CoCとは

CoC(Chain of Custody)は ISO 22095で規定されており、「加工流通過程の管理」と訳されますが、プラスチックのリサイクル、バイオマス化を考える上では「サプライチェーンの管理」と考えるのが自然です。 「Custody」には一般的に使われる「管理」ではなく、「権利の管理」的な意味合いがあります。 ISO 22095 に規定されているその他の用語の意味と合わせると、「インプットの特性を、アウトプットにわたるサプライチェーン全体で管理する」という解釈が当てはまるかと思います。 ちなみに今現在、ISO 22095 に相当するJIS規格は制定されておりません。

CoCと「Defined Source」

PCR材、バイオマスプラスチックにおいて、前述の「インプット」にあたるものがリサイクル原資であり、バイオマス資源となり、「アウトプット」は出来上がったプラスチック材料になります。

材料のサプライチェーンの場合、インプットは「Defined Source」となります。これについて ISO 22095 での規定はありませんが、UL ECVP 2809 に規定があり、リサイクル、リユース、海洋プラスチック、バ イオマス原料を例として挙げています。
下図は CoC の全体像を表した模式図です。
「インプット」「アウトプット」「生産プロセス」とも単一であったり、複数であったりと制限はありません。

画像提供:P.M.アドバイザー


ISO 22095 では、「インプット」と「アウトプット」の特性が同じか否か、どのようなプロセスで生産されるか、特性をどのように管理するか、によって CoCの形態(モデル)を分けています。

特性が変わらないCoCモデルは「Model without mixing」と呼ばれ、「インプット」の特性が1つの場合がこれにあたります。
特性が変わるCoCモデルは「Model with mixing」と呼ばれ、異なる特性を持つ2つ以上のDefined Sourceを「インプット」とする場合がこれにあたります。 すなわち、インプットAとBの特性が同じであれば「Model without mixing」であり、特性が異なれば「Model with mixing」となります。
これらは実際の「モノ」に「特性」を付けてセットで管理されますが、「モノ」と、そのモノがもつ「特性」は、個別に管理する方法もあります。

CoCの分類が必要な理由

「Model without mixing」の場合、例えば「Defined Source」が PCR材100%であれば、得られる「アウトプット」も PCR材100%となり、生産プロセスとしては、規定外の「インプット」が混入しないことを管理するだけで元の特性を引き継ぐことができます。

ところが「Model with mixing」の場合、例えば「Defined Source」が PCR材50%とバージン材50%の場合、得られる「アウトプット」は PCR材とバージン材の混合物となり、「特性」が変わってしまいます。
新たな「特性」には2種類の材料の混合比も含まれるので、これが常に一定であるように生産プロセスを管理する必要が出てきます。

CoCを分類することによって、「Defined Source」が1種類なのか、複数なのか、「インプット」と「アウトプット」で「特性」が変わるのか、変わらないのか、生産プロセスで何を管理すべきなのか、を区別することができます。

5つのCoCモデル

ISO 22095では、CoCモデルとして以下の5つを規定しています。

① identity preserved model : ID保存モデル
② segregated model : 分離モデル
③ controlled blending model : 制御されたブレンドモデル
④ mass balance model : マスバランスモデル
⑤ book and claim model : 帳簿とクレームモデル

この中で①②が「Model without mixing」、③④が「Model with mixing」です。⑤は「モノ」と「特性」を個別に管理するモデルです。

次回のコラムでは、上記①から⑤までのCoCモデルについて、具体例を示しながら解説していきます。

バイオマスプラスチックに関する規格シリーズ

  1. 1. 環境配慮型プラスチックにおけるバイオマスプラスチックの位置付け
  2. 2. バイオマスプラスチックの製造について
  3. 3. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証① 「ISCC PLUS」
  4. 4. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証② 「REDcert2」
  5. 5. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証③「RSB」