公開日:2023/06/19

最終更新日:2023/07/28

【正式版リリース】
改訂「EPEAT」攻略のポイント
モジュール①気候変動の緩和 

こちらのコラムで本年3月20日にDraft版の解説をお届けした「改訂版EPEATの新基準・モジュール①気候変動の緩和」ですが、5月11日に正式版がリリースされました。
今回はDraft版との違いを中心に、新基準をクリアするため必要な作業について説明していきます。

Draft版からの変更概要

正式版では、# 4.1.2項が「option」から「Required」になり、モジュール全体での「Required」が7項目から8項目に増えています。加えて要求内容のハードルがかなり高くなったことが最大の変更点です。
一方、「option」項目については適用範囲が狭くなったり、数値目標が下がったりと、要求レベルが下がった印象です。

画像提供:P.M.アドバイザー

変更内容の詳細「Required」

「Required」である8項目の要求基準について、Draft版と正式版を並べて表示します。
赤文字が正式版での主な変更点になります。

左:Draft    右:正式
画像提供:P.M.アドバイザー



#4.1.2
GHGインベントリの作成が義務付けられました。インベントリとは一覧表のことです。
スコープ1、2については全カテゴリーが対象ですが、一覧表にすること以外はDraftと作業内容は変わりません。
スコープ3についてはカテゴリー1、4、11、12のみが対象でしたが、今回この制限がなくなりました。すなわちスコープ3の全カテゴリーが対象になります。
排出量の対象はカテゴリー3の 67% との記載がありますが、67% を導き出すには全排出量を把握する必要があるため、結局は全てのカテゴリーが対象になってしまいます。

スコープ3は範囲がかなり広く、雇用者の通勤(C.7)や出張(C.6)での移動、工場廃棄物運搬(C.5)、工場拡張での作業(C.2)、販売した製品のユーザー廃棄(C.12)などで排出されるGHGも対象になっています。
各カテゴリーが該当するのか否か、該当する場合に実情を数値化可能なのか否か、数値化できない場合には擬似的なモデルケースを作って数値化することが必要になります。

スコープ3に関する詳細は、リンク先の環境省の情報が参考になります。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf

#4.2.1
Draftでは「GHGの最終目標値を設定すること」だけを要求していましたが、正式版では数値目標が掲げられました。ただし数値的には達成不可能な目標ではないと思われます。

#4.3.1
対象が最終組立施設からキーコンポーネント施設に変わっています。サプライヤーリストの提出は新規ですが、ISO 50001について「取得を指示」に留まっているため、難易度はさほど高くないと思われます。

#4.4.1
数値目標が25%から12.5%に半減しました。

上記以外の項目は実質内容変更はありません。

いよいよリリースされた正式版への印象

Draftからの改訂で #4.1.2. が Required となり、内容が変更となったのは、
「とにかく全GHGを把握しなさい。削減目標よりまずは現状把握をしっかりしましょう」
「その数値がないと削減でも何でも誤魔化しができるから、誤魔化せないようにするよ」
という、理想に向かって進んでいく意志表示に感じました。

スコープ3の対象カテゴリーをDraftの範囲に限定できれば(それも簡単ではありませんが、)全カテゴリーであるよりは取り組みやすいと思います。
今後更なる変更が加わるのか、注目していきます。

本コラムが皆様のお役に立てば幸いです。個別のお問い合わせやご質問は、以下のボタンよりお寄せください。



↓↓ 改訂「EPEAT」の概要と、各モジュールの新基準(Draft)解説についてはこちらをご参照ください↓↓
0. EPEAT及び改訂の概要
1.(Draft)気候変動の緩和
2.(Draft)資源の持続可能な利用
3.(Draft)懸念化学物質の削減
4.(Draft)企業のESGパフォーマンス

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profile

小池 寧 (こいけ やすし)

P.Mアドバイザー
<専門分野>プラスチック材料、潤滑剤、金属プレス材料、など

<略歴>事務機器メーカにて機構設計及び機構設計の標準化・材料のコストダウン・新人教育などに従事。2018年3月に現業を起業する。