公開日:2024/05/21

最終更新日:2024/06/14

技術者が語る①「バイオプラスチックとは」

長瀬産業株式会社より、plaplatでのバイオプラスチックに関する連載の機会を得たので、まずは概論から始めたいと思います。尚、筆者はバイオプラスチックを使用することを推進する側に身を置いていますが、従来型のプラスチックをバッシングするような思惑は微塵もありません。従来型のプラスチックも現代の生活には欠かせない素晴らしい素材です。本連載では、ただバイオプラスチックについてできる限り正しい説明をして参ります。

よく聞く「バイオプラスチック」という単語の意味

バイオプラスチックという単語を各所で目にするようになりました。新聞でも雑誌でもインターネットでも、時にはテレビやラジオでもバイオプラスチックについて説明がされています。
いえ、どちらかと言うと、従来型のプラスチックを悪者に仕立てただけのコンテンツが多いでしょうか。
しかし、バイオプラスチックは従来のプラスチックと何が違うのか、バイオプラスチックとは何か、と問われて正しく答えられる人は案外少ないことでしょう。
さらに、バイオプラスチックはなぜ従来型のプラスチックより環境に良いとされるのか、詳しい説明をしてくれるサイトはあまり見かけません。どうして環境に良いのかが解らなければ、どうしてバイオプラスチックを使うべきなのかも当然に解りません。

どこかのサイトでは「植物からできているから自然界でバクテリアによって分解されるプラスチックだ」と書いてありました。そのように理解している人もおられるかもしれませんが、これは正しい説明ではありません。
自然界で勝手に分解してくれるからゴミ問題の解決になるだろう、これも科学現象として必ずしも誤ってはおりませんが、この国の社会の実情にあった話かというとそうでもありません。
使い捨てのプラスチックストローを生分解性プラスチックに置き換えればプラスチックゴミが減るだろう、これもそのような動きはありますけれども、ロジックとして正しいかというとやはり疑問符がつきます。

画像提供:株式会社日本バイオプラスチック研究所

バイオプラスチックとは何なのか

では、先ずバイオプラスチックとは何なのか、それを明らかにしていきたいと思います。
バイオプラスチックとは、バイオマスプラスチック(植物由来プラスチック)と生分解性プラスチックの両方を併せたものです。
つまり植物からできているから生分解性のあるプラスチックなのだろう、と思われるかもしれませんが、実は植物由来であるか従来通り石油由来であるかという事柄と、バクテリアなどの生物が資化して分解できるかどうかという事柄には何の関係もないのです。
石油から作られても生分解するプラスチックもありますし、植物から作られても生分解しないプラスチックもあります。
従来のプラスチックの殆どは石油から作られて、尚且つ生分解しないので、石油から作られたから生分解しないのだろう、自然に帰らないのだろう、と思うのも感覚的には解らないでもありませんが、実は何の関係もないのです。
生分解性とは何の関係もない植物由来のプラスチックと、石油由来の生分解性プラスチックを一緒くたに『バイオプラスチック』と呼んでしまっている経緯は諸説ありまして、結果的に誤解を誘発していることに関しては、当業界の中の者として反省をせねばなりませんが、この連載の場を借りて正しく説明していきたいと思います。

画像提供:株式会社日本バイオプラスチック研究所


図に示す緑色の部分がバイオマスプラスチックで、青色の部分が生分解性プラスチックです。両方を合わせたものがバイオマスプラスチックと呼ばれます。
色のついていない部分が従来型のプラスチックです。図の中での面積はバイオプラスチックの方が多いものの、実際の使用量については、圧倒的に従来型プラスチックの方が多いことは想像に難くないだろうと思います。

バイオプラスチックが環境に良いと言う前に

いずれにせよ、従来のプラスチックとの違いは、原料が化石(特に石油)ではなくバイオ(特に植物)であることか、燃やさなくとも勝手に微生物が分解してくれること、のいずれかです。
つまり、なぜ環境によろしいかについては、石油ではなく植物からできているから、或いは燃やさなくとも微生物が分解してくれるから、という説明になります。

いささか冗長な書き方になりましたが、ここまでは難しい科学の話ではなく、あくまでも論理学の話であることはお分かりでしょう。
では、なぜ植物由来だと環境によいのか?『何となく石油には環境に悪いようなイメージがあって、植物は反対にとても環境に良いようなイメージ』では説明になりません。
『燃やすことは環境に悪くて、生分解なら環境に良さそう』というのも、イメージで語っているだけで何の説明にもなっていません。
この辺りを、次回以降で順に説明していきます。

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金高 武志 (かねたか たけし)

<所属>株式会社日本バイオプラスチック研究所
<専門分野>バイオプラスチックに関する技術全般や プラスチックコンパウンドの処方、- 包装材料です。
https://www.n-bpl.net/