R2とは?
R2(Responsible Recycling)とは、「使用済み、または耐用年数を経過した電気・電子機器(WEEE)のリサイクル」を行なうにあたり、「電気・電子機器のリサイクルに直接関連する環境、労働者の健康と安全、および情報セキュリティの問題の管理の証明を行なう自主的ガイドライン」という位置付けの第三者認証プログラムで、この内容に沿う形で、「ISO 9001、ISO 14001、ISO 45001(旧 OHSAS 18001)の3規格の取得」、または同様の内容で構成されている「RIOS(Recycling Industry Operating Standard)規格の取得」が認証の前提条件として設けられているのが特徴です。
R2は2008年に初版が発行され、現在は非営利団体である SERI(Sustainable Electronics Recycling International)が運営と維持を行なっており、最新版はVersion3.0(2020年発効)となっています。
R2認証取得企業(施設)
認証は、PJR(Perry Johnson Registrars)、ORION Assessment Cervicesなどの認証機関が行なっており、認証の有効期間は3年と長めになっています。
2023年8月時点での認可取得済み企業は 1,049施設 です。そのうち登録地が日本の施設は 23、さらに材料リサイクル認証を受けているのは 8社 9施設 にすぎません。
画像提供:P.M.アドバイザー
米国において認証施設数が多いのは、R2認証がIT機器資産処分の取引先選定時の基準のひとつとなっている背景があります。
PCR材料メーカーの中でR2を取得しているのは、江西格林(GER)、Veoliaくらいしか見当たりませんでした。
実はApple社もR2認証を取得しています。意外な気もしますが、MacBookやiPhoneを積極的にリサイクルしており、R2取得はそのための必須事項なのでしょう。
認証のフロー
R2の認証は下図のステップで行なわれます。認定には8〜12か月を要し、多くはコンサルタントの支援を受けているようです。
画像提供:P.M.アドバイザー
最初の「教育」ですが、R2の要求事項を理解するところから始まります。R2の理念、導入メリットを理解し、必要がなければこの段階で導入中止という判断もあり得ます。
R2の運営団体である「SERI」の webサイト:R2 Knowledge Baseでオンライン受講が可能です。
「導入」では、プロセスと手順を文書化し、R2の要件をプロセスに組む込みます。
プロセスはシステムでの管理を要求され、認定の前提条件となっているISO 3規格(品質、環境、労働安全衛生)の計画、実施、および監視するための認定された「EHSMS」(Environmental, Health, and Safety Management System)の導入が義務付けられており、このシステムにR2独自で必要なプロセス管理を追加導入していきます。
「記録と証拠の収集」については、ISO 3規格がそうであるように、ワークフローに沿った記録の提示が求められます。加えて、処理を行なう電子機器、部品、および材料の追跡に必要な以下の文書が必要になります。
① 入庫に関する情報(船荷証券などの商業的な受入記録、受入の日付、詳細な説明(タイプと数量)、サプライヤー名)
② 入庫から処理、保管、出荷までのフローの正確な記録(追跡、管理、維持を実施)
③ 出荷に関する情報(船荷証券などの商業的な出荷記録、出荷の日付、詳細な説明(タイプと数量)、顧客・下流ベンダー名)
「内部監査」以降のステップは監査応答になります。
各ステップを含め、R2に関する諸々の詳細については、PJRのwebサイトに詳しく、丁寧な説明が掲載されていますのでご活用ください。
PJR webサイト:R2の認証取得審査
PCR材に関して、R2に対する私の本音は…
R2で取り扱いの対象となっているのは、使用済み、または耐用年数を経過した「電気・電子機器」(WEEE)であって、家庭ごみや自動車廃棄物などは含まれません。前回のコラムで「Open Recycle」の例で示したペットボトル(PET)、自動車のヘッドランプ(PC)などは対象外になります。
材料を使う側としては「PCR」などのリサイクル材であることが必須条件であり、ソースが「WEEE」であることは必須条件ではありません。この点で、R2認可取得に特別こだわる必要はないというのが正直な感想です。むしろ『自社製品の回収を行なっているが、機密保持、データ消去の信頼性の高い業者に処理をお願いしたい』という要求に対する業者選定のツールとしての活用に適していると考えます。