GAIA-Xと何が違うの?目的は?

GAIA-X は国/企業/業界の垣根を超えてデータ共有するための、欧州が中心となって進めている、安全で信頼できるインフラストラクチャを提供するソフトウェアフレームワークです。
一方 CATENA-X は、GAIA-Xのフレームワークを利用して、自動車のバリューチェーンにおける安全なデータ共有のためのサービスとアプリケーションを提供するデータスペースです。
欧州の自動車メーカーだけでなく、その他の関連する企業も参加可能な実践志向のネットワークとなっており、自動車産業における拡張性の高いエコシステムの構築、オープン性・中立性を確保しながら標準化されたデータへのアクセスの確立、自動車のバリューチェーン全体で効率化/最適化/競争力の強化/持続可能なCO2排出量削減などの実現を目標としています。

CATENA-Xで何が出来るようになるの?

以下の8項目が実現されると考察されています。
1.CO2 / ESG Monitoring:
CO2排出量のデータが、グローバルで同じデータ形式で正しく共有・可視化される。結果、CO2排出量は見える化・削減

2.Circular Economy:
部品「個体」毎に、製造過程・材料、使用履歴等は可視化、価値・性能評価は高精度化。正確な中古査定・リサイクル材料回収が実現

3.Demand / Capacity Mgt.:
需要量等の情報を予測し、SC全体に繋げることでTier-Xの素材メーカーや物流まで、SCを遡って情報を共有。需給バランスを最適化

4.Online Control / Simulation:
各工程・サプライヤーの稼働・生産実績を見える化・リアルタイム管理。SC全体のネック特定、機械配置シミュレーション等が可能

5.Manufacturing as a Service:
生産キャパやケイパビリティがデータで繋がり、空き稼働は見える化。柔軟な生産場所の選定や生産キャパの最大稼働が実現

6.Modular Production:
生産工程のデータ共有を通じ、モジュール生産が進行。あらゆる工場・ラインの工程が統一され、納品リードタイムや管理コストが削減

7.Live Quality Loops:
走行中の車両・部品もデータで繋がるため、リアルタイムで品質管理も可能。迅速な修理・交換や予知保全、部品のLTV最大化に繋がる

8.Behavior Digital Twin:
車両周りのあらゆるデータがDigital Twin化され、車道を取り巻く都市の安全性や、モビリティ・物流・人流関連サービスの利便性が向上

われわれは何を準備しておくべきか?

CATENA-Xは、サプライチェーン全域を俯瞰した全体最適をもたらすと考えられています。一方、CATENA-Xはあくまで「データを共有する道具」であり、具体的にどのような施策を進めて行くかは各企業に委ねられています。実現できることが広がる中で、われわれは能動的に考える必要があります。サプライチェーンに関係する事業者は何を準備しておくべきでしょうか?

例えば、完成車メーカーは、サプライチェーンの最適化の為に、開発するクルマの構造の標準化と商品競争力の両立を求められるでしょう。さらにサーキュラーエコノミーに対応したリサイクルしやすい商品設計、使用済み車両を回収し素材として再活用する体制、などの準備が必要と考えられます。部品サプライヤー達も生き残っていくためには、サプライチェーンの可視化に先駆けて、特定の完成車メーカーの、特定のモデル用のカスタマイズラインから、汎用ラインへの転換を準備すべきかもしれません。中小企業であってもデジタル化への着手は不可避となるでしょう。
自社が先んじて取組むのか、他社のリードに追従するのか、取り組み方はその企業次第です。

最後に

GAIA-X標準化への影響についての意見対立(設立メンバーの仏クラウドプロバイダが脱退)や、CATENA-Xの全参画者の合意形成に、想定以上の時間を要し、システム開発が遅延しているという問題が指摘されているのも事実です。しかし、社会の要請を踏まえると、仮にCATENA-Xではないとしても、いずれ同じような方向に進むのではないかと考えられます。
CATENA-Xの成否は未だ不透明ではありますが、CATENA-Xが実現する目標に向けた構えを今から持ち、各事業者が取り組みを進めることが重要と思われます。