公開日:2024/04/24

最終更新日:2024/04/24

ウレタンのことなら【PU Portal】へ! 今回はウレタンエラストマーを解説

塗料、断熱材、合成皮革、靴底、、、さまざまな性状でいろいろな用途に使用されている「ウレタン」。 長年、化学業界でウレタンを取り扱っている長瀬産業グループでは、ウレタン業界向けのニュースサイト 【PU Portal】 を運営しています。
本日は、その中で掲載している「ポリウレタンエラストマー」の概要解説を抜粋し、plaplatを通じてお届けします。

ウレタンエラストマーの概要

「ウレタンエラストマー」は、Elasticity(弾性)を有するポリウレタンのことを意味します。加硫ゴムに近い特性を示し、弾性力・機械的強度・低温特性・耐摩擦性・耐候性・耐油性に優れているという特性があり、生活用品から工業用品まで多くの分野でデザイン性に富んだ応用が可能です。

ウレタンエラストマーは、Dynamit A. G.社(ドイツ)の H. Pinten が、1942年に開発したと言われています。その後、1950年からBayer社(ドイツ)ほかにて、エラストマー開発が盛んに行われるようになりました。
日本では、1959年に北辰化学がBayer社から技術を導入したのを皮切りに、1961年に大日本インキ化学、1967年に保土谷化学、1968年に日本ポリウレタン、三井化学が国内製造を始めました。

ウレタンエラストマーの分類

さまざまな性状があるポリウレタンの中で、ウレタンエラストマーは「非フォーム」に分類される製品の一つで、熱可塑性ウレタンエラストマーと熱硬化性ウレタンエラストマーに分類されます。
さらに、用途、硬化方法、使用原料及び構造などによっても、以下のように分類されます。

☑ 用途による分類
①塗料用 ②接着用 ③土木建設用 ④注型エラストマー用 ⑤熱可塑エラストマー用 ⑥合成皮革用 ⑦スパンデックス用 ⑧フォーム用 ⑨医療用 ⑩その他

☑ 硬化法による分類
<一液形ウレタンエラストマー>
①ブロックイソシアネート ②湿気硬化型タイプ ③油変化タイプ④UV・EB硬化タイプ ⑤ラッカータイプ ⑥熱可塑タイプ
<液型ウレタンエラストマー>
①ポリオール硬化タイプ ②ポリアミン硬化タイプ ③触媒効果タイプ

☑ 使用原料及び構造による分類
イソシアネート種及びポリオール類による分類/用途に応じてA群(イソシアネート種)とB群(ポリオール類)の組み合わせを作ります。
A群:黄変タイプ(芳香族NCO) 無黄変タイプ(脂肪酸NCO)
B群:ポリエーテル系・ポリエステル系・PTMEG系・アクリル系・その他

☑ 変性方式(構造)による分類
①イソシアヌレート型 ②ウレトジオン型 ③ビューレット型 ④尿素ウレタン型 ⑤カーボジイミド型 ⑥ビニル基含有

☑ 溶剤種による分類
①有機溶媒型 ②水系(水溶性、水系エマルジョン)③無溶剤系(100%固形、液体、固体、ペレット)

<ウレタンエラストマーの分類>

ウレタンエラストマーの構造

ウレタンエラストマーの弾力性は以下に示す分子構造特性から発生します。ウレタンエラストマーはゴムのような擬網目構造をとっているブロックポリマーです。長鎖ポリオールやジイソシアネートから形成される「ソフトセグメント」と、短鎖グリコールとジイソシアネートによる結晶性ウレタンによる「ハードセグメント」から形成されます。ハードセグメント同士が水素結合を取ることでハードセグメント相を形成し、物理架橋点が生成されます。ソフトセグメントとハードセグメントは相溶せずミクロ相分離状態をとります。

ウレタンエラストマーは通常の状態ではハードセグメント部があるため形を保ったままソフトセグメントで分子運動がおきます。外力がかかるとハードセグメント、ソフトセグメント共に同方向に動きますが、外力がなくなると弾性力が働き元の擬網目構造をとるようになります。

<ウレタンエラストマーの構造>


ウレタンエラストマーは反応に伴い、応力が均一に分散する鎖伸長反応から、分子間の化学結合がおきるので、分子間の水素結合がおきます。
水素結合は昇温により弱まり消滅しますが、常温になると元通りになります。
ウレタンエラストマーの強度は水素結合に依存するところが大きいので、昇温し水素結合が弱まると、一次架橋の強度は残りますが、全体の強度が劣るため耐熱性に難があるといわれています。

1.鎖伸長剤、あるいはウレタン結合により主鎖の延長が起きます。

<主鎖の延長反応>


2.ビューレット結合、あるいはアロファネート結合により一次架橋が起きます。

<一時架橋反応>


3.水素結合により二次架橋が起きます。

<二次架橋反応>

ウレタンエラストマーの市場概況

ウレタンエラストマーの大まかな全体市場を以下に示します。ウレタンエラストマーは熱可塑性ポリウレタンと熱硬化性ウレタンに分類されており市場として見ると熱可塑性ウレタンの市場が圧倒的に多いです。

<ウレタンエラストマーの市場推移※PU Portal推定>


ウレタンエラストマーは工業、自動車、日用雑貨など様々な分野に浸透している材料であり、中国をはじめとした新興国の経済成長に伴い市場拡大が続くと見込まれています。一方で、市場では高性能な競合品や安価な別の材料との競合が絶えず発生しており、材料が切り替えられることで市場拡大が抑えられる可能性があります。

お問い合わせ

profile

plaplat編集部

化学品専門商社:長瀬産業グループのメンバーを中心に構成。
専門領域であるプラスチックを基軸に、サステナビリティを実現するためのソリューションと、業界を横断した情報を展開する。