環境価値が生まれた背景と目的
こんにちは、日本企業のサステナビリティ経営をご支援している「株式会社バイウィル」の丸浦と申します。
今回のコラムでは、「環境価値」と、それを仕組み化し、可視化した「証書」についてお伝えしたいと思います。
環境価値が生まれた背景には「地球温暖化」が関係しています。温暖化は、二酸化炭素やメタン、フロンといった「温室効果ガス(GHG)」の排出量が増えたことが原因であり、このまま温暖化が進めば、氷河の融解による海面上昇や異常気象の発生などの問題が起こってしまいます。これらを抑制するには、世界規模で地球温暖化対策を行なう必要があるため、原因となる温室効果ガス(GHG)を排出しない「脱炭素」に向けた取り組みが、大きな注目を浴びています。
しかし一所懸命に脱炭素活動を行なっているだけでは、その価値は当事者の中に留まります。そのため、生み出した環境価値を「証書」として可視化することで、脱炭素活動を行なっている事業者は「環境問題への関心が高く、積極的に課題解決へ取り組んでいる企業である」ということをステークホルダーへ示すことができるようになります。
画像提供:㈱バイウィル
代表的な3つの証書
日本には代表的な3つの証書があり、それが「非化石証書」「グリーン電力証書」「J-クレジット」です。
「非化石証書」とは、石油や石炭などの化石燃料を使わない非化石エネルギーを「証書」として可視化したものです。
非化石証書には3種類あり、太陽光や風力などFIT電源からなる「FIT非化石証書(再エネ指定)」と、FITの固定買取期間が終了した、卒FIT電源や大型水力などの「非FIT非化石証書(再エネ指定)」、再エネ由来の電力ではない、原子力などの非化石電源からなる「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」があります。
また「FIT非化石証書」には、「トラッキング付非化石証書」と「トラッキング無FIT非化石証書」があり、トラッキングFIT非化石証書は「RE100」などの国際的なイニシアチブの報告に利用することができます。
以前までは、電力小売事業者しか購入することができませんでしたが、2021年1月の制度改正により、需要家も購入できるようになりました。
次に「グリーン電力証書」は、再エネ由来の電力についての環境価値を、第三者機関が認証したものです。前段の「非化石証書」が非化石エネルギー全体を対象とするのに対し、グリーン電力証書は太陽光発電や風力発電などの再エネを対象としています。
自身で再エネ発電設備を持っていなくても、再エネ由来の電気が供給されていれば、消費している電気を「再生可能エネルギー」としてみなすことができます。
これにより、地球温暖化対策への貢献をアピールすることができます。
最後に「J-クレジット」については、電力以外の環境活動をクレジットにすることも可能です。再生可能エネルギーや省エネ設備の導入などによって削減したCO2の排出量や炭素の吸収・吸着によるCO2の吸収量をクレジット化する制度です。
J-クレジットは、小規模な脱炭素への取組みも環境価値とすることができます。J-クレジット制度を活用することで、企業価値の向上や温暖化対策のPR効果を見込むことができます。
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環境価値の今後について
脱炭素への社会的要求や関心は日を追うごとに高まっています。企業は環境問題に対してどのように向き合い、どのような取り組みを行なっているかによって、その価値が評価されるようになっており、この流れは今後さらに加速していくことでしょう。
そのような中、証書として可視化された環境価値は、企業においてさまざまな形で活用され始めています。
次回は、それぞれの環境証書の活用方法や具体的な活用事例などについて掘り下げてお伝えしていきたいと思います。
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最後になりましたが弊社バイウィルでは、各種環境証書を取り扱っております。
また、証書の取り扱いだけではなく、クレジットの創出・売却支援等も一貫して行なっておりますので、脱炭素活動について少しでも興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。