他の会合との違いは?

こんにちは、plaplat編集部のTomです。今回は4月15‐16日に開催された「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」について、レポートしたいと思います。
『COP〇〇とは何が違うの?』『日本がカーボンニュートラルを宣言したのはアメリカでの気候サミットだったはず?』と、やや混乱してしまいますので、先ずはそこをご説明します。
(COP、気候サミットが関連する近年の流れは、一緒に学ぼうカーボンニュートラル①をご参照ください。)

一緒に学ぼうカーボンニュートラル① ~世界が加速した「グラスゴー気候合意」までの4年間~ より


COPは「国連気候変動枠組み条約締約国会議」の略です。要するに国連の会議なので、主要国だけなくさまざまな国が参加します。前回のCOP27には200か国近くが参加しています。

では、2021年アメリカで行なわれた気候サミットとは何でしょうか?これはアメリカのバイデン大統領が各国に呼びかけ、世界各地の40の国と地域から約40名の首脳がオンラインで参加した会合です。
気候変動対応に遅れをとっていたアメリカがバイデン政権に変わり、同年行なわれるCOP26のグラスゴー会議までに『世界に追い付きます』とアピールしたと思えば、おおよそ合っているのではないかと思います。

では、G7での環境サミットはどの様な位置づけになるのでしょうか?
G7は世界経済の多くの割合を占める主要国のみの会合ですので、COPに比べ、より世界をけん引する様な取り組みや目標が議論され、宣言されると考えれば、その役目がはっきりするかもしれませんね。

では、今回のサミットの中でプラスチック業界に関連する内容をピックアップしてみてみましょう。

合意の中身を見てみましょう

数ある合意項目の中で、Tomが注目したのは以下の4点です。それぞれの背景や宣言結果を見てみましょう。
1. 化石燃料廃止時期の明記の断念
2. 原子力発電の扱い
3. カーボンニュートラルまでの新しい経過目標 2035年までに60%削減
4. 海洋プラスチックゴミ

化石燃料廃止時期の明記の断念
日本以外のG7が廃止時期の明記を求めたのに対し、2030年以降も化石燃料での発電に2割近く依存する見通しである我が国の反対で、事実上見送られています。
日本は多様な道筋を主張し「排出削減対策が取られていない石炭や天然ガスなどの化石燃料を段階的に廃止する」ことで合意となりました。
全廃を求める他国の主張に対し、条件付き且つ段階的に、と曖昧な表現にしたことは、日本の経済負担や事情が考慮されたという安堵とともに、議長国としてこれで良かったのだろうか、と思い悩んでしまいます。

原子力発電の扱い
7か国のうち5か国(日本、米国、英国、フランス、カナダ)の主張で「気候変動による危機的状況に対処しつつ、エネルギー・セキュリティを確保できる安価かつ低炭素なエネルギー」とされ、既存原子力発電の長期運転の重要性、途上個向けに小型モジュール炉の導入拡大のために、規制体系・資金調達の対策も講じられることとなりました。
しかし、G7で初めて脱原発を完了したドイツや慎重派のイタリアに配慮し、主語が「原子力エネルギーの使用を選択した国々」となり、全体合意でない旨が表現された記述になっています。

カーボンニュートラルまでの新しい経過目標
2030年までの43%削減の次のマイルストーンとして、2035年までに「60%削減」が目標として盛り込まれました。再生可能エネルギーの拡大と原子力発電の再稼働が進まず、具体的な対策に乏しい日本にとっては厳しい目標となりそうです。
ここでのもう一つの興味深い宣言は、2025年までに全体排出量のピークアウトをコミットする様に呼びかけをするというものです。G7ではない大国・中国は、ピークアウト時期を2030年としています。この5年間の差が今後どう議論されていくのか楽しみです。

海洋プラスチックごみ
海洋プラスチックごみについては、「新たな汚染を2040年までにゼロにする」という目標が盛り込まれました。この目標は、2019年の主要20カ国・地域(G20)大阪サミットでは、2050年までに到達するとされていたので、10年前倒しとなっています。
そもそも海洋プラスチックごみをイメージすると、浜辺に流れ着いているペットボトルや漁網、包材フィルムなどが思い浮かびますが、それだけではありません。
海に流出したプラスチックは波や紫外線によって崩壊し、5ミリ以下の「マイクロプラスチック」となります。この状態でプラスチックは堆積しつづけ、分解されるには数百年間以上掛かると考えられています。
2050年にはマイクロプラスチックを含む海洋プラごみが、海に生息する魚の質量を上回ると言われており、生態系の破壊や、食物連鎖の中で人体にも影響を与える可能性が懸念されています。
目標の前倒しは、この問題が一刻も早く解決せねばならない問題だと再認識されたという事でしょう。

険しいカーボンニュートラルへの道

G7のカーボンニュートラルに向けた会合の中身を調査すると、全ての国がその重要性は認識しているものの、それぞれの置かれている状況によって進めたい内容が異なり、また、分かってはいるものの実行できない国もあるというジレンマを強く感じました。
しかも、実行できない国が日本であるという事も良く分かりました。
この調査を終え、カーボンニュートラルに向けた制度・経済・技術の発展が先行する欧州に追い付くためにも、有効なソリューションを集め、皆様にお届けせねば、と気持ちを新たにいたしました。
今後plaplatがご紹介していく数々の「サステナソリューション」に是非ご期待ください。