マスバランス方式とは

バイオマスプラを普及させていくには、従来のプラスチックを代替できるだけの性能・製造コスト・バイオマス原料の確保が課題となります。
マスバランス方式」は、複数の原料(バイオマス原料と化石燃料由来の原料など)を混合投入し、製品(プラスチックなど)を製造した際に、投入したバイオマス原料の割合に応じ、一つまたは複数の特定製品にバイオマス由来特性を自由に割り当てるという手法で、どの製品にバイオマス由来特性を割り当てるかは、メーカーが決めることができます。
例えば、化石燃料由来原料を90t、バイオマス原料を10t使い、合計100tのプラスチック製品を生産した場合、10t分の一つの製品(1グレード)にバイオマス由来特性を全量割り当てることもでき、二つの製品(2グレード)に5tずつ、バイオマス由来特性を割り当てることもできます。

情報提供:旭化成㈱工業材料営業部

課題克服へのアプローチ

プラスチックとしての性能面に関して、マスバランス方式を採用したプラスチック製品は、従来の化石燃料由来原料100%プラスチック製品と比べ、性能・品質に差はありません
例えば、POMの原材料として使用するメタノールがバイオ由来のものであっても、それはメタノールそのものだからです。そのため、お客様は従来お使いの化石燃料由来材料をバイオマス由来特性が割り当てられた材料で代替する際に、物性面の変化を心配することなくご使用いただけます。

バイオメタノール由来のPOM

POM(ポリアセタール)は、強度・剛性等の機械的特性が高く、優れた摩擦・摩耗特性、寸法安定性、耐油・耐有機溶剤性を持つ、バランスのとれたエンジニアリングプラスチックで、その特性を活かした「ギア(歯車)」 は、自動車部品や産業機器から一般消費財まで、幅広く世界中で使用されています。
旭化成は、世界で唯一POMホモポリマー(TENAC™)とPOMコポリマー(TENAC™-C) の両方を製造しているメーカーです。
様々な業界・用途の要求特性をクリアする豊富なラインナップで多くの採用実績がございますが、この度、低炭素・脱炭素・資源有効活用といった社会要求に対し、「バイオ認証POM」の提供を開始します。

POMの原料であるメタノールの多くは天然ガスから製造されています。草木のような天然物や畜産排泄物、都市ごみ等から回収されるバイオマスガスから製造されるのが 「バイオメタノール」です。
どちらのメタノールを使用する場合も、そこからホルムアルデヒドを生成し、ポリマーに至るまでの製造工程は同じで、マスバランス方式により、ある製品(グレード)は従来通りの化石燃料由来のPOM、ある製品(グレード)はバイオ原料由来特性を割り当てたPOMとしてお客様へ提供されます。

TENAC™の製造工程
情報提供:旭化成㈱工業材料営業部

旭化成の取り組み

マスバランス方式において、世の中で確実にバイオマス原料が生産され、使用されることを担保するために「ISCC PLUS」という国際認証制度があります。そして、この認証制度は我々プラスチックメーカーのみならず、我々の製品をご使用になるお客様も含めて、サプライチェーン全体で取得する必要があります。
プラスチック製品メーカーである我々は、どのようなバイオマス原料(例 バイオメタノール)をどれだけ使用し、どのようなプラスチック製品(グレード)が生産され、どの製品(グレード)にどれだけバイオマス由来特性を割り当てたか、それらをどこにどれだけ出荷したかを管理・記録する必要があります。お客様におかれましては、それらのプラスチック製品(グレード)の使用数量や、成形品へのバイオマス由来特性割り当てに関して管理・記録いただく必要があります。

旭化成では、TENAC™ および TENAC™-C においても、2022年度にISCC PLUS認証を取得完了し、2023年度よりバイオマス由来特性割り当てPOMの量産を予定しております。 これからも各ステークホルダーと協力し、持続可能な社会の実現を目指してまいります。