グリーン購入法とは
こんにちは、plaplat編集部のTomです。日本が誇るサステビリティ推進活動について、前回の「温対法と省エネ法」に続き、今回は調達活動におけるサステナビリティを促す法律「グリーン購入法」をレポートしたいと思います。
「グリーン購入法」とは、国等の機関にグリーン購入を義務づけるとともに、地方公共団体や事業者・国民にもグリーン購入に努めることを求める法律です。20年以上も前の 平成13(2001)年4月に施行されており、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」とも言います。
そもそも「グリーン購入」とは、製品やサービスを購入する際に、環境を考慮して、必要性をよく考え、環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することです。
購入者側へ使用・消費・廃棄などの行動の環境配慮を促すだけはなく、供給側の企業へも環境負荷の少ない製品の開発を促すことで、経済活動全体を変えていく可能性を持っています。
簡単な言い方にしますと、「まずは国が調達するものを社会に先駆けて率先的に環境配慮型製品に代えていき、ひいてはそれが社会のスタンダードになっていけば良いな」という法律となります。
対象となる品目と判断の基準
この法律に沿った購入の指針となるのが、「グリーン購入の調達者の手引き」です。
この手引きは、「特定調達品目」(国及び独立行政法人等が重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類)及び「その判断の基準」等について、国などの調達者が、その内容を正しく理解し、環境物品等の調達を容易に行なうことができるよう作成されたもの とされています。
「特定調達品目」
公財)日本環境協会 エコマーク事務局「グリーン購入法とは?」,出典_2023.6.6
https://www.ecomark.jp/about/green/
手引きの中身を見てみますと、基本的に「要件」として求める必須事項的なものと、「促す」という意味の推奨事項的なものの2種に分かれています。しかし、過去の変遷を見ますと「推奨事項」は、いずれ「必須項目」になっていく流れがあるようです。
次の段落でいくつか具体例を見ていきましょう。
具体例を見てみましょう
「画像機器等」の「コピー機等、プリンタ等、ファクリミリ、スキャナ」では、必須事項として以下の「共通基準」が定められています。
【共通基準】
1. 定量的環境情報(カーボンフットプリント)の開示 ※令和6年3月31日まで経過措置を設定
2. 特定の化学物質が含有率基準値以下、含有情報の公表
3. 製品の回収・リサイクルシステムの保有等
4. 少なくとも 25g を超える再生プラスチック部品又は再使用プラスチック部品の使用
(資源有効利用促進法の特定再利用業種に該当する機器に適用)
5. 紙類の判断の基準を満たした用紙の使用が可能
既にカーボンフットプリントが必須事項になっている点は、社会を大きく牽引するのではないかと期待されます。
また、推奨事項である「配慮事項」として「ライフサイクル全般にわたりカーボン・オフセットされた製品であること(コピー機等3品目に適用)」が記載されている点も見逃せません。
■ 環境省.「グリーン購入の調達者の手引き 令和5年2月」,参考_2023.6.6.https://www.env.go.jp/content/000113502.pdf
■ 環境省.「グリーン購入の調達者の手引き 令和3年2月」,参考_2023.6.6.https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/tebiki/r3_tyoutatusya.pdf
時代と共に要件が厳しくなっていく様子は、令和3年の手引きと最新の令和5年のものを見比べるとよく分かります。
「オフィス家具等」の事例を見ますと、この領域では大きく二つの変化がありました。
一つは判断基準に、「エコマーク若しくはJOIFAグリーンマークがないと事実上購入できない」と変わっています。これは令和3年版にはありませんでした。判断基準は必須事項ですので、かなり重い要件です。
もう一つは配慮事項に以下が明記されています。
☑ 定量的環境情報(カーボンフットプリント)が開示されていること。
☑ ライフサイクル全般にわたりカーボン・オフセットされた製品であること。
コピー機等で既に必須化されているカーボンフットプリントが配慮事項に加わったと言う事は、いずれは同じように必須事項になるであろうと予想されます。
調達活動のあるべき姿に向かって
グリーン調達の手引きを見ていると、調達活動の未来が見えるような気がします。
あと数年もすれば、公共調達では「カーボンフットプリント」と「カーボン・オフセット」が当然とされる時代が来るのでしょうね。
カーボニュートラルを宣言し、さまざまな方向性でこれを推進していく国を誇りに思いながら、我々の活動もその一助となっていければ幸いです。