公開日:2024/05/27

最終更新日:2024/05/21

農地における脱炭素化のポテンシャルと 「農業由来カーボンクレジット」

温暖化抑制による社会貢献や企業価値向上の施策として、GHG排出削減目標を掲げ、取組みを進める事業会社がある一方で、積極的な取組みへの動機付けが難しい、農家のような事業体もあります。しかし、GHG排出量全対における農業分野の割合は大きく、同時に削減の可能性を多く宿しています。今回は、農家のGHG削減をクレジット化し、生成側(農家)と需要側(企業)にメリットをもたらす「農業由来カーボンクレジット」を紹介します。

農業分野のGHG削減ポテンシャル

世界全体のGHG排出量において、農業由来の排出はCO2換算で全体の約10%を占めています。それにも関わらず農地における脱炭素化はほぼ進んでおらず、2023年の株式会社フェイガー(以下、弊社)の試算では、J-クレジットの認証数全体に占める農業関係の割合は、わずか0.04%という状態でした。

弊社では、農業分野の温室効果ガス削減の重要性とポテンシャルの大きさに着目し、主に水田の中干し期間延長(水のマネジメントにより水田から排出されるメタンを抑制する手法)を通じて脱炭素農業を推進しています。

弊社では、農業由来カーボンクレジットの生成から販売までを一貫して取り組み、脱炭素に取り組む生産者の「顔が見えるクレジット」として企業に提供し、オフセットだけではなく、企業PRなども含めた価値を提供しています。
また、それらの取組で得た収益は一部を農家へ還元しています。

2023年度は、14道府県・61件の個人・法人農家と取り組みを実施し、1,500ha超・約6,000tのクレジットについて認証を受けています。
2024年度は、33道府県・約800件の農家と約50,000tのクレジット生成を見込んでおります。
規模拡大の裏付けとして、先程の試算の話しに戻りますが、水田の中干し期間延長によるGHG削減には、300万t-CO2分のカーボンクレジット創出ポテンシャルがあると算出されています。

「中干し期間延長」によるクレジット生成

GHGの中でも「メタンガス(CH4)」は気候変動に与える影響が大きく、メタンガスの地球温暖化計数は、CO2の約25倍とされています※1。
稲作の中干し(水稲の栽培期間中に一度水田の水を抜いて田面を乾かすことで、成長を制御する作業)期間を7日間延長することにより、このメタンの発生量を3割削減できることが確認されています。

水田からのメタン排出は、日本のメタン排出量の約4割を占めており、その抑制によるインパクトは非常に大きく、J-クレジット制度運営委員会より「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論※2 が策定されたことを受け、クレジット生成の取り組みが拡大しています。

画像提供:株式会社フェイガー


※1 全国地球温暖化防止活動推進センター「地球温暖化係数(GWP)について」 https://www.jccca.org/faq/15950
※2「水稲栽培における中干し期間延長」の方法論の承認について https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/230301.html

日本企業におけるカーボンクレジットの必要性

国が掲げる2050年カーボンニュートラルを達成するべく、企業には 2030年の排出量削減⽬標の設定が促され、サプライチェーン内の再エネ・省エネ等による排出量削減が求められています。

しかし、経産省の試算では、2030年⽬標値に対して、企業が最⼤限削減努⼒をしても達成できない分が、3.8%・53万t-CO₂ あるとされており、企業は2030年時点で、この⽬標差分を『未達成で破棄』とするか『達成のための⽅策を模索する』のどちらかを選択することになります。

欧⽶各国では、既に発⽣しているGAPを埋め、削減⽬標を達成するための⼿段として、カーボンクレジットによるオフセットが積極的に取り入れられています。
⽇本においてはまだ発展途上のエコシステムですが、GXリーグにおける排出量取引制度(GX-ETS)の本格運⽤が始まる2026年を機に、⼀気に活⽤が⾼まることが想定されます。

フェイガーのビジネスモデル

排出量削減が世界の課題である一方、排出量目標を持たない事業体、例えば農家が自主的・継続的に脱炭素活動を行うモチベーションを持ちづらいのが現状です。
私たちはカーボンクレジットの仕組みを活用し、クレジット化のサポートから買い取りまでを行うことで、協力農家に在庫リスクを抱えさせることなく収益をもたらし、農業における排出量削減活動を推進しています。

2030年に向けて国産の J−クレジットの需要は⼤きく膨らむであろう⼀⽅で、⽣成量が⾒合わないのは先⾏する世界の状況を⾒ても明らかです。
私たちは農家及び農業に関連する多くのプレイヤーと協業することで、今後の需要家の⼀番の課題である「安定的なクレジットの供給」を担って参ります。
「農業由来カーボンクレジット」にご興味を持たれた方は、是非お気軽にご相談、お問い合わせください。

画像提供:株式会社フェイガー

お問い合わせ

profile

上本 絵美

<所属>株式会社フェイガー
<専門分野>ESG経営
<紹介文>株式会社フェイガー、Chief Sales Officer。農業由来カーボンクレジットの活用に興味のある方はご連絡ください。