公開日:2024/05/17

最終更新日:2024/05/10

日本企業の海外拠点に関わる証書・カーボンクレジットの概要

CDP、RE100、SBT等の国際的イニシアチブに参加する日本企業は多く、その中には海外拠点を有する企業も少なくありません。グローバルに事業を行う日本企業は、進出先に応じて、適切なカーボンクレジットによるCO2削減や、証書に裏付けられた再生可能エネルギー調達を主張することが求められます。
本稿では、その手段として、EAC(Energy Attribute Certificate:エネルギー属性証明書)とカーボンクレジット(ボランタリークレジット)の2つを取り上げてご紹介いたします。

EACとは?

EACとは、1メガワット(MWh)時の電力が持つ、発電方法やエネルギー源などの環境属性(発電日時・発電場所・発電方法等)に関する情報を保証する公式の文書のことです。
購入する企業は、外部調達する電力等について、その属性情報を付加価値として訴求することが可能になり、企業が再生可能エネルギー源から電力を購入していることを主張する際に効果を発揮します。

EACは地域・国で発行されるものであり、EACが有効なのも、発行されたその地域・国に限定されます。例えば、米国に工場を有する企業がスコープ2削減のために購入すべきEACは、米国の「REC」になります。

次にRECを含む、代表的な3種類のEACについてご紹介します。

代表的な3種類のEAC

1. GO
GO(Guarantee of Origin)は、EU28か国ならびにアイスランド、スイス、セルビア、ノルウェーで発行されている証書で、証明書発行数は世界最大です。加盟国に対して、消費者が発電方法などの電力に関する情報を把握できるようにするため、トラッキングシステムの構築を義務付けています。

2. RECs
RECs(Renewable Energy Certificate)とは、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー(グリーン電力)がもつ「環境価値」を「証書」として取引を行うという仕組みであり、アメリカやカナダなどの北米(米国のRECsでは州単位)で発行・使用されており、州の規制を受けるコンプライアンスRECsと、民間のボランタリーRECsがあります。RECs を生成する方法は様々で、バイオマス、地熱、風力タービンの生産などが含まれますが、最も一般的なものは太陽光パネルです。

RECsを自ら生成する企業の有名な例としては、アップルやテスラが挙げられます。テスラはクリーン電気自動車のRECs市場を独占しており(2022年だけで過去最高の17億8000万ドルに達する)、これは同社の利益への大きな貢献にもなっています。

3. I-REC
I-REC(International Renewable Energy Certificate)とは、GOとRECの対象国以外を対象としており、世界約50ヵ国で発行される国際的な再生エネルギー属性証書です。I-REC 認証を取得したプロジェクトは 48 か国で 4,200 件以上となっています。
参考:https://carboncredits.com/what-are-renewable-energy-credits-vs-carbon-credits/

また、上述のGO、RECs, I-RECの3種類の他に、英国のREGO、台湾のT-REC、インドのIndian REC、韓国の韓国RECなど、国毎に政府が主導する証書も存在します。

画像提供:㈱バイウィル

世界で広く活用されるボランタリークレジット

カーボンクレジットは、1トンのCO2または同等の温室効果ガス排出量1トンのCO2 (tCO2e) を表す取引可能なクレジットです。
EACが、電力を生成する再生可能エネルギープロジェクトに付与されるのに対して、カーボンクレジットは温室効果ガスの排出を防止、削減、または吸収するプロジェクトに付与されます。カーボンクレジット市場は急成長を遂げており、中でもボランタリークレジットは、2023年24億ドルの市場規模から、2032年には217億ドルへ年率27.9%で拡大すると予想されています。
参考:https://www.gminsights.com/industry-analysis/voluntary-carbon-credit-market#:~:text=Date%3A%20Oct%202023-,Voluntary%20Carbon%20Credit%20Market%20Size,of%20over%2027%25%20through%202032.

ここでは、ボランタリークレジットのプログラムとして、最大手のVCSとGold Standardについてご紹介します。

1.VCS
VCS(Verified Carbon Standard)は、米国のNPO「Verra」が運営する、世界で最も市場に流通している民間認証クレジットプログラムです。「エネルギー」「工業プロセス」など11種類の方法論に加え、独自の方法論での環境価値の創出を運営団体に提案ができます。VCSは現在、カリフォルニア州の排出量取引制度、国際民間航空部門における温暖化対策などでの利用も認められており、これまで10億トン以上の二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出量を削減・除去してきています。

2.Gold Standard
2003年にWWF(World Wide Fund for Nature)と、その他の国際NGOによって設立された、気候変動対策と持続可能な開発に貢献するプロジェクトを認証する国際的な機関です。Gold Standardは、VCSと並ぶ代表的なボランタリークレジット制度の1つであり、VCSと同様に、国際的な基準を設けています。

VCS、Gold Standard共に、自主的な目標達成や、国際的にカーボン・オフセットなどの温室効果ガス削減をアピールする場面で広く活用されています。2023年におけるボランタリークレジットマーケットにおける大口需要家は、シェルとアウディで、以前よりマーケットにおける存在感の大きい両社ですが、VCSやGold Standardにおける方法論の変化に応じて、自社のボランタリークレジットポートフォリオの質を高く維持し続けているようです。
参考:https://www.ccarbon.info/article/analysing-the-vcm-retirements-boom-in-december-2023/

画像提供:㈱バイウィル

まとめ

本稿では、日本企業の海外拠点の脱炭素化で活用される主要なエネルギー属性証明書やカーボンクレジットについてご説明しました。
弊社「バイウィル」では、豊富な海外ネットワークと実績を基に、日本企業の海外拠点脱炭素化に向けた各種証書・クレジットの調達を行っており、少量のご購入や複数国を跨いだワンストップ調達などにも柔軟にご対応いたします。

既に購入の実績があり、調達国・種類・量などが明確になっている企業様も、これから初めて購入を検討される企業様も、まずはお気軽にお問い合わせください。

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木村 真二

<所属>株式会社バイウィル カーボンニュートラル総研 理事
<専門分野>カーボンクレジット市場、金融市場
<紹介文>メガバンク勤務後、コンサルティング会社、IT企業を経由し、2024年1月に株式会社バイウィルへ入社。
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