GHGプロトコルってどういう意味?

こんにちは、plaplat編集部のTomです。今回は「GHGプロトコル」についてです。カーボンニュートラルに向けて非常に大事な内容なので、2回に分けてレポートしたいと思います。

まずはこのワードの意味から入っていきましょう。GHGは皆さんお分かりのとおり、温室効果ガス(Greenhouse Gas)の略です。 では「プロトコル」とは何でしょう?
プロトコルまたはプロトコールとは、英語やフランス語で『複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順について定めたもの』と言う意味です。要するに「ルールや決まり」と考えれば良いですね。
GHGプロトコルをplaplat的に訳すと「温室効果ガスを算定するための決まり」となります。(急に「算定」が出てきたことは目をつぶりましょう。)

GHGプロトコルが策定された目的を確認すると、『国際的に認められたGHG排出量の算定と報告の基準を開発することで、利用促進を図ること』とされています。
企業などの組織が、共通したルールでGHGを算定・報告し、それを評価する仕組みを作ろうとしたわけです。
企業の会計によく似ているため「炭素会計」とも呼ばれています。

生まれた経緯と今の形に至る変遷

GHGプロトコルの生い立ちを調べて見ると、このルールは、1998年に「WBCSD」と「WRI」によって考えられています。
同時期に「ISO」でもGHG算定・報告・評価のルール検討が開始されており、ISO14064シリーズがこれに相当します。
よくGHGプロトコル≒ISO14064 と解釈されますが、生い立ちに違いがあります。

立ち上がった当初は、事業者自身が発生させるGHGにスコープされていましたが、次第にLCA的な要素であるサプライチェーン全域での排出量を評価することへの重要性が認識され、スコープが広がっていきました。そして、2011年10月に正式発行されたのが、現在の形である「Scope1-3」の考え方になります。

各事業者が、自社内で燃焼した燃料や使用したエネルギーに伴う温室効果ガスだけでなく、事業に関係する企業やエンドユーザーの排出量も考慮した上で事業活動を行なう必要があるという見方が重視されるようになったのです。
この考え方は、前回レポートした「製品のLCA」に対し「組織のLCA」とも呼ばれています。

自社内および関連する企業によるGHG排出量(Scope1-3)の内容をまとめると、以下の様になります。

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:スコープ1、2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

環境省.「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」,出典_23.6.21
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html

社会全体での価値観づくり

この様にサプライチェーン全域での排出量算定が必要となった背景には、使用する資材・エネルギーの調達活動や、自社の製品が使用される事などで発生するGHGまでも捉え、それらを全体的に削減に向かわせることで、より実効性をもってカーボンニュートラルを達成できるようになるとの期待が込められています。
その為、企業の環境活動に対しての評価機関である「CDP」や、温室効果ガス排出削減目標の設定と実行に認証を与える「SBT」でも、サプライチェーン全体を通したGHG排出量の削減が求められているのです。

さて、次回はGHGプロトコルの中でも特に重要な「Scope3」に絞ってレポートしていきたいと思います。