公開日:2024/02/22

最終更新日:2024/02/19

次世代技術!木材由来のバイオマスモノエチレングリコール

近年、環境対応素材のニーズの高まりや、カーボンニュートラルの実現を目指す動きが活発化する中で、脱石油化学に伴うバイオプラスチックへの転換が加速しています。今回は、PETボトルや衣類の繊維など身近なものに使われている、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の原料である「モノエチレングリコール(MEG)」のバイオ化に着目します。

モノエチレングリコール(MEG)とは

モノエチレングリコール(MEG)は、無色透明の液体で、溶媒、不凍液、合成樹脂原料など幅広く使用されています。中でも、PETの原料の割合は大きく、2021年の総生産量:約3,300万mtのうち、PET原料として約3,000万mt程が消費されています。

このうちのほとんどは石油由来のMEGですが、唯一インドメーカーがサトウキビ由来の廃糖蜜を原料とした「バイオマスMEG」の量産化に成功しており、PETボトルメーカーやアパレルメーカー各社は、当材料を使用した「バイオマスPET」を市場に投入しています。
MEGのバイオ化は他メーカーでも検討されており、フィンランドのUPM社は、非可食原料である木材を使用したバイオマスMEGの開発に成功し、2024年の量産化に向けて顧客評価を進めています。

木材由来MEGの利点

紙パルプをはじめとした総合森林製品メーカーであるUPM社は、2024年にドイツで世界最大規模のバイオリファイナリー工場の建設を進めています。
最大の特徴は、ドイツ近隣に生育する非可食原料である「ブナの木」を原料としている点にあります。

独自技術によってブナの木をチップ化、糖化させることにより、木材由来のバイオマスMEGの製造に成功しました。
現状利用されているバイオマス原料は、サトウキビ、とうもろこしなど食料とのバッティングが懸念されるものが多い中、このような非可食バイオマスを利用した次世代技術は非常に注目されています。
さらに、原料に用いるブナの木は工場近隣の森林認証を取得した森林から調達し、持続可能な方法で管理を行っており、資源循環の観点からも魅力的です。
そして、製造されるバイオマスMEGは、純度、物性ともに石油由来MEGと比較して遜色なく、顧客からも良好なフィードバックを受けております。

世界初のカーボンネガティブMEG

もう一つ着目したい点は、製品のCFP(カーボンフットプリント)です。
一般的な石油由来のMEGは、原料の採掘から製造までに、MEG1kgあたり約1.5~2.0kg程度のCO2を排出します。先行する他社バイオマスMEGに関しても、石油由来品に比べてCO2排出量は抑えられるものの、約1.0kg程度のCO2は排出すると推定されます。

一方、UPM社バイオマスMEGは、量産稼働時にはカーボンネガティブを達成する可能性があり、実現すれば世界初のカーボンネガティブMEGとなります。
これは、ブナの木が生育過程で吸収するCO2の量が多いという点と、再生可能エネルギーを工場稼働のエネルギー源として使用することにより、原料、製造過程でのCO2排出量が抑えられることに起因しています。
このように非過食のバイオマス原料を使用しているというだけでなく、脱炭素の観点からも、UPM社のバイオマスMEGは非常に有用な材料なのです。

まとめ

ペットボトル、衣類などに幅広く使用されるPET樹脂の原料であるMEGは、次世代技術を用いたバイオマス化の取組が進んでいます。
2024年に商業生産開始予定のUPM社バイオマスMEGは、非可食原料である木材の使用と、世界初のカーボンネガティブMEGという点から、顧客のカーボンニュートラル達成に大きく貢献できる材料です。
ご興味を持っていただけましたら、さらに詳細の説明、サンプル評価の相談等、お気軽にお問い合わせください。

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profile

紺屋 柾人(こんや まさと)

<所属>長瀬産業株式会社 スペシャリティケミカル事業部 スペシャリティ第三部
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