公開日:2024/06/11

最終更新日:2024/05/28

医療業界のサステナビリティを支える素材 Arnitel®

医療業界は多くの課題に直面しています。その1つがサステナビリティであり、医療施設全体の運営、資材調達、廃棄などをより持続可能なものにすることです。そのためにさまざまな取り組みが行われており、例えば使い捨て医療用ガウンの取り扱いがあります。そこで今回は、エンバリオ社の持続可能な素材「Arnitel®」によるソリューションをご紹介します。

廃棄物の削減を目指す医療業界

医療提供者と患者の安全が重要な医療業界。医療用ガウンや手術用ガウン、その他の個人用保護具(PPE)といった使い捨て品など、日常的に使用される素材は厳しい基準を満たす必要があります。そして、この業界では安全性と同時に、サステナビリティがますます重要視されています。

例えば、病院では毎年500万トン以上の廃棄物が発生しており、効率的な建物運営、資源のスマートな利用、診断・治療方法の合理化など、さまざまな取り組みが行われています。そして、これらはすべて医療業界が廃棄物を削減しようとしている方法の一つですが、中でも医療施設の持続可能性を左右する重要な要因は、手術着、手袋、ドレープ、フェイスマスク、ドレス、リネンなどの医療用繊維製品にあります。

医療業界における非感染性医療廃棄物の可能性

すべての医療従事者は、病気の感染を減らしたり防いだりするために、患者と接触する際に医療用保護布を着用または使用しなければなりません。同時に、医療用繊維製品を廃棄する際には、感染性医療廃棄物が付着している可能性のある材料に関わる人々を保護するためのガイドラインに従って処理が行われます。

しかし、非感染性医療廃棄物(体液、その他の汚染されていないことが分かっている生物学的物質)である医療用繊維製品は、廃棄前に処理する必要はありません。非感染性医療廃棄物は、生物学的、化学的、放射性、物理的な危険性をもたらさないからです。

そして、非危険物医療廃棄物とみなされる素材は、2020-2025年には医療廃棄物市場の70%を占めると予測されており、持続可能性の観点から医療業界にとって大きなチャンスとなっています。例えば、医療用ガウン。業界の規制や基準(例:Association for the Advancement of Medical Instrumentation (AAMI))を満たしながら、保護性、快適性、持続可能性を提供する必要があります。さらに、ガウンは着用者を感染症から守ると同時に、動きやすく、体温を逃がす必要があります。医療用ガウンの持続可能性に焦点を当てる場合、これらの取り扱いを意識しながら、最適な素材を選択することが重要になります。

画像提供:エンバリオジャパン㈱

持続可能な軽量素材Arnitel®の特徴

高性能のポリエステルベースのブロック・熱可塑性コポリエステル(TPC)エラストマーであるエンバリオ社のArnitel®は、20年以上にわたって医療用品の製造に使用されてきました。

他のいくつかの素材とは異なり、多層ガウン構造におけるArnitel®ベースのモノリシック(無孔)フィルムは、液体および微生物バリア性能を示す指標であるAAMIにおいてレベル4に格付けされています。世界最高水準の保護性能を提供するために試験されており、クラス最高の保護性能に加え、通気性と耐久性に優れた構造で軽量であることも特徴です。

また、医療用途でのArnitel®の使用は、持続可能性にも大きなメリットをもたらします。100%リサイクル可能で、焼却しても有毒ガスは発生しません。また、カーボンフットプリントはフッ素系微多孔膜を使用した素材に比べ、製造に必要なエネルギーが最大70%低くなります。これらの素材は、リサイクルプラスチック廃棄物から得られるモノマーを部分的に使用したマスバランス素材から製造することもできます。

マスバランス素材は、化学的・機械的に石油化学ベースの材料と同じであるため、再改良の必要がありません。このソリューションにより、企業は製品に含まれるリサイクル含有量を正確に報告することができ、同時に材料を埋立地や焼却炉に持ち込まずに済みます。さらに、マスバランス素材の製造は、既存の製造システムで行うことができ、温室効果ガスの排出削減にも役立ちます。

画像提供:エンバリオジャパン㈱

エンバリオ社の持続可能な素材ソリューション開発

医療・ヘルスケア業界は、今後も持続可能性の課題に直面し続けると予想されています。2億着の医療用ガウンに使用されるArnitel®は、非感染性の医療廃棄物の付着がなければリサイクル可能で、医療施設の持続可能性目標の達成に貢献するため12,000トン以上が生産されています。Arnitel®の持続可能な素材が医療用繊維製品に使用されれば、医療・ヘルスケア業界の課題に対処する一助となるはずです。

Arnitel®を手がけるエンバリオ社は、より持続可能な素材ソリューション開発の最前線に立ち続けています。現在、業界で使用されている複合素材(ポリオレフィン・ウレタン・ポリエステルなど)に比べ、より簡単にリサイクルできる単一素材ソリューション(100%ポリエステルベースなど)が代替ルートとして検討されています。

お問い合わせ

profile

吉川 元晴

<所属>エンバリオジャパン㈱ 日本地域コマーシャル本部 事業本部長
エンジニアリングプラスチックスの用途開発を経験後、営業部長を歴任。2023年7月よりエンバリオジャパンの事業本部長に就任。

宮崎 隼人

<所属>エンバリオジャパン㈱ 日本地域コマーシャル本部 サステナビリティ推進チーム
<専門分野>フィルム・シート押出、コンパウンド開発、医療機器向け用途開発など
<紹介文>高機能製品群を中心とした用途開発を担当する一方、サステナビリティに関連するプログラム推進・情報収集/発信を担当。