公開日:2024/01/10

最終更新日:2024/01/12

国内外のカーボンニュートラル事情
~LCAとCFPに関連した動きついて~

このコラムでは、LCA(Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)及び、その手法を利用した CFP(Carbon Foot Print:カーボンフットプリント)についての解説と、最近の動向を紹介いたします。

LCAとCFPについて

LCAについては自組織内での製品(サービスを含む)比較を前提とし、自社の新旧製品や複数の製品の比較、マーケティングでの利用が想定されます。
工程や製法の違い、二次データの精度の違い、機能単位やシステム境界の違い等から、他組織の製品の比較は難しくなります。
一方でCFPは他社製品との比較ができるようにするために算出ルールを統一することが原則となります。

現在、各社・各国・世界がカーボンニュートラルを目指す中で、WBCSD(World Business Council for Sustainability Development 持続可能な開発のための経済人会議)・CDP(Carbon Disclosure Project)・TCFD(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures)・SBT(Science Based Target)等の枠組みの中でSCOPE3の算定のニーズが高まっています。

業界団体でのLCAやCFPの取り組みが進みつつあり、その一環としてサプライヤーや委託先へのLCA・CFPの要求や、市場でのGHG排出量の算出基準が協議されています。

カーボンフットプリントガイドライン

2023年3月に、経済産業省及び環境省が「カーボンフットプリントガイドライン」を作成公表しました。
CFPに対する関心が高まる中、算定方法に解釈の余地があり公平な選択が難しい、取引先ごとに算出方法を変えなければならない、一次データの利用が進まなければ企業努力が反映されないなどの問題に対応することが目的で作成されています。

第一部ではCFPの目的・意義について記載があり、昨今の状況を確認することができます。
第二部のCFPに関する取組指針では、ISO等を補足する要求事項・方針を示しています。CFPを比較するときの取り組みについて、より分かりやすくまとめられていますので、興味がある方はご一読ください。

しかし、算定単位、システム境界、一次データの取り方、インベントリデータベースの有り方などについて、製品別算定ルールを作成することとしてあり、結果、業界や利害関係者での協議を求めるに留まっています。
依然として、具体的な方向性が見えるものとは言えず、ガイドラインの域を越えてはいないと言えます。

WBCSDの削減貢献量のガイダンス

2023年3月に、WBCSDから「削減貢献量のガイダンス」が発行されました。
LCAに影響することとしては、GHGの削減貢献量についてメーカーとサプライヤーでのSCOPE3における二重計上について容認する内容が含まれていることです。B2Cの企業だけでなく、B2Bの企業においてもCradle to Graveでの計算が可能になることを意味しており、株式公開企業でのLCAについてのシステム境界に影響を与えるものとなります。
しかし、製品の使用段階での具体的な算出方法については触れられておらず、B2B企業としてどこまで算出し何を開示するのか悩ましい状況が続くでしょう。

欧州の炭素国境調整メカニズム

2022年12月、EUにおいてはCBAM(Carbon Boarder Adjustment Mechanism:炭素国境調整メカニズム)が導入されることが前提合意されました。
CBAMはカーボンリーケージのリスクに対応するための枠組みです。
欧州に輸入される製品について、その生産過程におけるGHG排出量を評価し、EUの炭素価格との差額を課税する制度です。CBAMの制度の導入により、EU内で生産される製品と、EU外で生産された製品の競争力が公平に評価されることが期待されます。

スタートとして2023年10月より、セメント、鉄・鉄鋼、アルミニウム、肥料、電力、水素を対象としGHG排出の報告義務が発生し、各ステークホルダーで算出方法を検討しています。なお、算定にはLCAによる炭素排出量の評価が必要とされています。

EUのESRP・DPP

2022年3月、EUは「循環型経済行動計画」を発表し、エコデザイン規則(ESRP:Ecodesign for Sustainable Products Regulation)が含まれました。
この規則では、製品のエネルギー効率、リサイクル可能性、ライフサイクルの各段階での環境影響等の情報、CFPなどの情報開示することが求められています。
また、開示する情報を設定するための制度として、DPP(Digital Product Passport:デジタルプロダクトパスポート)が盛り込まれました。

DPPに先行し2020年12月に、蓄電池についてバッテリーパスポートが合意されました。CFPの開示の他、リサイクル、トレーサビリティなどが求められています。2023年に施行、2024年から順次適用されます。

出典:「一般社団法人中部産業連盟 月刊誌プログレス」

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