テクノロジーが結集した「字幕メガネ」

Beijing LLVision Technology社が開発した「AR(拡張現実)スマートグラス」は、リアルタイムで音声を文字に変換し、レンズに表示することができるという、所謂「字幕メガネ」です。
内蔵されたマイクが拾う音声を言語認識し、それを設定した言語に翻訳し、テキスト化し、レンズに表示するという処理作業を、ミリ秒単位で行なえるという最先端のARスマートグラスには、コンピュータチップをはじめとした複数の電子部品や、それらを動かす電力を供給するリチウムイオン電池が搭載されます。
それらを内蔵し、且つスマートグラスとして快適に着用できる製品にするためには、部品の小型化、形状設計・内部構造の最適化など、さまざまな技術が盛り込まれます。

pressreleasefinder.com_2023.3.29,出典_2023.4.7
https://www.pressreleasefinder.com/SABIC/SABICPR635/ja-JP/

耐久性・快適性・安全性から選ばれた樹脂材料

メガネに部品を取り付けるとすると、ほぼ「テンプル(耳に掛けるつる)」の部分にしか、そのスペースがないことが想像できます。
LLVision社は、薄肉で中空形状に成形したプラスチック部品をテンプルにすることを決め、世界中から候補となるプラスチック材料を集めて比較試験を行ない、SABIC社の「ULTEM(ウルテム、PEI:ポリエーテルイミド)1000 樹脂」を採用しました。

「ULTEM」はPEI(ポリエーテルイミド)と呼ばれる、非晶性のスーパーエンプラで、「1000」 は非強化(フィラーなどを含まない)の一般グレードです。
ULTEM 1000は、高耐熱性、高強度、高弾性および幅広い耐薬品性を備えており、長年他のアイウェア用途に使用されてきました。
今回発表された内容によると、以下の特徴が評価され、LLVision社のARスマートグラスに採用されています。

■ 延性と剛性のバランスが優れている
 ・テンプルを薄肉化することが可能で、他の材料と比較し最大30%軽量化でき、同時に部品搭載スペースを確保できる
 ・着用した際に頭部をしっかりとホールドできる
寸法安定性が優れている
 ・効率的な組み立てが可能
■ 難燃性が優れている(UL94 5VA、V0、V2適合)
 ・複数の電子部品を搭載したデバイスの安全性を高められる
 ・自己消化性を持ち、ハロゲン系難燃剤を含まない

ARスマートグラスが果たす役割

世界保健機関(WHO)によると、世界中には、約15億人(世界人口の約20%)もの、何らかの聴覚障がいを抱えている人がいて、2050年までにその数は25億人に増えると予測されています。
騒がしい場所では声が聞き取りにくかったり、相手がマスクをしていると読唇術によって発話を読み取ることが難しいといった問題の解決に、こうしたARスマートグラスは貢献していくと思われます。
また日常やビジネス環境でも、複数言語が使用される場において、より円滑にコミュニケーションがとれることで、積極的な交流が促進されていくのではないでしょうか。

pressreleasefinder.com_2023.3.29,出典_2023.4.7
https://www.pressreleasefinder.com/SABIC/SABICPR635/ja-JP/

ULTEMで製品に付加価値を

高性能化や耐久性、製品の付加価値向上に貢献することができる ULTEM(PEI樹脂)ですが、樹脂材料の製造工程における環境負荷低減に貢献する、再生可能原料を用いて認証を取得したバイオベースバージョンも製造されています、 また、優れた樹脂特性をさまざまな用途で活用できるように、非強化・一般グレード以外にも、幅広いラインナップがあります。 更に詳しい情報やサンプル等のご用命は、こちらへご連絡ください。