法制化を進めたGXリーグでの議論

こんにちは、plaplat編集部のTomです。これまでカーボンニュートラルに向かう世界の流れや、実は以前から日本にもあったサステナ関連法規制についてレポートさせていただきましたが、今回は2023年になって成立した「GX推進法」と、日本政府の動きをレポートしてみます。

この法律は2022年から始まっている、ある動きが土台になっています。それは「GX:グリーントランスフォーメーション」です。平たく言いますと、「カーボンニュートラルに貢献しながらも、これを逆にチャンスと考えて挑戦し、国際競争力も身に着けながら、周りも巻き込んで社会システムすらも変えてしまおう!」と言うものです。
経済産業省の呼びかけで、各業界からこの考えに賛同する企業が集まり、「GXリーグ」を形成し、主に以下の内容が議論されてきました。

〇GXリーグの取組を通じて目指す世界
〇GXリーグ参画企業の考え方
〇GXリーグの取組・プロジェクト
〇GXリーグ参画企業に対するインセンティブ・支援
〇GXリーグの設立準備にむけた進め方

これをイメージ化した図が以下となっています。

経済産業省.「GXリーグが目指す世界観」,出典_2023.7.25.
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/GX-league/gxleague_concept_2.pdf

カーボンプライシングとGX投資

こうした動きの中で成立した法律が「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)」であり、注目すべき点は大きく二つあります。

① 企業などが削減した二酸化炭素の排出量に値段をつける「カーボンプライシング」を導入し、排出量の削減目標を達成できなかった企業に市場から買い取らせるなどして、金銭的な負担を求める
② 脱炭素に向けた新技術の開発や産業構造の転換が不可欠になる為、官民合わせて10年間で150兆円を超えるGX投資を目指す

特に150兆円を超える投資を呼ぶ込むために、政府は20兆円規模の政府資金を調達する為の「GX経済移行債」の発行を行なうとしています。
また、本法律の成立前の21年5月には、民間での「サステナブルファイナンス」を活性化する為の政策として、「クレイメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」がまとめられ、その中で、GHG排出量が多い9つの産業分野(鉄鋼、化学、電力、ガス、石油、セメント、紙・パルプ、海運、航空)においては、削減のための技術導入ロードマップを示す取り組みも行なっています。
そのような後押しもあり、SDGs債は順調に増加しており、150兆円のGX投資の実現に向けて着々と進んでいます。

このような日本政府の動きは、世界の中で国として遅れをとることなく、そして国内企業が世界で戦う為の仕組みをつくる、非常に理にかなったものだと認識することができます。

合理的な税制である炭素税

カーボンプライシングについてもう少し見てみましょう。

経済産業省.「脱炭素に向けて各国が取り組む「カーボンプライシング」とは?」,出典_2023.7.25.
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/carbon_pricing.html


この中の「炭素税」は、「成長志向型カーボンプライシング」と呼ばれています。「税」と聞くと「うわっ増税ですか?」と受け取られがちですが、この炭素税の狙いは、とても的を射ています。
炭素税により、「炭素排出」に値付けをすることで、GX関連製品・事業の付加価値の向上が図られます。要するに気候変動を無視した商材や活動に税を課すことで、環境対応されたものの価格優位性が増すという事です。そして徴収された税金も脱炭素社会形成のための資金として使われるとなれば、納得のいく税制と思えます。

具体的には、今後以下のように実施されていきます。
□ 2028年度~
 化石燃料の輸入事業者等に対して、輸入等する化石燃料に由来する二酸化炭素の量に応じて、化石燃料賦課金を徴収
□ 2033年度~
 発電事業者に対して、一部有償で二酸化炭素の排出枠(量)を割り当て、その量に応じた特定事業者負担金を徴収

社会全体でのGX推進

本件調査を行なってみて感じたことは、本法律には、カーボンニュートラルを加速させる社会の価値観づくりと、GXを推進しようとする企業を支援する、お手本のような税制が盛り込まれており、まさに国内企業を鼓舞する、歓迎されるべき法律だということです。

今世界では、このような動きが活発化しており、官、民、学が一体となって、持続的な社会の構築に邁進しています。
我々も他人ごとではなく自分ごととして、このトレンドを引っ張っていく存在になっていきたいものです。