放射冷却現象とは

あまり聞き馴染みが無い言葉かもしれませんが、実は「放射冷却」は、私たちの身近に起こっている自然現象の1つです。
昼間薄着で外出したけれど夜になったら寒くなってきて、もう1枚着て来れば良かったと思ったことはありませんか?これは放射冷却現象によるものなのですが、このとき具体的に何が起こっているのでしょうか。



昼間、太陽光からの入熱により地表が温められます。一方で、地表から熱が赤外線として宇宙空間へ放出されています。ただし日中は入熱が非常に大きく、「太陽光からの入熱>宇宙空間への出熱」という関係になるため、地表の温度は高く保たれます。
夜になると、太陽光からの入熱がなくなることで昼間に温められた地表の熱はどんどん宇宙空間へ放出されていきます。つまり、「太陽光からの入熱<宇宙空間への出熱」という関係になるため、夜は冷え込むのです。
これが、放射冷却現象のメカニズムです。

SPACECOOL®とは

この放射冷却の原理を活用し、太陽光が当たる昼間でさえも「太陽光からの入熱<宇宙空間への出熱」の関係を実現可能な、高性能、高耐久の光学フィルムが「SPACECOOL®」です。

SPACECOOLフィルム(銀)


そもそも太陽光が当たっているのに外気温よりも低温という状態がイメージにくいかもしれません。実際そういった素材は皆さんの周りにないと思いますが、ここが我々の素材のポイントです。

鉄板・日射反射塗料とSPACECOOLの夏場の温度比較

この冷却効果は、屋外における電子機器の長寿命化や冷却用空調機の使用電力削減といった効果をもたらし、省エネルギーやCO2削減といった価値を提供します。

SPACECOOL®の活用事例

既にSPACECOOL®を使用した製品は世に出ており、いくつかの事例を紹介します。
なお、これらの事例以外にも、日傘、テント、トラックのコンテナなど、身近なところでSPACECOOL®を活用した製品の開発を進めています。

■事例①:「COOL分電盤」が「三井ショッピングパーク ららぽーと門真」で採用

COOL分電盤は、株式会社竹中工務店、セイリツ工業株式会社と共同で開発した製品で、フィルム状のSPACECOOL®を分電盤に貼り付けることで盤内の温度上昇を抑制し、電子機器の寿命延長冷却用空調機の使用電力削減といった効果をもたらします。

三井ショッピングパーク ららぽーと門真に設置されたCOOL分電盤


■事例②:SPACECOOL®を活用した屋根用のサンシェード「SPACECOOL×ルーフシェード」

こちらは、日本ワイドクロス株式会社、有限会社石川テントと共同開発・販売を行なっている製品です。
工場や倉庫に多く設置される金属製の折板屋根は、夏場の日射により蓄熱することで温度上昇し、室内が暑くなり空調エネルギーが増加する、音鳴りするなどの課題を抱えています。
そこで折板屋根の上面をSPACECOOL®を活用したシートで覆うことで、屋根の表面温度を大幅に低減し、上記の課題解決に貢献しています。

ルーフシェード施工事例


■事例③:2025年大阪・関西万博のガスパビリオンでSPACECOOL膜材料が採用

ガスパビリオンなどの膜構造建築物は、建築基準法において、国土交通省による不燃材料・膜材料の認定品の使用が義務付けられています。同パビリオンでは、今後認定取得予定の膜材料(B種)を使った製品が採用される見込みです。

ガスパビリオン 建物デザインイメージパース(※日本ガス協会提供)



今後の展望

SPACECOOL®の持つ世界最高レベルの冷却技術は、温暖化の影響でますます深刻となる「熱課題」の解決にとって必要不可欠な素材であることを、お分かりいただけましたでしょうか。

今後も当社は、脱炭素をはじめ環境問題をテーマとした展示会に積極的に出展し、さらに海外の中東や東南アジアなど、赤道に近い暑い国々で実証実験の準備を進めていく予定です。

他の素材では難しい、『この放射冷却素材でしか解決できない社会課題』の発掘と、さまざまな暑熱課題に対応する商品の開発に取り組んでいきます。

画像提供:SPACECOOL㈱