廃プラ回収規模の推移

「中国再生資源回収業界発展報告」によると、中国の廃プラスチックリサイクル市場は、環境汚染問題により焼却用と埋立用の使用比率が縮小され、また、リサイクル産業の技術水準と法整備も着実に向上されたことに伴い、2017年以降上昇傾向を示し、2020年にCOVID-19の影響で若干減少したものの、翌2021年には再び持ち直し2017年から続く成長水準を持続しています。

市場価値の面では2019年から2020年においての関連法令整備による規制やコロナ禍による経済低迷により需要と価格共に低下したものの、2021年からはリサイクルの需要増と景気の上昇により、実質的に増加基調に戻っています。

CHINA NATIONAL RESOURCES RECYCLING ASSOCIATION.「中国再生資源回収業界発展報告」 ,参照_2023.3.2.
http://www.crra.com.cn/tsgz/

廃プラ輸入状況の変遷

リサイクルの原資となる廃プラの海外からの輸入に関しては、中国におけるプラスチックゴミの安価な処理コストを背景とした価格優位性により、世界各国からプラスチックゴミの処理を引き受け、これまで長い間、世界のプラゴミ集積場と呼ばれていました。
2012年には廃プラスチック輸入数量は年間約900万トンへと拡大し、この数量は全世界の廃プラスチック輸出数量の45%に相当する規模となっていました。しかし、2014年、政府は廃プラスチックなどの有害廃棄物の不正輸入を禁止する「グリーンフェンス運動」を打ち出し、政策が進むにつれてその輸入は減少方向へと転じ、2017年には 禁止令の全面導入により、輸入は完全に禁止され、2019年以降の廃プラスチックス輸入量は実質ゼロに近い水準となりました。
中国税関総局による例年の輸入データでは、下記図の様に減少しています。

CHINA NATIONAL RESOURCES RECYCLING ASSOCIATION.「中国再生資源回収業界発展報告」,参照_2023.3.2.
http://www.crra.com.cn/tsgz/

材料種別の回収状況

一方、廃プラスチックの国内での回収量は、現在プラスチック生産総量に対して30%もの水準に達しており、国家としてリサイクル化が提唱されている中、その比率は更に拡大すると期待されています。廃プラスチックの中でもPET・PE・PPの3種類は国内市場で最も多く使用され、需要が大きいプラスチックであるため、リサイクルされる割合も同様に高く、廃プラスチック市場の主力となっています。 輸入廃プラの量が減少したのに反比例し、国内の回収プラスチックの量が拡大し、これを原資としたリサイクル市場が大きく発展している構造となっているのです。

CHINA NATIONAL RESOURCES RECYCLING ASSOCIATION.「中国再生資源回収業界発展報告」,参照_2023.3.2.
http://www.crra.com.cn/tsgz/

今後の市場展望

廃プラスチックはリサイクル用途以外に、今でも埋立用途と焼却用途でそれぞれ32%、31%使用されています。埋立処理と焼却処理では、温室効果ガスや大気汚染物質、マイクロプラスチックの発生だけではなく、土壌や地下水を汚染し生態系環境にも大きく影響を与える可能性があります。その為、中国のカーボンニュートラル実現を目的とした廃プラスチックの回収、活用に関連する政策支援は、生態環境の改善にも大きく貢献すると考えられています。
また、回収市場も堅調な増加が見込まれ(景気回復により電器電子製品、自動車、建材業界から出される廃プラ数量の増加)、前述の政策であるゴミ分別の義務化や回収法規の整備によるリサイクルプラスチックの品質向上も期待されています。
この影響により同市場の規模は今後も年10%の増加が予想されています。尚、2022年度のリサイクルにより使用される廃プラは2,100万トンの見通しです。次回はこの市場を支える中国の廃プラ回収サプライチェーンの実態について調査報告させて頂く予定です。是非お楽しみに。

CHINA NATIONAL RESOURCES RECYCLING ASSOCIATION.「中国再生資源回収業界発展報告」,参照_2023.3.2.
http://www.crra.com.cn/tsgz/

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