公開日:2023/06/20

最終更新日:2023/06/26

欧州のPBの発展
流通大手のサステナビリティ方針

日本のスーパー、コンビニでも当たり前になっているプライベートブランド(PB)商品ですが、起源はイギリスの生協(Co-op)であったことはご存じでしたでしょうか?以前のコラムでは、日本の流通大手のPB商品でのフードロス削減の動きについて触れましたが、今回は欧州のPBの発展の経緯と、流通大手のサステナビリティ方針につき纏めてみました。

欧州でのPBの発展

今や日本を含む世界の多くの流通で採用されているPB商品ですが、1844年、イギリスの生協(Co-op)がビスケットから靴磨きまで独自に調達した商品に固有の名称をつけて販売したことが起源になります。チェーンストアではセインズベリーが1884年に自社のキッチンでソーセージとパイを作ったのが始まりとなります。

チェーンストアのセインズベリーは1950年代に複数のPBを「セインズベリー」という名前に統一し、1970年代にはPB商品比率が5割を超えるまでになりました。
一方、フランスでは1976年にカルフールが、ノンブランドで低価格・低品質である「ジェネリック商品」をPBとして採用しました。カルフールが自社の名前を冠したPBを導入したのは1985年で、低価格PBおよびジェネリック商品を導入し、低価格での販売と高い粗利率の獲得を実現しました。
ジェネリック商品は英国でも広がり、テスコでも導入されましたが、セインズベリーは方針が違うということで導入せず、1980年代半ばには失速し、ジェネリック商品はPBの主流となりませんでした。
この時期の小売業はNB(ナショナルブランド)メーカーに対する交渉力を拡大させたものの、PBはあくまでNBの低品質・低価格の代替品にとどまるものであった為、NBの価格攻勢にも合いパワーダウンしました。

1980年代前半に入り、PBの対NB競争力強化の必要性から、PBのイメージと品質をNBに近づけるようになり、本格的にNBと競合することとなりました。小売業による積極的な商品開発領域への投資も開始されました。特に商品開発の技術面をメーカーに依存するのではなく、商品研究所を設立し、「テクノロジスト」と呼ばれる専門技術者を自ら抱え込んで、メーカーとの折衝をしながら企画が行われました。セインズベリーは既に1920年代後半に商品研究所を設立し、1985年には130名を超えるテクノロジストを抱えていました。マークス&スペンサーも1930年代から繊維分野での商品研究所を設置し、テクノロジスト抱えており、1948年には食品分野でも商品研究所を設置されました。マークス&スペンサーは1970年代には「工場を持たない英国最大の製造業者」と呼ばれるまでになりました。

1980年代後半にはセインズベリー、マークス&スペンサーなどが高品質・高価格なプレミアムPBの展開を本格化し、NBの低位の代替品という従来のPBの位置づけから脱することに成功しました。

1990年代前半にはアルディなどドイツから参入したディスカウント業態と、低価格の海外ブランドへの対抗期となります。大手小売業はディスカウント業態に対抗する為、低価格PBの再導入・強化を実施しました。70年代のジェネリック商品との違いは製品品質とパッケージング技術の向上となります。ドイツのアルディやリドルなどのハードディスカウンターは1カテゴリー、1~2商品に絞り込み、ほとんどをPBとすることで、効率と購買力を追求し低価格を実現し、特に2008年のリーマンショックによってより一層拡大しました。ドイツの消費者テストでは、ハードディスカウンターの商品品質はNBよりも高い評価を得られています。また、多くのPBが小売企業名やブランド名を全面に出すのに対して、ハードディスカウンターのPBは名前を出さず、ブランド名もカテゴリーや商品によって異なります。デザインも統一感を持たせないため、NBと見間違える商品もあるほどです。
2010年頃から大手小売業もPBの刷新を模索し、各社ブランドの統廃合を行ったものの、うまくいかず、ハードディスカンターのPBに価格を寄せることは出来ても、品質面で太刀打ちできませんでした。大手小売りはNBも併売するところ、ハードディスカンターは主にPBであるため、規模の経済でハードディスカンターの方が有利に働きました。また大手小売りは自社ブランドを付与したことで低品質といったイメージの悪影響もあり、各社再度、ブランド見直しに至りました。
テスコはアルディのようにテスコというブランド名をつけず様々なカテゴリーでPB展開を実施し、カルフールも2020年に入ってSimplという低価格ブランドをベルギーで展開しました。

神谷渉.「協働型プライベートブランド : 食品小売業におけるプライベートブランドの進化と消費者購買行動への影響」. P9-15_2022.2.28,(参考_2023.6.19)

流通大手のサステナビリティ方針

このような歴史で欧州でのPBは発展を遂げていますが、特に欧州は循環型経済に向けて各企業が変化を求められる中で、欧州の流通大手であるイギリス/テスコのパッケージに関わるサステナビリティの方針について見ていきたいと思います。
イギリスのテスコは「REMOVE」、「REDUCE」、「REUSE」、「RECYCLE」の4Rの方針を打ち出しています。
まず「REMOVE」に関しては、配達用のプラ包装で2億枚、ヨーグルトやデザートの篏合蓋で1億枚など、他も含め合計でテスコは既に22億枚のプラスチック包装を削減しています。
「REMOVE」で削減不可な包装は「REDUCE」として、プラスチック使用量を最小限にする取り組みをしています。パッケージの重量とサイズを見直し、年間で4,500トンの使用量削減に成功しました。
「REUSE」においては、2025年までに、50億個の製品からプラスチックを無くす予定であり、2020年7月から2022年7月までLoop社と提携して、再利用可能なパッケージの検証を行いました。現在はそこで得られた考察をもとに、バリューチェーン全体で連携し、再利用の拡大に向けた取り組みを行っています。「REUSE」の取り組みに関する詳細はこちらのレポートをご確認下さい。
最後に「RECYCLE」について、テスコは使用しているパッケージ全てを完全にリサイクル可能に、また可能な限りリサイクル材を含むようにすることを目標としています。例えばフルーツジュースのラベルとボトルを同一素材にすることで、リサイクル可能にしていたり、店舗で青果物などに使用されるプラスチックパッケージの回収を行っていたりしています。また2019年の4Rの取り組み開始以降、自社PBのパッケージへのリサイクル材使用量は2倍に増えています。

環境配慮型パッケージ

サステナブルな社会を目指す中で、既存のパッケージの見直しは非常に重要になっています。当社でも環境配慮型パッケージを開発しており、生分解性素材であるPLAを用いたトレイや、卵殻などの炭酸カルシウムを練り込み、プラスチック使用量減を実現したPPトレイなどを開発しています。
詳しくはこちらのコラムでもご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

またトレイ以外にも、モノマテリアルパッケージなどの開発も行っておりますので、パッケージの環境対応化につき、ご興味のある方・お困りの方は、是非お気軽にお問合せ下さい。

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化学品専門商社:長瀬産業グループのメンバーを中心に構成。
専門領域であるプラスチックを基軸に、サステナビリティを実現するためのソリューションと、業界を横断した情報を展開する。