法律の背景

日本は2019年に関係省庁で3R+リニューアブルを基本原則とした「プラスチック資源循環戦略」を策定しました。これまでの3Rであるリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle) に加えてリニューアブル(Renewable)、再生プラスチックや再生可能資源などの活用を促すことを基本原則として2030年までにプラスチックの再生利用を倍増させるなどの6つのマイルストーンを目標として掲げました。

環境省 「プラスチック資源循環戦略」,出展_2023.4.20.
https://www.env.go.jp/content/900513721.pdf

またバーゼル条約が改正され2021年から汚れた廃プラスチックの輸出入管理が開始されました。海洋プラスチックごみ問題に加え、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化などへの対応を契機として国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進するため2021年6月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が成立し、2022年4月に施行されました。この法律では製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までのライフサイクルの全般に関わるあらゆる主体におけるプラスチックの資源循環の取り組み、3R+リニューアブルを促進するための措置を講じています。

制度の概要

プラ新法は、プラスチックの資源循環の促進等を総合的かつ計画的に推進するため、国が基本方針を策定し、次いで①設計・製造段階、②販売・提供段階、③排出・回収・リサイクルといったプラスチック使用製品のライフサイクルの各段階で各主体による取り組み内容を規定しています。

環境省 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の概要」,出展_2023.4.20.
https://www.env.go.jp/content/000050286.pdf

まず①設計・製造段階では、製造事業者による環境配慮設計を促す仕組みとして、「プラスチック使用製品設計指針」が定められています。プラスチック使用製品の設計・製造を行う事業者に対して、製品設計にあたって取り組むべき内容を示すものです。加えて特に優れた設計を国が認定する仕組みも設けられております。

②販売・提供段階では使い捨てのワンウェイプラスチックの提供事業者が取り組むべき判断基準を定め、提供事業者に対して使用の合理化の取り組みを求めています。

③排出・回収・リサイクル段階では主体によって3つの内容が措置されています。
1つ目に市区町村による分別収集・再商品化の取り組みです。プラスチック使用製品廃棄物について、市区町村による容器包装リサイクルルートを活用した再商品化を可能としております。また市区町村と再商品化実施者が連携して作成した再商品化計画に基づき、再商品化する仕組みを設けております。主務大臣による認定を受けた場合、市区町村による選別梱包等を省略して再商品化実施者が再商品化を実施することが可能となります。

2つ目にプラスチック使用製品の製造・販売事業者等による自主回収・再資源化です。製造・販売事業者等が作成した使用済みプラスチック使用製品の、自主回収・再資源化を行う計画について主務大臣による認定を受けた場合、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要となります。

3つ目に排出事業者による排出抑制・再資源化等です。プラスチック使用製品産業廃棄物等を排出する事業者が取り組むべき判断基準を定め、排出の抑制や再資源が党の取り組みを求めています。また排出事業者等が作成した再資源化を行う計画について主務大臣による認定を受けた場合、認定事業者は廃棄物処理法の業許可が不要となります。

今回は①設計・製造段階について纏めております。

プラスチック使用製品設計指針と認定制度

①設計・製造段階の取り組みとして「プラスチック使用製品設計指針」を説明します。
対象事業者はプラスチック使用製品を設計・製造する事業者となります。
プラスチックの資源循環の促進には、設計・製造の段階での「環境配慮設計」が重要です。「環境配慮設計」とは具体的にはプラスチックの使用量の削減、部品の再使用・再生利用を容易にする工夫、プラスチック以外の素材への代替、再生プラスチックやバイオプラスチックの利用などが挙げられます。
加えて特に優れた設計を国が認定する制度も創設し、認定製品の利用促進を図ることとしています。

プラスチック使用製品製造事業者等が取り組むべき事項、及び配慮すべき事項は、(1)構造、(2)材料、(3)製品のライフサイクル評価、(4)情報発信及び体制の整備、(5)関係者との連携、(6)製品分野ごとの設計の標準化や設計のガイドライン等の策定及び順守からなります。

環境省 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について,出展_2023.4.20.
https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/seidosetsumeidouga.pdf

(1)構造については1.減量化、2.包装の簡素化、3.長期使用化・長寿命化、4.再使用が容易な部品の使用または部品の再使用、5.単一素材化等、6.分解・分別の容易化の6つの指針が定められております。特に食品パッケージにおいては透明で見た目では同じ素材が使用されているようにも見えますが、実際には様々な素材が使用されていることが多いため、5.単一素材化により、リサイクルし易いパッケージにするという方法が1つ例として挙げられます。

環境省 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について,出展_2023.4.20.
https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/seidosetsumeidouga.pdf

(2)材料については1.プラスチック以外の素材への代替、2.再生利用が容易な材料の使用、3.再生プラスチックの利用、4.バイオプラスチックの利用の4つの指針が定められております。この中でリニューアブルにあたるバイマスプラスチックは、日本は2030年までに約200万トン導入という目標を掲げており、こちらも重要な指針となります。

環境省 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について,出展_2023.4.20.
https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/seidosetsumeidouga.pdf

(3)製品のライフサイクル評価については、プラスチック使用製品に求められる安全性や機能性、その他の用途に応じて求められる性能、並びに(1)構造及び、(2)材料に掲げる事項についてそれぞれがトレードオフの関係となる場合があることにも留意しながら、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷等の影響を総合的に評価することが重要となります。
例えば、プラスチック使用量を削減したことにより耐久性が落ち長期使用化が困難になったり、単一素材化により物性が劣ったりする可能性があります。

(4)情報発信及び体制の整備については、企業等のホームページ、製品本体、取扱説明書等に、必要とされる範囲で次の情報を記載することが望まれます。
1.製品の構造、2.部品の取り外し方法、3.製品部品の材質名、4.部品の交換方法、5.製品・部品の修理方法、6.製品・部品の破砕償却方法、7.製品・部品の収集運搬方法、8.処理時における安全性確保及び環境負荷低減のための注意事項等の情報です。

(5)関係者との連携については、プラスチック使用製品製造事業者等と、材料・部品等の供給者、再商品化事業者、再資源化事業者、プラスチック使用製品を使用及び排出する事業者、消費者、国及び地方公共団体等との間で相互に必要な協力を行うことが望まれます。

(6)製品分野ごとの設計の標準化、ならびに設計のガイドライン等の策定及び順守については、業界団体等における自主的な製品分野ごとの設計の標準化や、設計のガイドライン等の策定を通じて、プラスチックに係る資源循環の促進等が円滑に実施されてきたことをふまえ、業界団体等における製品分野ごとの設計の標準化や、設計のガイドライン等の策定を促していくこととなっております。例えば、31団体、61社が加盟している「プラスチック容器包装リサイクル推進協議会」では「環境配慮事例集」が作成されており、食品や日用品などの身近な製品の容器包装が具体的にどのような環境配慮設計がなされているかが紹介されております。詳しくは下記リンクからご覧ください。

プラスチック容器包装リサイクル推進協議会.「プラスチック製容器包装の環境配慮事例集」,参考_2023.4.20.
https://www.pprc.gr.jp/activity/improvement-example/images/ex3r2022.pdf


最後に設計指針に適合した設計の認定制度について、この設計認定の制度は認定を受けたい事業者が、認定の申請を行うことができる任意の制度であり、特に優れたプラスチック使用製品の設計が大臣認定の対象となります。
認定を受けようとするプラスチック使用製品製造事業者等は、指定調査機関に設計調査の申請をします。指定調査機関は設計指針に適合しているかについて設計調査を行い、設計調査の結果を国に通知します。国は設計調査の結果に基づき設計認定を行います。
現時点での指定調査機関としては「公益財団法人 廃棄物・3R研究財団」のみとなります。

設計認定を受けるにあたって適合すべき事項としては、1.製品分野ごとに別に定める項目について製品のライフサイクルを通じた環境負荷等の影響を総合的に評価し、その評価結果を公表しているとともに、自ら決定した当該取り組みの考え方等を公表していること、2.同種のプラスチック使用製品の設計と比較して、特に優れた設計であるものとして製品分野ごとに別に定める基準に適合していることとなっております。なお別に定める項目及び基準については、今後順次製品分野ごとに策定される予定です。

環境省 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」について,出展_2023.4.20.
https://plastic-circulation.env.go.jp/wp-content/themes/plastic/assets/pdf/seidosetsumeidouga.pdf

パッケージの環境配慮設計

環境省からもプラスチック資源循環の取組事例集が作成されており、約30社、72事例が掲載されております。詳しく下記リンクもご覧ください。

環境省.「容器包装のプラスチック資源循環等に資する取組事例集」,参考_2023.4.20.https://www.env.go.jp/content/000121961.pdf


当社でもこのような環境配慮設計包材を実現する為、減容プラ容器や、モノマテリアルパッケージの開発なども行っておりますので、ご興味のある方は是非お気軽にお問い合わせ下さい。