公開日:2023/09/14

最終更新日:2023/09/15

中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリットとは

2022年秋、日本政府から「2050年カーボンニュートラル宣言」が発表されてから2年が経過しました。グローバルに展開する大手企業を中心に、情報開示やリスク管理の観点で、カーボンニュートラルへの取り組みが進んでいます。
気候変動リスクは、物理的リスク、移行リスクの二つに大きく分類されており、今後事業に取り組んでいくには、どうしても避けられない状況になってきています。
とはいえ、日本の99%以上を占める中小企業にとって、一番の関心事はグローバルよりもローカル、すなわち自分たちの地域や目の前の業績かと思います。
また、カーボンニュートラルを自社で実現したとしても、その効果は世界全体から見れば微々たるものと言え、チリツモ理論として、重要性は理解しつつも、優先度を上げて対応するには腰が重いという現実があります。
今回は、カーボンニュートラル実現に向けた支援を行うエネスフィアより、少しでも取り組むハードルを下げるためのヒントとして、「中小企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット」を3つご紹介します。ご参考いただければ幸いです。

メリット①:コスト削減

昨今の電気代の高騰は、化石燃料の輸入大国であり、地政学上、外部環境の変化にさらされやすい日本としては、予想されていたことではありますが、日々の事業で使う電力への影響も深刻な中、どうしたら電気代を下げられるかは本当に悩みどころです。

カーボンニュートラルに取り組む最初のステップは、まず、CO2排出量の可視化をし、無駄な排出をしていないかをチェックし、省エネをすることから始まります。例としては、社内の電球や蛍光灯のLED化があります(既に対応されている企業が大半だと思います)。
また、その上で取り組めることとして、再生可能エネルギー活用による自家発電があります。自社敷地内あるいは建物屋上へ太陽光パネルを設置し、発電をするケースは増えてきました。自社電力を賄ったり、余った電力は電力会社等へ売電し、収益を増やすということも可能です。
すなわち、省エネ、再エネ活用で今よりもコスト削減となる可能性は大いにあるのです。
さらに、再生可能エネルギーを分散電源として活用したり、自社発電の割合を増やすことは、災害時の事業停止リスクを下げることにもつながります。

また、ある意味資金調達のコストを下げることにもつながるのが、補助金の積極活用です。
カーボンニュートラル関連の補助金は近年大幅に増えています。今後の販路拡大、設備投資等を計画している場合は、補助金制度を有効に活用することで、今後の投資コストを抑えることができます。

メリット②:競争優位性の確保

業界や業態によっては、大手・上場企業と直接あるいは間接的に取引している中小企業は少なくありません。
昨年春の東証市場再編により、プライム上場企業を中心に、TCFDに沿った開示の実質義務化に伴い、Scope3含めたサプライチェーン全体のCO2排出量可視化が求められるようになりました。
上流あるいは下流側でプライム上場企業と取引をしている中小企業も、これによる影響を受けることが今後増えてきます。
例えば、契約段階で取引先に見積書を提示した際に、CO2排出量が明記されていないということで差し戻されたという事例があります。
ここまで極端なケースはまだ多くはないですが、今後、取引先の選定基準に、サービス品質と価格に加え、環境負荷が加わるということは想像に難くありません。
環境負荷のうち、現時点で一番定量化しやすく評価軸としても見られやすいのは、CO2排出量といえるのです。
カーボンニュートラルへの取り組みは、競合他社との差別化のための武器として、また戦略の選択肢として広がりを持ちます。

市場性という観点でも、カーボンニュートラルに取り組むことで、有利になる展開もあります。
特にBtoC企業においては、市民の消費行動を喚起する形で、新たなニーズを作り出すことができます。新たなマーケット獲得の機会として、カーボンニュートラル分野は有望株であるといえます。

メリット③:ブランディング強化

ここでいうブランディングは、企業全体のブランディング、商品やサービスのブランディング、いずれにおいても通ずることです。

顧客から選ばれる理由や、就活生が入社を決める理由には大きなトレンドがあります。分かりやすく社会貢献に取り組んでいる=「いい会社」だから選ばれるという、安直な理由ではありません。
企業としてどんな想いで事業に取り組み、製品やサービスを生み出し、広めようとしているのか。その結果、社会にどんなインパクトを起こそうとしているのか、これらがストーリーとして伝わることが重要です。
特に気候変動への対策というのは対象範囲が広く、誰もが関係する、社会への正のインパクトになる可能性があります。

外部環境から受ける影響をしっかりと見据えて、健全に事業を回す企業は、長期的に見て安定的な財務基盤を構築することができます。
結果、将来にわたるブランドになりえますし、安定した職場という見られ方にもなります。
表面的な社会貢献への賛同ではなく、その企業の想いに共感し、投票する(製品・サービスを購入する、入社し共に働く)のです。

中小企業の新たな武器として

環境にやさしいだけでは事業は成り立ちません。
一方、事業を展開しながら、表面上は環境配慮を謳っているだけだとしたら、それも結局は無駄なコストになったり、無用な批判を受けてしまいかねません。

カーボンニュートラルの本質は、環境への負の影響(とりわけ気候変動に対して)を考えて取り組む=長期的に自らに降りかかるコストを削減する、ということです。つまりは、ある意味投資となりえるのです。
ひと昔前は、地球温暖化懐疑説もありましたが、現在進行形で気候変動が起きており、気候危機というべき状況が目の前にある今、カーボンニュートラルに取り組むというのは、現実的で、とても費用対効果の高い選択になってきたとも言えます。

ぜひ、これから生き残り、勝ち残っていくためにも、新たな武器として、カーボンニュートラルに取り組んでみてはいかがでしょうか。


弊社では、カーボンニュートラルに取り組むとはどういうことか、自社が取り組むことで社会はどのように変容するのかを、様々な組織の立場に立って体感できる研修・ワークショップを開催しています。
また、これからカーボンニュートラルに取り組んでいくという意思をお持ちの企業様は、具体的な削減計画を立てた上で、カーボンニュートラル宣言をすることも有益です。その宣言策定のお手伝いもしております。
ご興味ございましたら、ぜひお問い合わせください。

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加藤 直樹

合同会社エネスフィア 代表/株式会社Bright CSO
<専門分野>中小企業経営・ライフキャリア長期戦略パートナー
<紹介文>サステナビリティの力で企業戦略やライフキャリアを後押し
Webサイト:合同会社エネスフィア