ラベル台紙を水平リサイクルし、廃棄をゼロにする
「資源循環プロジェクト」

製品にラベルを貼り付ける工程で、剥がされるラベル台紙の量は、国内の製造業全体で、年間13.9億㎡に上り、ほとんどが廃棄・焼却されています。資源循環プロジェクトは、ラベル台紙をPET合成紙製の「リサイクル専用台紙」に置き換えることで、水平リサイクルを可能にし、ラベル台紙の廃棄をゼロにする取り組みです。

「リサイクル専用台紙」の開発経緯

現在、ラベルの台紙には、様々な種類の「剥離紙」が使用されています。「剥離紙」は、紙の表面にシリコーンなどの離型コート剤が塗布され、場合によっては、ポリエチレン樹脂がラミネートされている種類も汎用的に使用されています。そのため「剥離紙」は、一見すると紙のようですが、紙と樹脂の複合材料であるため、これまで古紙として回収されることなく、産業廃棄物や一般廃棄物として廃棄・焼却されてきました。

この「剥離紙」を水平リサイクルすることは極めて難しく、古紙へのダウンサイクルについても、技術面・設備面・コスト面・回収スキームの確立・法令対応など、様々な障壁があると考えられます。そこで、東洋紡製「カミシャイン」を用いた「リサイクル専用台紙」を開発したことで、『台紙の廃棄をゼロにするラベル』のご提案に至りました。

<画像提供:日榮新化株式会社>

資源循環プロジェクトのリサイクルスキーム

資源循環プロジェクトでは、ユーザーで発生する使用済みのラベル台紙を「有価物」として回収します。つまり、これまで「廃棄物」として費用をかけて処分していた使用後のラベル台紙が、明確に「資源」となり、20円/㎏と少額ではありますが、ユーザーにお金を受け取っていただく形になります。

ユーザー使用後の「リサイクル専用台紙」は、日榮新化の三重RP工場(三重県伊賀市)で最終分別を行なった後、東洋紡「カミシャインNEO」の原料となる、ペレット(樹脂)の状態にマテリアルリサイクルします。
東洋紡にて、このリサイクルペレットを用いた白色発泡PET合成紙「カミシャインNEO」が製膜され、離型処理などを施した「リサイクル専用台紙」が製造されます。
その後、日榮新化のコーティング設備で、この「リサイクル専用台紙」に様々な種類の基材を粘着加工し、いわゆる「ラベル原反(ラベル材料)」が製造されます。このラベル原反が、各印刷会社に納入され、ユーザーのご要望に沿ったデザイン・形状のラベルとして、最終的にユーザーに納入されます。
つまり、ラベルの台紙部分が、循環しているスキームとなります。

<画像提供:日榮新化株式会社>

ヤマトボックスチャーターが支える回収スキーム

資源循環のビジネスモデルでは、「回収(横持ち)費用」が収益性に与える影響が大きく、いかに合理的な回収スキームを構築できるかが、事業の安定性・継続性を担保する鍵となります。
資源循環プロジェクトでは、日榮新化・ヤマトボックスチャーターの2社間で、「資源循環プロジェクト回収スキームの最適化に向けた共創ロジスティックスパートナーシップ協定」を締結しており、回収業務全般をヤマトボックスチャーターが担っています。
「JITBOXチャーター便」を活用した「専用回収BOX」を運用することで、一部離島を除く国内全域から、ご負担をお掛けすることなく、合理的な「リサイクル専用台紙」の回収を可能にしています。

「専用回収BOX」は、資源循環プロジェクト公式Webサイト上で、「設置」・「回収」の手配をいただくことが可能です。また、「設置」・「回収」に伴う費用についても、ユーザーの負担はありません。「専用回収BOX」は、「JITBOX(縦1040㎜ × 横1040㎜ × 高さ1700㎜)」に、専用のフレコンバッグを設置する形となり、300~400㎏(ラベルの面積に換算して6000~8000㎡)の積載を想定しています。

<画像提供:日榮新化株式会社>

社会貢献・業界貢献のために

お蔭様で計画通り、2024年4月から、日榮新化・三重RP工場の量産稼働を予定しており、大変多くの企業の皆様にご参画・ご評価・ご検討いただいております。

本事業は、「ラベル台紙の廃棄をゼロにする」ことを最終的なミッションと考えています。「官民連携による公益性の向上」「環境価値の定量化」「海外戦略」「明確な差別化」、これらの事業方針に真摯に取り組むことで、事業を継続・発展させ、安定的な品質とコストを前提に、「廃棄物の削減」「CO2排出量の削減」「リサイクル率の向上」など、社会課題・企業課題に貢献し、社会やご参画企業・団体の皆様へ、責任を果たして参ります。

■ 資源循環プロジェクト公式Webサイト
https://www.shigenjunkan.com/

お問い合わせ

profile

本池 高大

<所属>資源循環プロジェクト代表(日榮新化株式会社)
<専門分野>サーキュラーエコノミー型ビジネス
<紹介文>2020年、日榮新化中途入社。資源循環PJの立ち上げに従事。2021年より営業管理職。現在、資源循環プロジェクト代表。