総合スーパーエンプラメーカー「SOLVAY」

スーパーエンプラがどのようなものかについては、プラ基礎②をご参照いただけたらと思いますが、世界中に数あるプラスチック材料メーカーの中に、スーパーエンプラの製造に特化した企業があります。
SOLVAY(ソルベイ)は、150年以上の歴史をもつベルギーの化学メーカーで、売上高134億ユーロ、総従業員数22,000人を抱え、世界61か国・99か所の拠点を展開するグローバル企業です。

そのSOLVAYが「スペシャルティポリマーズ」事業として展開しているのが、PAI(ポリアミドイミド)、PSU・PPSU・PESからなるポリサルフォン系樹脂と、PEEK、半芳香族PA、PPSおよび、フッ素系樹脂といったスーパーエンプラ群です。驚くことにSOLVAYは、汎用プラ・エンプラは一切製造しておらず、まさにスーパーエンプラに特化したプラスチック材料メーカーなのです。

100%再生可能エネルギーでの材料製造

そんなSOLVAYが取り組んでいる「スーパーエンプラのサステナビリティ」は大きく2つあります。
1つ目が「再生可能エネルギーの利用」です。
象徴的なのは2018年に開設された、アメリカ・サウスカロライナ州の「Solvay Solar Energy-Jasper Country」ですが、ここではソーラーパネルによって年間71.4MW(メガワット)の電力が発電されており、SOLVAYはその全量分の「再生可能電力証書(RECs)」を購入し、北米各工場での電力使用に割り当てています。

ちなみに以下はこのソーラーファームの画像となりますが、所謂「メガソーラー」と呼ばれるファームが、おおよそ2ヘクタール=200m×100mの土地に、数千枚のソーラーパネルを有して、1MW=1,000kW(キロワット)の発電を行なうものと言われていますので、その70倍と考えると、相当広大なスケールであることが想像できます。

Photo by SOLVAY GROUP
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Apple社があらゆる企業に先駆けて「2030年」までのカーボンニュートラル達成を宣言していることは有名ですが、彼らは自社工場を持たず、世界各地の外部委託先でブランド製品を大量に製造していることでも有名です。
つまりAppleがカーボンニュートラルを達成するということは、外部委託先の工場や、素材を供給する企業などが、実質的にカーボンオフセットされた製品を供給しているということになります。
Solvayは、iPhoneのアンテナ用バンドのサプライヤとして、Appleの「サプライヤクリーンエネルギープログラム」に参加しており、上記のように世界中で再エネ発電による電力を確保・調達し、アンテナ用バンドの製造を100%再生可能エネルギーで行なっているのです。

マスバランス方式によるCO2削減

もう一つの取り組みが、ISCC PLUS認証を取得した「マスバランス」材料の製造です。
plaplatの記事でも何度か登場している「マスバランス」は、再生可能および・またはリサイクルされた原料と、化石資源由来原料を使用して材料を製造し、最終的に出来上がった材料の総量の中から、再生可能・リサイクル原料投入分を、再生可能・リサイクル材料とする仕組みのことで、国際的な認証(ISCC PLUS)スキームに基づく第三者の監査を経て、認証が取得できます。

SOLVAYの代表的なスーパーエンプラである「UDEL® PSU」と「RADEL® PPSU」は、モノマーの製造工場であるアメリカ・ジョージア州のオーガスタ工場が、2022年にISCC PLUS認証を取得しており、そのモノマーを使ってPSU・PPSUを製造するオハイオ州のマリエッタ工場が、2023年に同認証を取得しました。

前段の再生可能エネルギーによる工場の稼働、そして認証されたマスバランス方式の組み合わせにより、従来のPSU・PPSUと比べて「地球温暖化係数(GWP)」が低い、持続可能性の高いグレードを製造することができます。
SOLVAYでは、この取り組みを「RYTON® PPS」「AMODEL® PPA」にも広げていき、幅広くスーパーエンプラを使用されるお客様のCO2排出(SCOPE3・CAT1)の削減に貢献していきます。

「Solvay One Planet」の社会的評価

SOLVAYは、2020年1月に「Solvay One Planet」というサステナビリティに向けた方針を発表しています。
その中で、2050年までにカーボンニュートラルを達成するためのロードマップとともに、取り組みにおける3つの柱(「気候」「資源」「生活」)と、10個の行動目標を掲げています。

「気候変動への対策」
#1. 世界中で温室効果ガス排出量を削減する
#2. エネルギー生産における石炭の使用を廃止する
#3. 生物多様性に対する負荷を軽減する
「天然資源の保護」
#4. 水利用を効率化し、淡水の摂取量を削減する
#5. 再生可能資源またはリサイクル資源をベースとした製品を製造する
#6. 再利用不可能な産業廃棄物を削減する
#7. 持続可能なソリューションを成長させる
「社会生活の改善」
#8. 従業員の安全を最優先する
#9. あらゆる多様性を尊重した職場環境を実現する
#10. 産休・育休を延長する

前段でご紹介した、「再生可能エネルギーを使った、マスバランス認証材料」は、#1と#5 に当たる取組みになるかと思いますが、SOLVAYではこれらの行動目標に対する実績を測定し公表しており、こうした取り組みは「SBT」では2030年までの行動目標と削減計画が「認定」されており、「CDP」では「A-」の「サプライヤエンゲージメントリーダー」という評価を受けています。

SOLVAY.「ソルベイのサステナビリティ戦略」,参照_2023.5.22.  https://www.solvay.jp/our-company/sustainability

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