公開日:2023/11/28

最終更新日:2023/11/28

化学の上流で導入が進む、
「バイオマスモノマー」の概論

近年はSDGs やESG といったキーワードから、環境対応素材へのニーズが高まっており、カーボンニュートラルの実現を目指す動きが活発化する中で、日本では環境省が2021年に「バイオプラスチック導入ロードマップ」を策定するなど、脱石油化学に伴うバイオプラスチックへの転換が加速しています。

バイオプラスチックとは

バイオマスモノマーを語る上で、先ずはそのモノマーを連続結合したポリマーで構成される、「バイオプラスチック」について触れていきたいと思います。バイオプラスチックとは、微生物等の働きで最終的に二酸化炭素と水に分解する「生分解性プラスチック」と、植物などの再生可能資源を原料とする「バイオマスプラスチック」の総称です。


生分解性プラスチックには、化石資源を原料とするものと、バイオマスを原料とするものがあり、後者はトウモロコシやサトウキビ等の「糖」からつくられる乳酸を原料とした「ポリ乳酸(PLA)」が広く知られています。
その他にも生分解プラスチックは、PHAやPBAT、PBSなどが量産化されており、レジ袋やカトラリーなど、私達の身の回りでも使用が増えています。

バイオマスプラスチックは、大きく「全面的バイオマス原料プラスチック」と「部分的バイオマス原料プラスチック」の2つに分けることができ、汎用樹脂からエンジニアリングプラスチックまで、種類が多岐にわたります。
これまでは、前述のように植物原料から誘導される原料が使用されていましたが、「バイオナフサ」等の新しい技術によって、ナフサ分解で生産できるものは全てバイオ化が可能になりました。

植物由来のバイオマスモノマー

サトウキビやトウモロコシ等の糖や油脂などを発酵、もしくは化学処理することで様々なバイオモノマーが開発され、樹脂原料として使用されています。
例えば、汎用樹脂であるポリエチレン(PE)に関しては、ブラジル/Braskem社がサトウキビを原料とする「バイオエチレン」を製造し、それを100%原料として使用したバイオマス度100%の「バイオマスPE」として販売しています。

このようにバイオマス原料と、そうでない原料を完全に切り分けて製造・管理する方法は「セグリゲーション方式」と呼ばれます。製品のバイオマス度が明確となる一方、専用設備への投資が必要となります。また従来の石油由来原料と比較し、物性や品質が異なる可能性も生じます。
こうしたセグリゲーション方式によるバイオマスモノマーは、ポリエステル(PET)の原料となる「モノエチレングリコール(MEG)」や、ポリアミド(PA)の原料となる「カルボン酸」など、種々の開発が進んでいます。
中でも、フィンランド/UPM社が次世代技術として開発したPET原料であるMEGに関しては、食料と競合しない「木材」を原料としており、可食バイオマス原料と比較して、二酸化炭素排出量を大幅に削減できることから注目が集まっています。

バイオナフサを活用した新手法

一方「バイオナフサ」と呼ばれる、木材チップやタール、使用済み食物油、廃棄物などを原料にした軽質油を利用する新手法も、積極的に検討が進んでいます。
バイオナフサは、直接既存のクラッカーに投入可能で、造られる製品は従来品と物性に違いがありません。そのため従来の化石資源ナフサと同時に、同じ設備・加工条件を維持したまま使用することができます。

そのため「マスバランス方式」と呼ばれる手法でバイオマス製品を製造することが可能となります。この手法は、紙やプラスチックなど多様な業界で適用されている考え方で、ある特性を持った原料と持たない原料を混合して製品を製造する場合に、特性を持つ原料の投入量に応じ、生産された製品の一部にその特性を割り当てる手法です。

環境省.「マスバランス方式に関する国内外の状況等」,出典_2023.11.25. https://www.env.go.jp/content/000143869.pdf


バイオナフサ製造メーカー大手のフィンランド/Neste社は、廃植物油や残渣油からバイオナフサを生産し、世界中の化学企業がこれを調達し、製造した各基礎化学原料の出荷が始まっています。
日本では三井化学が、このバイオナフサを原料に2021年からフェノールを製造し、22年2月に出荷を開始したことを皮切りに、複数製品への展開が進められています。

環境省.「マスバランス方式に関する国内外の状況等」,出典_2023.11.25. https://www.env.go.jp/content/000143869.pdf


各社がバイオナフサの導入検討を進める一方で、バイオナフサの原料となるバイオマスの安定した調達確保や製造の効率化など、供給する側も普及に向けた課題への対応を進めていっています。

バイオマスモノマーをご提案します

今後のバイオプラスチック普及に向けて、原料となるバイオマスモノマーにも注目が集まっています。供給安定性やコスト面で課題はあるものの、サステナビリティへの貢献に期待ができる素材です。

長瀬産業では、ジオール、アミン、カルボン酸など、プラスチックの原料となる種々のバイオマスモノマーを取り扱っており、お客様のご要求に応じた提案が可能です。
自社のサステナビリティ貢献の一助として、バイオマスモノマーのご検討されてはいかがでしょうか。

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紺屋 柾人(こんや まさと)

<所属>長瀬産業株式会社 スペシャリティケミカル事業部
    スペシャリティ第三部

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