本モジュールの目的

新基準のDraftは GEC-COC-2022 として2022年6月29日に発行されています。
基準制定の目的は「製造から廃棄まで、懸念される化学物質のライフサイクルへの影響を軽減するためのパフォーマンスベースの基準を確立すること」となっています。
特に新しく設けられた代替評価の項については評価方法の指定と、代替と見なして良いかどうかの閾値が明確にされており、厳密な運用を求められています。

本モジュールの概要

「懸念化学物質の削減」モジュールの基準は、5個の中項目と、それぞれの中項目に紐づく小項目から構成され、全部で22の基準で成り立っています。
中項目の表題と「Required」「Optional」の区分の数は表の通りです。

画像提供:P.M.アドバイザー



#6.1は製品、#6.2は在庫管理、#6.5は包装材に関する要求になり、これらには「Required」項目があります。
#6.3は代替評価、#6.4は製造工程に関する要求ですが、これらには「Required」項目はありません。

主な内容

最初に製品と在庫管理に対する「Required」の項目を解説していきます。

画像提供:P.M.アドバイザー



#6.1.1、#6.1.3
 従来からある基準ですが、エビデンスのフォーマットが規定されました。

#6.1.2
 従来からある基準で、内容の変更もありません。

#6.1.5
 従来は「外装プラスチック筐体」に限定した基準でしたが、今回はこの制限がなくなり、25gの重量制限のみとなりました。内部の発火源、及び発熱源を覆う部品には、これまでハロゲン系難燃剤を含有するプラスチックで対応されてきたメーカーは多いと思います。
パブリックコメントの期間は過ぎていますが、使用を継続されたいメーカーはGECへの働きかけが重要になります。

#6.1.9
 完全新規の要求ですが、化学品の段階ではGHS表示の対象となっている内容です。プラスチックや塗料、表面処理剤等のように、化学品の状態と製品に使用している状態で「様態」の変わるものについては注意が必要です。

#6.2.1
 新たに化学品の在庫管理が「Required」となりました。対象となる化学品は明確にされていますが、照合するための仕組み作りが必要になると思われます。

#6.2.3
 #6.2.1では特定の化学品が対象でしたが、こちらは製品の構成比率80%以上の材料が対象になっています。#6.2.1 と合わせて、化学品のデータベースを構築することが望まれます。


次に包装材に対する「Required」の項目を解説していきます。

画像提供:P.M.アドバイザー



#6.5.1
 重金属、塩素系漂白剤に関する規制は従来と同じです。フタル酸に関する基準が追加になっていますが、2020年7月から欧州REACHで既に規制がなされているため、実質的な影響は少ないものと思われます。

#6.5.2
 実質的にPVCが使用禁止となります。フタル酸エステルについては #6.5.1 で意図的添加を禁止にしているので、不純物としての濃度管理が重要になります。

注目すべき基準

一番は「#6.1.5 25g以上のプラスチック部品に含まれる臭素および塩素の含有量削減」でしょう。これまでは「外装プラスチック筐体」に限定された要求でしたが、今回この限定がなくなっています。
従来同様に限定を復活させるには、ユーザー(製品メーカー)からのコメントが必須になります。製品設計に対する影響が大きい要求ですので、撤回には多くのコメントが必要と思っています。

また、「Optional」ではありますが、「#6.3.1 物質選択の改善」で有害性評価ツールが指定されています。
「GreenScreen®」「Scivera」「Cradle to Cradle Certified®」「ChemForward」 が指定ツールですが、「#6.2 物質一覧表と透明性」で化学品情報の管理システムが要求されているので、この管理システムに上記ツールを組み込むのが理想になると思います。



↓↓ 本コラムシリーズの続きはこちら ↓↓
【解説】改訂版「EPEAT」の新基準
0. EPEAT及び改訂の概要
1. 気候変動の緩和
2. 資源の持続可能な利用
3. 懸念化学物質の削減
4. 企業のESGパフォーマンス