公開日:2023/09/27

最終更新日:2024/05/01

プラスチック基礎知識・物性編 2⃣
シャルピー衝撃値・デュポン式落錘衝撃値【解説動画付】

前回は、プラスチックの物理的性質を示す「密度」と「MFR」について解説させていただきました。
2回目となる今回は、プラスチックの機械的性質、その中でも「割れにくさ」を示す「シャルピー衝撃値」と「デュポン式落錘衝撃値」について、2分ほどで分かる動画を添えて紹介します。

機械的性質とは

機械的性質とは、物体の外部からの応力による変化に対する性質のことで、力学的特性、機械特性ともいわれます。
外部からの加わる力というと、例えば何かがぶつかってきたり、重たいものが載ったり、引っ張られたり、擦れ合ったりすること等が想像されますが、これらに対してどれだけ耐えられるかを試験し、数値化したものが各物性値となります。

<プラスチック材料の主な機械的物性>
・引張強さ、引張伸び、引張応力
・曲げ強さ、曲げ応力
・耐衝撃性、靭性
・硬さ、対摩耗性
・耐クリープ性、対疲労強度

今回のテーマである「シャルピー衝撃値」と「デュポン式衝撃値」は、何かがぶつかってきたり、落としたりしたときの「割れにくさ」、つまり耐衝撃性を示す数値です。プラスチック製品の耐久性に大きく影響する、材料選定時に参考すべき重要な物性項目です。

シャルピー衝撃値とは

シャルピー衝撃値は、ISO179(JISーK7111)で定められた試験方法で、振り子型試験機を使って測定されます。
試験片には「ノッチ」と呼ばれる切り欠きを入れ、振り下ろされたハンマーがノッチの反対側から衝突し、試験片を破壊した後に振り上がる角度から、衝撃破壊吸収エネルギー(J)を計算します。その値をノッチ部の断面積(cm2)で割り算したのがシャルピー衝撃値となり、単位は「kJ/m」で表されます。



振り上がる角度が低い=破壊時に試験片が吸収したエネルギーが大きい=シャルピー衝撃値が高い、となります。
物性表を見ると「ノッチ有」「ノッチ無」の数値が記載されていることがありますが、ノッチ無の場合「NB」(破断無し)となることが多いです。成形品の「割れ」は何らかの応力が集中する点から発生するため、ノッチにより応力集中点をつくり、割れを発生しやすくすることで、実際の割れにくさが確認しやすくなります。

プラスチックの「耐衝撃性」を示す物性には、「アイゾッド衝撃値」というもう一つのメジャー項目があります。
ISO法で主流なのがシャルピー衝撃試験、ASTM法で主流なのがアイゾッド衝撃試験ですが、実はこの二つの試験は、同じ試験機、同じ試験片を使って行なうことができます。
ハンマーの形状、試験片の設置方法、および打撃点がノッチ側か反対側か、といった違いがあります。



以下の動画では、実際の試験の様子などを収録し、1分半ほどでシャルピー衝撃値について解説しています。


デュポン式落錘衝撃値とは

シャルピーやアイゾッドは、数値によって耐衝撃性の高い/低い が分かりますが、割れた試験片を見比べてもよく分かりません。
一方で、条件を変えた試験片同士の「割れ方の違い」を比べるのに有効な試験方法として、「デュポン式落錘衝撃値」があります。

異なる条件の試験片とは、例えば
・プラスチックの種類やグレードの違い
・肉厚の違い、環境温度の違い
・塗装などの表面処理の有無や、処理条件の違い
などが挙げられます。

試験方法はシンプルで、下穴と撃芯の間に試験片を挟み、上から重りを落とすというものです。図のように温度条件による割れ方を簡単に比較したり、あるいは割れた/割れなかった によって少しずつ試験条件(重りや高さ)を変えていき、標準偏差値を求めたりします。



実はこのデュポン式落錘衝撃値が物性表に載ることはありませんので、初めて目にされた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、成形品になったプラスチックがどのように割れるかを確認できる、シンプルかつユニークで実用的なこちらの試験を出来るだけ分かりやすく皆様へご紹介したく、試験の様子などを収録した2分半ほどの解説動画を作成しました。是非ご覧ください。


材料研究・製品開発をお手伝いします

今回ご紹介した「シャルピー衝撃値」「デュポン式落錘衝撃値」の紹介動画は、ナガセアプリケーションワークショップ(NAW)の設備を使い、同所の技術者による試験デモの様子を撮影して作成しております。
NAWは兵庫県尼崎市に拠点を置く、NAGASEグループの樹脂材料・コーティング材料の開発施設です。これまで数多くのお客様とともに材料研究を行ない、新製品開発のご支援をして参りました。
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