RED指令とREDcert

RED(Reneweable Energy Directive : 再生可能エネルギー指令)とは、欧州連合内で消費されるエネルギーの再生可能利用目標を定め、対応することを義務付けるEU法の指令のことです。
2009年4月に公布された「RED」では 2020年までに20% 、2018年に公布された「REDⅡ」では 2030年までに32%、2023年10月に公布されたばかりの「REDⅢ」では 2030年までに45%の再生可能エネルギー率達成を義務付けています。

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上の年表は、RED指令の公布と REDcert の発行を時系列に並べたものです。
REDcert の運営・維持を行なっている REDcert GmbH は、RED指令の公布を受け、2010年2月に、ドイツの農業およびバイオ燃料経済の主要な協会や組織によって設立されました。 
2010年7月には、食品/飼料、および産業用の持続可能なバイオマスを対象とした認証スキームである「REDcert-DE」を発行しています。2012年には、対象国をドイツを含むEU加盟国に広げ、スキーム名称も新たな「REDcert-EU」を発行しています。
さらに2018年公布の REDⅡ を受けて、化学産業に対象を広げて同年4月に改訂発行されています。REDcert2 の最新版は、2023年1月発行のVersion 1.2です。

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認証実績

認証は、DIN CERTCO、TÜV NORDなどが行なっており、認証の有効期間は1年で、毎年更新が必要です。
2023年12月時点での REDcert 全体の認証総数は25,314件と、ISCC PLUS の51,436件の半分程度です。 ただしREDcert2 の化学産業分野に限定すると200件と激減します。しかもこれは有効期限切れの認証を含むので、さらに現在有効な認証に絞り込むと75件しかありません。
有効認証について認証機関別の認証実績を以下にまとめましたが、ISCC PLUS と比べるとかなり見劣りする結果となっています。

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マスバランス方式

PCRの第三者認証である「UL 2809シリーズ」、バイオマス素材の第三者認証である「ISCC PLUS」のコラムでも「マスバランス」についてご紹介していますが、実はこのアイデアは、最初の章の年表に記載のある「TÜV SÜD Standard CMS 71 」で発表されたもので、現在では広く他の規格にも引用されています。
正式な規格名称は「TÜV SÜD Standard CMS 71 Renewable Resources」で、2012年にBASFと協力して TÜV SÜD が独自に開発しており、最新版は2017年発行のVerison 3.0です。<CMS71 Version3.0>
REDcertは2018年にこの標準を統合しました。

TÜV SÜDの最新版を確認してみましたが、内容的には REDcert2、ISCC PLUS と変わるところはありませんでした。マスバランスは複数あるCoC(Chain of Custody)のうちの一つでしかないので、マスバランス以外の可能性がある場合には CMS 71認証では機能不足になるため、認証を依頼する側の利便性を考え、統合されたのではないかと推測します。

REDcert2 の意義とは?

最初にマスバランス方式でのバイオマス度の算出を取り入れた REDcert ですが、REDcert全体の認証実績は25,000件を超えており、バイオ燃料の第三者認証としては確固たる地位を築いているのは間違いありません。
ただし、化学産業に限ると実績に乏しいのも事実です。
認証に必要な要件、認証ステップ、認証機関とも ISCC PLUS とほぼ同じですので、プラスチック分野に限れば、ISCC PLUS が今後ますます実績を重ねていくものと推察します。

バイオマスプラスチックに関する規格シリーズ

  1. 1. 環境配慮型プラスチックにおけるバイオマスプラスチックの位置付け
  2. 2. バイオマスプラスチックの製造について
  3. 3. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証① 「ISCC PLUS」
  4. 4. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証② 「REDcert2」
  5. 5. 【解説】バイオマスプラスチックに関する規格・認証③「RSB」