SCSとは
SCS は1984年、Scientific Certification Systems, Inc.の名称で第三者認証機関として発足し、同年、生鮮農産物に対する世界初の農薬残留物不使用認証プログラムを確立しています。
その後も食品系のプログラムをいくつか立ち上げ、1989年に小売業者向けの持続可能性サービスとして、環境クレームに関する第三者認証プログラムを立ち上げました。
さらにFSC、MSC、Fair Trade USAなど農林水産系環境認証を中心に認定事業者としての実績を積む一方で、GHGやカーボンオフセットなど幅広い分野で認証事業を行ない、2012年11月に現社名である「SCS Global Services」に変更し、現在に至っています。
SCS認証するリサイクル規格
SCSが認証を行なう規格は幅広く、こちらの「Standards Library(https://www.scsstandards.org/standards-library) 」では、分類だけでも21もあります。
21の分類の中で「Recycling」に分類されているのが「SCS-103」「SCS-103A」「SCS-106」です。
SCS-103は、Pre-Consumerリサイクル材、及び Post-Consumerリサイクル材の「含有」に関する規格であり、材料としてSCS-103を、企業としてはSCS-106を取得することが理想です。
画像提供:P.M.アドバイザー
プラスチックに関するその他の分類としては「Plastics」「Material Content」「Biodegradable」があります。
重複しない分類として「Material Content」に分類されている規格は次の通りです。
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SCS-104の対象には、今のところプラスチックは含まれていないようです。プラスチックを分解する条件定義に難しいところがあり、また先行する「TUV」との差別化を考慮すると、規格の適用範囲に加えるのにはまだまだ時間がかかりそうに思えます。
認証取得材料の検索、認証の手順
SCSによる認証の有効期間は1年です。
認可取得済みグレードはSCS Webサイト(https://ja.scsglobalservices.com/certified-green-products-guide)で検索できます。
検索要素としては、「製品カテゴリー」「認証」「メーカー」「国」の、4つのフィルターが設けられていますが、検索結果として表示されるのは基本的に認可グレードです。
製品カテゴリー : Plastics、認証 : Recycled Content、で検索すると、391ものグレードがヒットします。
この時点でグレードと一緒に、メーカー別、国別のカウントも表示されます。
上記391のグレードのメーカー別内訳は、SHPP(SABIC)社が 85 と圧倒的に多く、順にAgiplast Italia SRL社の 23、Revolution社の 14、COMBIPACK社の 12、Far East New Century社の 12、Jia Wei Lifestyle社 の10、その他、となっています。
登録グレード数が二桁の企業はこの6社のみであり、複数グレードを登録しているメーカーがかなり少ないことが伺えます。
国別では米国が最も多く 209 グレード、順に中国 140、台湾 27、イタリア 23、メキシコ 20、タイ 18、カナダ 11、その他となっています。日本企業では大洋化学のリサイクルPET「R-PET-NOJ-M8220」の登録が確認できました。
国別・企業別の登録グレード数を一覧にしたのが次の表になります。 SHPP、Jia Wei Lifestyle以外は、1メーカー1国の登録になっているのがわかります。おそらく、原料となるリサイクル材の回収に苦慮しているのではないでしょうか。
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認証手順はSCSの「Recycle Content」のパンフレットに公開されていますが、他の認証と同様のステップを踏みます。
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上述したように、材料としてSCS-103を、企業としてSCS-106を取得することが理想です。
SCS-103はCoC、トレーサビリティ(材料の出入管理)が重要になります。SCS-106では製造時のトレーサビリティに加え、リサイクルプロセスそのもの(Flowchart)の提示と、リサイクル材の品質管理が求められます。
SCS認証に対する私の印象は…
さまざまな環境規格に対する第三者認証および認証代行機関として、の経験値は非常に高いように感じました。ただ、アジア圏でのオフィスは中国、インドネシア、インドの3か所にしかなく、Recycled Content規格に対しては中国でしか対応できていません。
他にはISCC PLUS認証を行なえる利点はあるものの、データのやり取りなどハンドリングを考慮すると、使い勝手が良いとは言いにくい規格に思えます。