本モジュールの目的

新基準のDraftは GEC-SUR-2022 として2022年5月4日に発行されています。
基準制定の目的は「製造から廃棄までのリソース消費のライフサイクルへの影響を軽減するためのパフォーマンスベースの基準を確立すること」なっています。
平たく言えば、いわゆる「3R:Reduce、Reuse、Recycle」を促進するための基準であり、3Rを妨げる製品仕様の排除が目的となっています。
本モジュール策定の事前調査である「State of Sustainability Research」では、「セクター」と呼ばれる分類ごとに
■製品の寿命
■使われている材料(金属、樹脂とも)の種類およびリサイクル材料の使用実績
■バージン材料とリサイクル材料の環境負荷の違い
■地域別の製品回収の実績

などを集計し、基準開発のための基盤を提供しています。

本モジュールの概要

「資源の持続可能な利用」モジュールの基準は、10個の中項目と、それぞれの中項目に紐づく小項目から構成され、全部で35の基準で成り立っています。
中項目の表題と「Required」「Option」の区分の数は表の通りです。

画像提供:P.M.アドバイザー



「Required」だけでも20個と多いので、 今回は ➡︎ をつけた、5項目・10個の主な「Required」基準の内容について、以下の章で解説していきます。

主な内容

画像提供:P.M.アドバイザー



#5.1.1、#5.4.1、#5.4.3
従来からある基準で、内容の変更もありません。

#5.1.3
従来からある基準ですが、①PC及びデイスプレイ、②画像機器、③TV、の3つ製品群を一つにまとめたものになります。
数値が変更となったのは②画像機器で、従来の「1製品5g以上のPCR材」から「1製品2%以上のPCR材」となっています。

画像提供:P.M.アドバイザー

#5.1.2
新たに加わった金属のPCR材に関する基準です。対象はアルミニウム・マグネシウム・鋼材ですが、PCR材の含有量の開示のみとなっています。

#5.2.2
こちらも金属に関する新規の基準ですが、対象がHDDの希土類磁石材料に限定されているので、機能を有さない製品に対しては除外される基準になります。

#5.4.2
これも従来からある基準ですが、相溶性の定義が明確にされました。
従来は「再利用およびリサイクルに適合しない、接着剤、コーティング、塗料、仕上げ、または表面コーティングに関連する顔料が含まれていけない」という表現のみで、OK/NGの判断が曖昧になっていましたが、新基準は衝撃強さという数値での判断に変更となります。

#5.6.1
データサニタイズ(データ消去)に関する要求です。PCや複写機などのようにメモリを搭載している製品に対する要求で、新規に追加された基準です。該当する製品はデータサニタイズの方法を開示する必要があります。

#5.7.1
製品回収サービスを要求しています。メーカによる直接回収か、代理店や回収業者の間接回収は問いませんが、米国全土が対象となります。

#5.7.2
#5.7.1で回収した製品に対して 、R2規格・e-Stewards標準・EN 50625、または地域で認定された相当の規格に対応することを要求しています。

Perry Johnson Registrars.「R2(Responsible Recycling)の認証取得審査」,参照_2023.4.6 . https://www.pjr.jp/r2/

画像提供:P.M.アドバイザー


R2規格・e-Stewards標準・EN 50625は、いずれも電子機器の適切な処理に関する規格で、リサイクルに直接関連する環境、労働者の健康と安全、および情報セキュリティの問題の管理の証明を行うプログラムになっています。 
R2規格を例に取ると、企業がリサイクルを行う場合に、上の図に示すような関係する全事業者をカバーする規格になっています。

注目すべき基準

先ずは「#5.7.1 製品回収サービスの提供」が「Required」となったことでしょう。
Blue Angelでは必須の基準でしたが、EPEATではこれまで触れられていませんでした。リユース、リサイクルにとって製品回収は必須ですので、当然と言えば当然なのかもしれません。
同時に「#5.7.2」を満たさなければならないことも、EPEATを取得する上で高いハードルになると思われます。

次いで「Optional」ではありますが、「#5.9.1 水管理(排水の行き先、品質、量、リサイクルの管理)」「#5.10.1 廃棄物ゼロ製造に近づける」は、資源をかなり広く捉えた結果の基準といえます。
「#5.7.1」と合わせて、3Rに対するEPEATの本気度が伺えます。



↓↓ 本コラムシリーズの続きはこちら ↓↓
【解説】改訂版「EPEAT」の新基準
0. EPEAT及び改訂の概要
1. 気候変動の緩和
2. 資源の持続可能な利用
3. 懸念化学物質の削減
4. 企業のESGパフォーマンス