「廃プラスチック産業総合利用基準条件」とは

2016年1月1日、中国の循環型経済の発展と廃プラスチック産業の標準化・健全化の推進を目的に、「工業と情報化部」は「廃プラスチック産業総合利用基準条件」の施行を発表しました。

基準の対象となるのは、熱可塑性廃プラスチックを「物理的再生法を使用したリサイクル加工」(=マテリアルリサイクル・メカニカルリサイクル)に関わる企業で、業種別に
①再生PETフレークを生産する企業
②廃プラスチックの選別・粉砕・洗浄を手掛ける企業
③リサイクルプラスチック造粒企業
の三種類に定義されています。

また、対象となる熱可塑性プラスチック廃棄物には、有害化学物質や農薬で汚染された廃プラスチック包装材、医療用使い捨てプラスチック製品などのプラスチック有害廃棄物、およびフッ素樹脂などの特殊エンジニアリングプラスチックは、含まないとされています。

基準条件の要求事項

「廃プラスチック産業総合利用基準条件」の中で重要となる部分を以下にご紹介いたします。

㈠ 生産規模の要求:
〇選別、粉砕、洗浄を行う企業は、新規増設するプラントの年間処理能力は3万トンを下回らないこと。
〇再生PETフレークを生産する企業は、3万トンを下回らないこと。
〇リサイクルペレットを生産する企業は、5千トンを下回らないこと。

㈡ 資源利用とエネルギー消費の要求:
〇回収した廃プラスチックを十分に活用し、資源循環の効率化を図り、投棄、焼却、埋め立てを行わないこと。
〇製造過程でのエネルギー消費は、廃プラスチックの重量トン当たり500kWhを下回ること。
〇再生PETフレーク企業と選別・粉砕・洗浄企業の水道利用は、廃プラスチックの重量トン当たり1.5トンを下回ること。

㈢ 設備の要求:
〇先進的な技術・技法・設備を導入し、廃プラスチックのリサイクルプロセスの自動化レベルを向上させること。
〇粉砕工程では、振動・騒音低減機能を備えた密閉型破砕装置を使用すること。
〇洗浄工程では、洗浄液の自動制御と再利用を実現し、水消費量と薬剤消費量を削減すること。
〇洗浄剤は低発泡・残留性が低い、取り扱いの容易なものを使用すること。
〇選別工程では、自動選別装置を推奨とする。
〇ペレット化装置は強制排気システムの装備と、排気ガスは空気収集装置を通して集中的に処理すること。
〇フィルター装置の廃棄フィルターは環境法の規定に従って処理すること。

その他、工場に対する消防法、環境法、品質管理、安全生産、監督管理などの法令遵守も要求しています。

基準条件の認定企業

基準条件施行以来、「工業と情報化部」は、6回に分けて計107社の認定企業を公表しています。

認定を取得する為には、企業はまず所在する地方の「工業と情報化部」に「廃プラスチック産業総合利用基準条件申請書」を提出し、各省・自治区・直轄市の「工業と情報化部」の書類審査を経て、「工業と情報化本局」での本格的な審査に移ります。本局は業界団体や専門家を決定し、申請書類の再審査・再検証および現地での監査を経て、基準に満たす企業を公式WEBサイトで毎年6月30日と12月31日までの公告日に公表します。

公表リストに記載された企業は、基準の要件に厳格に従い、生産および経営活動を行なう事が義務付けられます。認定資格維持の確認を行なう為に、「工業と情報化部」および関連業界団体は、地方の主管と連携して公表企業の定期監督・監査を実施します。
また、「工業と情報化部」による抜き打ち検査の実施されます。
定期監査における不正行為、是正を拒否または是正できない企業に対しては、公表の取り下げを行う事で制度の実効性を担保しています。本項の初めで、これまで公表された認定企業は計107社と記載しましたが、この内11社は、その後の定期監査で不正が見つかり、実際に認定が取り下げられています。

非認定企業の再編・統合・淘汰による、市場の質の向上

中国におけるプラスチックリサイクル産業の高品質・高付加価値化は、新たな発展に向けた明確な方向となっています。
基準条件施行以前は、多くのリサイクルメーカーは生産集積度が低く、有力企業はごく一部に限られていました。リサイクルPEの場合、現行の基準である年産5,000トン以上に対し、基準を満たさない年産1,000〜1,500トンの中小企業の割合が7割で、加工設備は1台のみといった生産規模が一般的でした。

基準条件で要求されている規模や先端設備の導入、生産過程における電力・水道消費などを満足し、「工業と情報化部」の認定を受けて公表される企業は、他社との差別化が図れ、市場と顧客へ強くアピールすることで、今後より発展していくものと予想されます。
一方、基準を満たすことが難しい中小企業は、今後企業の再編成、統合、淘汰が必然的に進んでいくでしょう。

NAGASEは、中国国内19拠点(合弁会社を含む)でプラスチック事業を展開しています。
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