想定外の消毒方法による損傷

十分な耐久性を考慮して設計され、厳しい品質基準のもとに製造された製品でも、落下衝撃などにより損傷することは当然あります。また不慮の衝撃が加わらなくても、想定外の使用方法によって耐用年数を短くしてしまう場合もあります。
例えば新たなウイルス感染症に対する予防措置として、病院の設備や医療機器の消毒が厳重になり、より強力な消毒効果のある薬品に変更したり、消毒頻度が増やしたりすることで、機器のディスプレイやカバーといったプラスチック部品に想定を超えた負荷がかかり、表面が劣化したり、環境応力破壊(所謂「割れ」)を起こすこともあります。

pressreleasefinder.com_2023.2.2,出典_2023.3.24
https://www.pressreleasefinder.com/SABIC/SABICPR634/en/

耐薬品性を向上させた、新しいPCコポリマー樹脂

PC(ポリカーボネート樹脂)は、優れた透明性と耐熱性・耐衝撃性・寸法安定性をもつ5大汎用エンプラ の一つで、自動車のヘッドランプカバーや建築資材、電子機器など幅広い用途で使われています。上述の医療機器にも使用されていますが、強力な消毒剤に対する耐薬品性は不十分という欠点もあります。

2023年2月にアメリカで開催された、医療技術の国際展示会である「MD&M West 2023」にて、SABICスペシャリティ事業部が発表した「LNP™ ELCRES™ CRX1314TW コポリマー」は、以下の特徴をもつPCコポリマー樹脂となります。

・一般的なPC樹脂と同等の、優れた寸法安定性・成形性・耐衝撃性
・強力な消毒剤(アルコール、オキシドール、第4級アンモニウム塩など)に対する優れた耐性
・0.8mm~1.0㎜の肉厚において、一般的なPC樹脂と同等の透明性
・低温環境(マイナス40℃)でも高い耐衝撃性を保持
・UL94 HB燃焼試験への適合
・ISO10993に準拠した生体適合性

pressreleasefinder.com_2023.2.2,出典_2023.3.24
https://www.pressreleasefinder.com/SABIC/SABICPR634/en/

バイオマス原料を使ったCO2削減グレード

更にSABICスペシャリティ事業部は、バイオマス原料を使って製造する「LNP™ ELCRES™ CRX1314BTW コポリマー」も発表しています。
化石由来原料を使って製造される上段の LNP ELCRES CRX1314TW コポリマー と同じ特徴をもちながら、こちらはCO2排出量を最大48%削減※できるグレードとなります。

LNP ELCRES CRX1314BTW コポリマーおよびLNP ELCRES CRX1314TW コポリマーは、世界中で供給が開始されていますので、更に詳しい情報やサンプル等のご用命は、こちら へご連絡ください。

※ISO 14040/14044 プロトコルに準拠しSABIC社内で実施したライフサイクル分析による算定値

トレードオフのない耐久性の向上

プラスチック部品の耐薬品性を向上させたいのであれば、結晶性樹脂を採用するという選択肢もあります。しかし結晶性樹脂は、PCのような非晶性樹脂と比較し、部品の寸法公差に悪影響を与える可能性のある、吸湿や収縮、反りが多く発生します。また汎用的な結晶性樹脂は、PCのような透明性をもちません。
PCよりも耐薬品性が良好な他の非晶性樹脂という選択肢もありますが、耐熱性や耐衝撃性が低下してしまったり、透明性が低下したり、高い成形加工温度や狭い成形条件幅が要求されたりと、製品設計の変更や生産性の低下につながる可能性があります。

LNP ELCRES CRX1314BTW コポリマーおよびLNP ELCRES CRX1314TW コポリマーは、そうしたトレードオフが無く、従来PC系樹脂を採用していた部品の耐薬品性を向上し、製品の耐久性を向上させられる可能性をもつドロップインソリューションとなります。