材の中でも、特に「顔料」を使って商品の付加価値を向上させています。
顔料は粉体のため、液中にそのまま加えて利用しようとしても浮き・沈殿・ムラが発生し、美しく色付けすることはできません。顔料をインクや塗料の中で均一化させるための「分散」という工程が必要です。そして分散には、「水系分散」と「溶剤系分散」があります。
環境安全性の高い商品を選んで使うことがサステナブルな社会の実現への第一歩で、そのひとつとして水系分散されたインクや塗料を選択するというものがあると思います。水性分散は、VOC(揮発性有害化合物)や火気の危険性が少なく済む点で、溶剤系のものよりも環境安全性が優れているといえます。
水性分散系と溶剤分散系
今後、溶剤系が当然だった分野でも技術革新によって水系化が進んでいくことは容易に想像できます。では、溶剤系でしか出せないメリットはどういうものがあるでしょうか。
溶剤系のインクや塗料のメリットは、滲みにくさや耐水性、速乾性です。せっかくの魅力的な製品も、色が滲んだりすぐ水に溶けてしまっては台無しですし、早く乾いてくれなければ次の工程に進めず歩留まりが悪くなります。このような点で、溶剤系は主に「便利さ」を得意としたものだといえます。
NAGASEが取り扱っている顔料も、溶剤系インクや塗料に数多く使用されています。顔料は発色を担っていますので、色が滲んだり溶け出てしまってはその商品のイメージや機能は大きく損なわれてしまいますから、溶剤系のニーズがあるわけです。
前述しましたが、これらのニーズも網羅する水系分散技術の開発が進んでおり、その技術確立のお手伝いをするのも私たちの仕事ですが、今回はまだ多方面でニーズのある、顔料の溶剤分散のメカニズムについてお話いたします。
顔料の溶剤分散
顔料を分散させるには、溶剤や分散剤が必要です。さらに顔料誘導体・バインダー樹脂を用いる場合もあります。
分散は主に以下の3つの工程で分けることができます。
①凝集体として存在している顔料を濡れさせ顔料の隙間に分散剤などが入り込みやすいようにする「湿潤」
②機械的な力などで顔料凝集体を一次粒子に近い状態にまで解砕する「分散」
③一次粒子のままの状態を保持させるための「分散安定化」
分散剤は特に②や③の工程で力を発揮します。私は分散を考える時、その中(今回ならば顔料分散液)に実際に入って観察するつもりでイメージをするのですが、顔料分散の場合、溶剤と分散剤、顔料が手をつないで仲良く過ごしている光景がイメージできませんか?
強くずっと手をつなぎたい環境により近づけるためには、顔料そのものの構造や顔料表面処理の種類、分散剤の選定が非常に重要です。必要ならば、前述した顔料誘導体やバインダー樹脂というサブキャラを登場させることも考えます。
「分散」でお困りならNAGASEへ
一口に顔料分散といっても、原料選定から工程の最適化まで、さまざまな技術が織り重なって構築されています。
溶剤系のメリットをもつ水系顔料分散液が世の中に広がるだろう未来予想図を描くには、まず溶剤系を知ることが必須!と考え、今回は溶剤分散についてご説明しました。
私たちNAGASEは、お客様のサステナブルな商品開発に加え、分散に関するお困りごとの解決を、分散加工メーカーとのネットワークと、本格的な自社ラボである「ナガセアプリケーションワークショップ」の技術力をフル活用してお手伝いする、「分散加工受託トータルコーディネート」を行なっております。
顔料のみならず、機能性フィラーなどの「分散」でお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。