公開日:2024/02/16

最終更新日:2024/02/13

進化するマテリアルリサイクルの手法
「MF式混合溶融技術」

2022年10月に発足した「高度マテリアルリサイクル研究会」(通称:AMRIA)の活動目標の一つである「難処理プラスチックリサイクル及び農林水産残渣処理の課題解決」。それを推進するための有効な手段であるMF式混合溶融技術は、現在適用事例を拡大中です。

MF式混合溶融技術が解決する課題

日本国内から排出される廃棄プラスチックの総排出量は、毎年800万tを超える総量で推移しています。その処理方法は依然としてサーマルリサイクル処理が主体(約60%)で、マテリアルリサイクル工程を経て国内で再利用される量は約5%に留まっています。例年その比率に大きな変化は見られず、日本の循環型社会の実現という目標の達成において課題となっています。
また、近年日本も二酸化炭素排出量の削減が叫ばれる時代に入り、この2つの問題を同時に解決する手段を検討することが重要になっているきていると考えます。

MF式混合溶融技術は、「高度マテリアルリサイクル研究会」が取り組んでいる、従来「燃やす」以外に処理方法が無かった「難処理プラスチック材」の再資源化、また「農林水産残渣物」を「燃やさず」有効利用するための一つの手段として、課題解決に貢献しています。

画像提供:株式会社放電精密加工研究所

MF式混合溶融装置の特徴

MF式混合溶融装置の特徴として、ヒーター等の外部熱源を一切使用せず、素材が衝突する際に発生する「剪断熱」のみを用いて、短時間で熱可塑性の物質を融点温度域まで上昇させ溶融するという点と、溶融時に水を添加して雰囲気圧力を高めると共に、溶融物の酸化劣化を防ぐという一連の運転動作を行うことで、溶融する素材の物性劣化を防ぐという基本構想を実現しているという点があります。
さらに同装置は、剪断熱を効率的に発生させるべく、溶融槽の中でプロペラを高速で回転させる構造をとっていますが、運転スタート直後は素材が融点温度には達していない為、高速回転するプロペラによって粉砕され微粉化していきます。この点からMF式混合溶融装置は熱可塑性物質を溶融する一般的な装置が行なう「溶かす」「混ぜる」という2つの動作に加えて、「砕く」という動作も一つの工程の中で行なう事ができるという点も大きな特徴です。

このMF式混合溶融装置の持つ3つの特徴は、異なる素材で構成された複合素材の再生、また再生熱可塑性樹脂にバイオマスフィラーを高充填、高分散したバイオマスコンポジット材、等の試作開発に貢献をしています。

画像提供:株式会社放電精密加工研究所

省エネ、CO2排出削減への貢献

廃棄プラスチック材を再生する上で、再生処理を行う設備が省エネ、CO2削減を意識した装置構成になっているか、また従来の集中処理から廃棄物が排出される場所での個別処理も視野に入れる必要があると考えます。これは廃棄物を移動させる際に発生するCO2も無視は出来ないレベルであるからです。

現在サーマルリサイクル処理を行っている廃棄プラスチック材を、マテリアルリサイクルへ転換させることが出来れば、CO2 の削減に大きく貢献できると考えられます。再生材は、バージン材を生産するよりも排出CO2 を少なく原材料化することが可能であるとの論文も発表されている事は御存知の通りです。

MF式混合溶融装置を用いた廃棄プラスチック材の再生は、廃棄プラスチック材のマテリアルリサイクルにおいてに一般的に多く用いられている、ヒーター等の熱源を持つ押出し機と比べて、消費電力量を50%以上削減する効果がある事が独自の比較調査に於いて判明しております。
この技術を更に深堀りし、廃棄プラスチック材のリサイクル率向上と、省エネ、CO2削減に貢献していきたいと考えています。

炭素は燃やさず貯蔵する時代へ

廃棄プラスチック材及び農林水産残渣物の究極の処理方法を検討するには、「炭素は燃やさず貯蔵する」という考えをもって検討する必要があると考えられてます。
高効率な生産が出来て、利便性の高い商品に多く利用される化石由来のプラスチック材料ですが、短期的な使用目的を終えた後も、農林水産残渣物、他と混合するなどしてバイオマスコンポジット材として長期間に亘って使用する方法を検討しています。

既成概念を持たずに幅広い視野をもって活用する方法(出口戦略)を考えなければならない時代が今、一人一人の足元まで来ているのではないでしょうか。

画像提供:株式会社放電精密加工研究所

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矢部 純

<所属>株式会社放電精密加工研究所 取締役 環境マテリアル開発事業部管掌
<専門分野>新規事業開発
所属会社の各セグメントで活躍してきた経験を生かし、只今新規事業開発、並びに推進役として活動しております。