4つの略語の「世界機関」

こんにちは、plaplat編集部のTomです。カーボンニュートラルを学び始めると、必ず出てくる4つの組織があります。
それが「WBCSD」「TCFD」「CDP」「SBT」です。確かに聞いたことがありますよね。これらは母集団が違えば目的も異なる「世界機関」になります。
今回は前編として、「WBCSD」「TCFD」について解説していきます。(後編「CDP」「SBT」についてはこちら

1. 世界経済人の集まり~WBCSD~

まずは「WBCSD」を見てみましょう。
正式名称は「World Business Council for Sustainable Development」(持続可能な開発のための世界経済人会議)です。

plaplat的なの言い方をすると、「カーボンニュートラルの必要性を強く感じる意識の高い企業の集まり」です。だいぶ丸めてしまいました。

この組織は、持続可能な開発を目指す企業のCEO連合体です。企業が持続可能な社会への移行に貢献するために協働し、そして、政府やNGO、国際機関とも協力し、持続可能な発展に関する課題への取り組みや経験を共有するものとされています。
2050年までにネットゼロを達成するには、まず全ての企業が炭素排出量を把握する必要があります。しかし、サプライチェーン全域で測定し、それをそれぞれが把握することは、今の時点では不可能です。これを解決しなければならないという課題感を「WBCSD」は持っています。

その為に考えられたのが「GHGプロトコル」です。こちらは単一企業のみの算定ではなく、企業同士の繋がりを意識して設計されたしくみになっています。
今後もWBCSDの主導で、配分の方法、製品固有の排出量算定、そして排出量データの交換に向けた議論と取り組みが進められていくでしょう。

2. 金融観点で企業の環境価値開示を促す~TCFD~

次に「TCFD」を見てみましょう。
正式名称は「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」(気候関連財務情報開示タスクフォース)です。

分かりやすい言い方をすると「金融の観点から気候関連の情報開示の推進とカーボンニュートラルに向けた潮流を作る組織」と考えてはどうでしょうか?

TCFDは、提言に沿った情報開示として、以下の4項目を「開示推奨項目」としています。※
① ガバナンス :気候関連リスク・機会についての組織のガバナンス
② 戦略   :気候関連リスク・機会がもたらす事業・戦略、財務計画への実際の/潜在的影響
③ リスク管理 :気候関連リスクの識別・評価・管理方法
④ 指標と目標 :気候関連リスク・機会を評価・管理する際の指標とその目標

※経済産業省.「気候変動に関連した情報開示の動向(TCFD)」,出典_2023.4.27.
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/disclosure.html



「TCFDへの賛同」という言葉をよく耳にしますが、それはTCFDによる提言内容を組織として支持することを表明するものです。
金融の世界での大きな関心ごとは「投資」ではないでしょうか?最近はよく「ESG投資」という言葉を聞きますよね。これはまさに「利益だけでなく持続可能性や環境問題への取り組みを重視する企業に投資を行なう」ものです。
企業は投資家に評価してもらう際に、「TCFD」に沿った情報開示をすることが有効な手段の一つとなる訳です。

プライム市場上場企業に対しては、既に2022年4月から「気候変動によるリスク情報の開示」が実質的に義務化されました。
今後はスタンダード市場・グロース市場の上場企業にも関係してくる可能性が十分にあります。
企業として「気候変動に対する責務を果たす」ことが当然とされる時代がもうすぐそこまで来ていて、対応していないことが企業存続のリスクにもなり得ると考えた方が良いかも知れません。

次回は「CDP」「SBT」について解説していきます。