地球温暖化阻止のための一手、
冷媒ガスのイノベーション・前編

地球温暖化は、化石燃料の燃焼によって大気中に放出される温室効果ガス(GHG)の増加によって引き起こされています。これらのガスは太陽からの熱を地球に戻す効果を持ち、その結果、地球の平均気温が上昇しています。この気温上昇は、極端な気象変化、海面上昇、生態系への影響など、さまざまな問題を引き起こしています。

国際的な合意による温室効果ガス規制

地球温暖化を阻止するために、GHGの排出規制・削減を全世界規模で進めるべく、これまで以下の国際的な枠組みが導入されてきました。

1. モントリオール議定書(1987年):
 オゾン層を保護するための国際的な合意でしたが、同時に温室効果ガスにも焦点を当てました。これは、塩素フルオロカーボン(CFCs)などの化学物質がオゾン層を破壊するだけでなく、地球の気温を上昇させる影響もあることを認識した結果です。

2. 京都議定書(1997年):
 地球温暖化ガスの排出削減に焦点を当てた最初の国際的な合意でした。主要な排出国に削減目標を設定し、特に工業国に対して温室効果ガスの削減を求めました。これは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化窒素(N2O)など、温室効果ガスの規制を始めた重要な一歩でした。

3. パリ協定(2015年):
 温室効果ガスの削減においてより包括的で野心的な国際的な合意です。目標は、地球温暖化を1.5℃未満に抑え、気候変動の影響を最小限に抑えることです。パリ協定では、国際社会全体が協力して温室効果ガスの排出削減に取り組むための枠組みが提供され、各国が自主的に排出目標を設定し、進捗を監視する仕組みが確立されました。

これらの国際的な合意は、温室効果ガスの問題に対処し、気候変動に対する国際社会の取り組みを推進する重要な役割を果たしています。地球温暖化の進行を遅らせ、持続可能な未来を実現するためには、世界中の国々が共同で取り組むことが不可欠です。

画像提供:JR九州システムソリューションズ株式会社

フロンガスの問題

フロンガスは長らく冷蔵冷凍機器や空調機器で冷媒として広く使用されてきましたが、その使用にはいくつかの重要な問題が存在します。

まず、フロンガスは温室効果ガスであり、大気中に放出されると長期にわたって安定し地球温暖化に寄与します。特に、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)などの一部のフロンガスは、非常に高い温室効果ガスポテンシャルを持っており、気候変動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

さらに、フロンガスはオゾン層にも悪影響を及ぼします。クロロフルオロカーボン(CFCs)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)は、オゾン層を破壊し、紫外線放射線の地表への過剰な到達を引き起こします。これは、皮膚がんや環境への生態系への悪影響をもたらす可能性があります。

フロンガスの排出や漏れは、空気品質にも影響を与えます。これは、健康問題を引き起こし、特に都市部での大気汚染の問題に寄与します。

代替フロンガスの問題

多くの問題を内包するフロンガスに代わり開発された、水素原子を含むハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)等の「代替フロンガス」は、環境にやさしく、温室効果ガスの排出を削減する新しい冷媒として注目されておりました。

代替フロンガスの主要な利点の一つは、オゾン層に悪影響を及ぼさないことです。これにより、クロロフルオロカーボン(CFCs)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)など、オゾン層を破壊するフロンガスの使用からの移行が可能になりました。

しかし、代替フロンガスにもいくつかの問題が存在します。代替フロンガスは高い温室効果ポテンシャルを持つため、大気中に放出されると長期的な気候変動に寄与する可能性があります。また、代替フロンガスの製造には多くのエネルギーとリソースが必要であり、その生産過程にも環境への影響が存在します。

地球温暖化の阻止への取り組み

地球温暖化は深刻な問題であり、その解決に向けた努力が喫緊の課題です。

取り組みの一環として、国際的な協力が不可欠です。パリ協定など、国際的な合意に基づく温室効果ガスの削減目標が設定され、国々はそれに取り組むための行動計画を策定しています。国際的な協力によって、気候変動への対処が効果的に進められる可能性が高まりました。

また、産業界も重要な役割を果たしています。エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用など、持続可能な技術の導入が地球温暖化の阻止に貢献します。冷蔵冷凍機器および空調機器における冷媒の選択も、地球温暖化に影響を与えます。現在は代替フロンガスの使用が広まり、これによってフロンガスと比較して温室効果ガスの排出が削減される見込みと考えられておりますが、地球温暖化係数が高いため、その代わりとなる冷媒が求められています。

個人としても、エネルギーの効率的な使用やリサイクルの実践など、持続可能な生活スタイルを採用することが重要です。意識的な消費行動と環境にやさしい選択が、地球温暖化対策に寄与します。

課題解決策の一つ「自然冷媒ガス」

地球温暖化を阻止には、フロンガス・代替フロンガスの積極的な削減行動が不可欠です。そのためには、これらに代わり、自然界に存在する「ナチュラル5」(空気、水、CO2、アンモニア、炭化水素)と呼ばれる自然冷媒ガスを導入検討することが重要となります。

しかし長らく、広く利用されてきた従来技術を変えることは用意ではありません。
国際社会、産業界、個人の協力が必要であり、そして、新技術の開発と研究への投資が不可欠です。より効率的で環境にやさしい技術の普及によって、地球温暖化の影響を軽減できます。クリーンエネルギー、カーボンキャプチャー、持続可能な農業など、イノベーションが解決策の一つとして重要な貢献を果たします。

次回は、近年導入が始まっている「自然冷媒ガス」の技術動向と地球温暖化阻止効果について、お伝えしたいと思います。

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和田 誠一

JR九州システムソリューションズ株式会社

電気代の削減や温室効果ガスの削減など、事業の環境負荷やコストの最適化ソリューションにより企業や団体のESG推進をご支援します