公開日:2024/03/11

最終更新日:2024/03/06

解決!ポリ乳酸の生分解性を活かした画期的な処理(堆肥へ)!!

2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法は、増大するプラスチックごみ問題への対策として、プラスチック製品の設計段階から資源の節約やリサイクル性を盛り込み、有効利用を促進して【ごみの削減】を目指す法律です。地方自治体や消費者だけでなく【事業者】も含めた取り組みが求められており、焼却による温室効果ガスの排出にも対策が必要となっています。

プラスチック循環利用協会.「2022年の廃棄プラスチック排出量は「823万トン」,出典_2024.2.28 https://www.pwmi.or.jp/column/column-2358/



コンポスト処理で生ごみと共に無害化し堆肥へ

協和株式会社では、不要になったポリ乳酸成形品を、生ごみなどの有機成分とともに「素早く、効率的」に水と二酸化炭素に生分解させることで無害化し、その過程でつくられる「堆肥」を資源循環させる取り組みを行っています。
ポリ乳酸を生分解させ、生ごみを堆肥にするため、微生物の力と、【ヤンマー社バイオコンポスターYC100】を活用しています。

 ヤンマー社「バイオコンポスターYC100」
画像提供:協和株式会社


この取り組みは、焼却処理に比べて二酸化炭素排出量が大幅に削減できるだけではなく、完熟した堆肥を土壌改質剤として有効活用できるという特徴も持っています。
また、焼却プラや海洋流出プラを減らすことができ、環境負荷低減につながることも期待されます。

ゴルフ場での実証事例

ポリ乳酸のみでは堆肥として有効な成分を持たないため、単独での堆肥化はできません。
そこで生ごみなどの有機物を投入する必要があるのですが、具体的な取り組みとして、ローズゴルフクラブ様(滋賀県甲賀市)において、場内で使用され不要となったポリ乳酸成形品の「カップ、カトラリー、ストロー」などを、同様に場内で発生する「レストラン食物残渣、グリーンの刈り芝、場内で暮らすアルパカの糞、場内で製造するクラフトビールの残渣」などと一緒にコンポスト処理し、廃棄物となり得るモノを場内から排出することなく、発生した場所で「堆肥」として場内の芝の育成や緑化へ有効利用する、自己完結型の資源循環を実施しています。

画像提供:協和株式会社


2023年7月には、この取り組みから作られた完熟堆肥を使用して芝の育成テストを実施しましたが、化学肥料と比較しても植生に対する害は見受けられず、生育阻害はないと考えられる、順調な成果が得られました。
また、小松菜の発芽テストも実施し、問題がないことが確認できています。

画像提供:協和株式会社

ポリ乳酸の適正化がポイント

ポリ乳酸成形品をコンポスト機内の微生物の力を借り、分解しようとする際、同時に「熱」と「水分」が必要となる事は広く知られています。

しかしながら、一般的には分解にかなりの時間を要し手間もかかるため、実際に堆肥化される事例は少なく、焼却処理されているのが現実です。

本取り組みでは「ヤンマー社バイオコンポスターYC100」へ投入する前に、ポリ乳酸を簡便な方法で「加水分解」処理し、適正な分子量まで低下させます。
次に2~3日「YC100」内で一次発酵処理します。「YC100」の高い撹拌能力とポリ乳酸の分子量を低下させていることで、この時点でかなり細かく分断されます。

画像提供:協和株式会社


その後堆肥舎へ移し、2~3ヶ月「二次発酵」を進めることで「完熟堆肥」が完成します。
途中、1週間に1回程度切り返しを行い、空気と水分を入れることで発酵が効果的に進み、「60~80℃」の環境となり、ポリ乳酸の分解がさらに促進します。
結果、完熟堆肥が完成する2~3ヶ月後には、ポリ乳酸は水と二酸化炭素に分解しています。この「完熟堆肥」は土壌成分検査において成分的に問題がないことが確認されています。

画像提供:協和株式会社

環境貢献と経済的メリットが両立した解決策

世界的な環境問題の解決に向けて、事業者それぞれができることの一つとして、ポリ乳酸とごみのコンポストによる自己完結型の資源循環に取り組むことで、焼却ごみを削減することによる温室効果ガスの排出削減と、海洋流出ごみの削減にも貢献し、同時に産廃費用の削減や化学肥料の使用低減といった経済的メリットを創出する、という事例をご紹介いたしました。

日本では、産業廃棄物として回収されたプラスチックの大部分が焼却処理されており、ポリ乳酸に代表される生分解性プラスチックも、生分解される環境が限られていること、また分解時間の問題もあり、実際には焼却処理されており、有効的な資源循環策が実行されているとは言えない状況です。

このような取り組みが、循環型社会の実現、および今後の皆様の環境負荷低減活動検討の一助となれば幸いです。

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原田淳一

<所属>協和株式会社 機能性材料推進部
<専門分野>バイオマスプラスチック、バイオ素材コンパウンド、各種成形